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それからのこと。
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しおりを挟む馬車の中、ハリーから指輪を贈られ抱き締められたままのシャーロットは、戸惑いの表情を隠せなかった。
「ずっと•••愛していた、なんて。」
「もう、いつからなんて分からない。気が付いた時には、もう愛していたんだ。」
信じられない、とシャーロットの表情は語っている。ハリーは、そんな顔すら愛しくて、思わず額に口づけた。
「ひゃあ!」
「ああ、驚いた声すら可愛らしいな。」
目を細めたハリーの表情は、シャーロットへの愛に溢れていて、シャーロットは戸惑いを深めた。
「答え合わせをしよう。シャーロット。」
◇◇◇
「俺がシャーロットと結婚したいと思ったのは六年前、シャーロットが第二王子妃では無くなるかもしれない、という状況になった時だ。•••そのずっと前から気になってはいた。」
「•••ハリー様が、結婚を望んで下さったのですか。」
とても信じられない思いと、信じてしまいたい思いとで、交錯する。
「そうだ。シャーロットが王子妃教育を受けている間、訓練所に来ていたのに実は気付いていたんだ。」
「•••っ!」
「王子妃教育が辛いのだろう、と心配していたのに声を掛けられなかった。俺を見にきてくれていたのなら、声を掛ければ良かった。」
もうずっと前のことなのに、心底悔しそうにするハリーが可笑しくて、シャーロットは笑みを浮かべた。ハリーはそんなシャーロットの頬に手を添え、優しく撫でた。
「王家は努力を重ねてきたシャーロットに、更に迷惑を掛けて、正直許せなかった。王家には任せておけない、と思った。•••俺は、シャーロットに昔のように笑ってほしいと、俺が笑顔にしたいと、そんな思いが日に日に強くなった。」
ハリーの語る、シャーロットへの想いはふわふわとシャーロットの心の内に入り、傷ついた部分を癒していく。
「六年前、父上に相談した。シャーロットと結婚したいと。そしたらシャーロットを守るために最低でも王宮騎士団長にならなければならないと言われた。最短でなるために俺は辺境へ行った。」
「私のために•••。」
「どうしてもシャーロットと結婚したかったんだ。ああ、だけどシャーロットが寂しがってくれていたんなら、会いに行けばよかった。」
力強く抱き締められたシャーロットは、おずおずとハリーの背中に手を添えた。
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