周りにαが多すぎる

第一章

第二話

家に帰りつくと、自分の部屋に駆け込んだ。
全力で走ってきたので息が乱れており、扉の前に座り込んでしまった。
「おい。大丈夫か？そんなに急いで帰ってきて、何かあったのか。」
兄１こと鳳花ほうかが心配して声をかけてきてくれた。
「う、うん。鳳兄さん、発情期が今さっき始まったんだ。だから、食事とかも部屋でとるから、お手伝いさんに言っておいて。」
僕がそう言うと、鳳兄さんは扉から離れろと言って扉を蹴破った。
だが、すぐに離れることのできなかった僕はそのまま扉と一緒に蹴飛ばされた。
「おっおぉい。離れろって言っただろう。」
そう言ってきたが、いや無理だから。
そう思ってしまった。
「鳳兄さん。今は近づいちゃダメだから。」
そう言って離れようとすると、腰に手をまわして抱き寄せて耳元で囁いてきた。
「俺は別に構わないよ。前々から番になってもいいと、言っていただろう。」
そう言われて頭がくらくらしてきて、顔を生暖かい汗がつたった。
「おい。守、あ、頭から血が……」
僕は薄れる意識のなかで、汗じゃなく血だったのか、という考えと鳳兄さんのせいだからという思いでいっぱいだった。