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猫の国の動乱
海峡2
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<<ミャウシア海軍司令部>>
満排水量61000トン、40cm砲4連装4基12門の超大型戦艦ソミューニャ級の47番艦ニャンダルナに既に亡国の軍隊と化しつつあったミャウシア海軍の臨時司令部が置かれ、反タルルの将軍の殆どが詰めている。
その脇には3隻のニャトランタ級防空軽巡洋艦が護衛に付いていた。
こちらは排水量7000トンで55口径122mm連装砲5基10門と3連装魚雷発射機1基を主武装とした防空艦だ。
本国から連れて来ることができた巡洋艦の過半数がこの防空艦であった。
ちなみにこの軽巡洋艦は現時点では戦略的にあまり価値がないように思われていたが、この巡洋艦の持つ設計ポテンシャルは後のミャウシア海軍にとって大きな意味を持つことになるのである。
「地球人の横やりで空襲が思うように進んでいません。しかも狸の敵は飛行場を立て直しつつあるようです。それと非常に悪い知らせが入っています。本国南部の海軍基地からの入電で、南部の陸軍基地へタルル派部隊の移動の動きが見られ始めたとのことです....」
「そうか....。他に案があるものいないか?」
海軍首脳部で最も地位の高いニャマルカム・ターキン大将は将軍たちや参謀士官たちにとにかく案がないか聞く。
苦し紛れの案の募集でありなければ最終手段に出るしかないのは彼も、この場にいる彼女たちも皆重々承知していた。
「他に手はないでしょう...」
海軍参謀長が大将にそう言う。
「...そうだな」
ニャマルカム大将は決心した様子でその場にいた将兵に伝える。
「これより艦隊による海峡の砲台への直接攻撃を敢行する。内容は作戦案二号を採用する形だ。速やかに第1、第2混成艦隊を海峡出入り口付近に展開させてくれ」
「了解」
「我々にはもう時間が残されていないようだ。我々の命運はこの一戦にある。諸君らの健闘を期待する」
ニャマルカム大将はそう言って各将兵に敬礼する。
他の者たちも敬礼して返すといく人かの将兵は各々の持ち場へ向かうように司令室を退出していく。
大将はそれを見届けてから軍帽を掴み少し下向きにすると艦橋からずっと外を眺める。
多数の犠牲と引き換えの作戦にやるせない様子だった。
ミャウシア軍の大艦隊が海峡に向かって前進を開始した。
戦力は戦艦10隻、巡洋艦110隻、駆逐艦・フリゲート約1000隻でこれを多数の戦隊に分けて海峡沿岸を周回する。
ポンポタニアにとって一番厄介なのは意外にも駆逐艦とフリゲートだった。
ミャウシア海軍の主力駆逐艦、ミッチェナー級、ミャミャダン級は長砲身の55口径122mm砲の単装砲や連装砲を主武装にしている。
そのため射程は通常砲弾でさえ24kmに達し、沿岸砲でも捉えるのが難しい距離から砲撃を仕掛けてくる。
つまり駆逐艦の艦砲射撃は長射程と手数が相まって凶悪そのものだったのだのだ。
更にフリゲートも半数は同様の単装砲を2機搭載しているので必要に応じて砲撃を行うことができた。
ミャウシア軍艦隊がポンポタニア軍の哨戒網内に突入し捕捉される。
ポンポタニア軍はミャウシア海軍がしびれを切らせたように艦隊を動かしてきたことでチャンスとばかりに切り札の潜水艦隊で迎撃した。
<<ポンポタニア海軍P401型潜水艦21番艦>>
ポンポタニア軍の潜水艦の艦長が潜望鏡で主力艦隊の先を先行する対潜戦隊のミャウシア軍フリゲートを補足する。
「目標、距離4500、速度23。魚雷戦用意、方位345へ変針」
「1番から4番に魚雷装填!」
「魚雷装填しろ!」
「艦首をあげ、アップトリム3。開度4」
「縦舵調整、アップトリム3!」
「魚雷発射よーい。....撃て」
第二次世界大戦期の潜水艦と同等の見た目の潜水艦から4発の魚雷が発射される。
その頃、ミャウシア海軍の対潜戦隊は水上レーダーで潜望鏡がそこかしこから顔を出していることを既に察知していた。
<<ニャーランカムイナ級フリゲート ミレーニャ>>
対潜艦ミレーニャは数隻の味方艦と共に敵がいると思われる海域に最大戦速に近い速度で突っ込んでいく。
案の定魚雷を撃たれまくり、索敵員が伝声管越しに怒号で怒鳴り続ける。
「左舷から魚雷接近!!恐ろしいほど航走が見えない魚雷です!取舵一杯でお願いします!」
「取舵いっぱい!」
後続のための囮艦として体を張るフリーゲート達は敵の魚雷をかわしながら敵の位置を確認していく。
「こちら索敵員、方位198に敵がいる臭いです!」
「聴音手、どうだ?」
「私もその方角だと思います」
「回頭!」
フリゲートが変針して敵潜水艦がいる方向へ向かう。
そんな中、味方艦の1隻から大きな水柱が発生する。
ポンポタニア軍の酸素魚雷が命中し被弾艦は船体を真っ二つにされてしまった。
しかしそんなのに目をくれている余裕がない対潜戦隊はそれを無視して敵に肉薄する。
「対潜迫撃砲、砲撃用意!」
ミャウシア海軍はポンポタニア軍の潜水艦が爆雷では仕留めるのがとても困難なことを理解していたため量産されたばかりの大型対潜迫撃砲をできる限り艦に搭載し始めていた。
「アクティブソナーに反応、方位084、距離330mです」
「撃てえええ!」
ズドン、ズドン!
対潜迫撃砲から砲弾が発射されると放物線を描きながら飛んでいきフリーゲートの脇の海面に着水する。
しばらくすると海面に水柱が発生する。
この攻撃でポンポタニア軍潜水艦が1隻撃沈した。
ミャウシア海軍はかなりの苦戦を強いられながらも多数の対潜艦隊を投入し物量をもってポンポタニア海軍の潜水艦隊を押しのけ、主力艦隊を海峡に肉薄させ始めた。
<<ポンポタニア陸軍砲兵隊>>
「いよいよ、砲撃戦だ!奴らに目にもの見せてやれええ!」
「おおおお!」
「偵察機から入電。敵艦隊が25km地点から砲撃を開始しました。戦艦や巡洋艦からの砲撃です。」
「来るぞ。落盤注意!」
姿を露出した砲台はミャウシア軍の空襲であっという間に破壊されてしまうのは見えていたためポンポタニア陸軍は沿岸砲台の殆どを岸壁をくり抜いて建設したトーチカに設置していた。
岸壁や内陸部に多数の穴が見受けられミャウシア軍艦隊が迫れば砲を突き出して砲撃を開始するつもりだ。
だが流石にミャウシア海軍の戦艦の36cm砲や40cm砲、重巡洋艦の22cm砲による長距離攻撃は遠すぎて撃ち返せないので受け流す。
岸壁や少し先の内陸から多数の巨大な土煙が発生し、同時に轟音が周囲に鳴り響いた。
特にソミューニャ級の40cm砲の砲弾ではとにかく巨大な爆煙が吹き上がる。
一方のポンポタニア軍のトーチカでは低音を轟かせながら天井のコンクリートや手掘りの洞窟から砂がこぼれ落ちてきていた。
兵士たちは不安そうに天上を見て砲撃の機会を伺う。
運悪いトーチカは砲弾が出入り口に直撃し、40cm砲弾の場合はコンクリートを粉砕して内部を一気に破壊する。
正に死と隣り合わせだった。
けれど戦艦の艦砲射撃の手数には限度がある。
トーチカの大半が残存した状態で戦艦の砲撃は止み、水平線から艦橋がぎりぎり見える位の距離からミャウシア海軍の主力である駆逐艦とフリゲートの大群が姿を表し始めた。
そして1000隻近くの軍艦から数千門の主砲が海岸に砲身を指向する。
ポンポタニア軍砲兵隊もトーチカの扉をあけて中から主砲を出して狙いを定めていた。
「撃てええええええ!」
「撃てええええええ!」
両者の指揮官がほぼ同時に砲撃を指示する。
両軍はタイミングを合わせて一気に大規模な艦砲撃を開始した。
満排水量61000トン、40cm砲4連装4基12門の超大型戦艦ソミューニャ級の47番艦ニャンダルナに既に亡国の軍隊と化しつつあったミャウシア海軍の臨時司令部が置かれ、反タルルの将軍の殆どが詰めている。
その脇には3隻のニャトランタ級防空軽巡洋艦が護衛に付いていた。
こちらは排水量7000トンで55口径122mm連装砲5基10門と3連装魚雷発射機1基を主武装とした防空艦だ。
本国から連れて来ることができた巡洋艦の過半数がこの防空艦であった。
ちなみにこの軽巡洋艦は現時点では戦略的にあまり価値がないように思われていたが、この巡洋艦の持つ設計ポテンシャルは後のミャウシア海軍にとって大きな意味を持つことになるのである。
「地球人の横やりで空襲が思うように進んでいません。しかも狸の敵は飛行場を立て直しつつあるようです。それと非常に悪い知らせが入っています。本国南部の海軍基地からの入電で、南部の陸軍基地へタルル派部隊の移動の動きが見られ始めたとのことです....」
「そうか....。他に案があるものいないか?」
海軍首脳部で最も地位の高いニャマルカム・ターキン大将は将軍たちや参謀士官たちにとにかく案がないか聞く。
苦し紛れの案の募集でありなければ最終手段に出るしかないのは彼も、この場にいる彼女たちも皆重々承知していた。
「他に手はないでしょう...」
海軍参謀長が大将にそう言う。
「...そうだな」
ニャマルカム大将は決心した様子でその場にいた将兵に伝える。
「これより艦隊による海峡の砲台への直接攻撃を敢行する。内容は作戦案二号を採用する形だ。速やかに第1、第2混成艦隊を海峡出入り口付近に展開させてくれ」
「了解」
「我々にはもう時間が残されていないようだ。我々の命運はこの一戦にある。諸君らの健闘を期待する」
ニャマルカム大将はそう言って各将兵に敬礼する。
他の者たちも敬礼して返すといく人かの将兵は各々の持ち場へ向かうように司令室を退出していく。
大将はそれを見届けてから軍帽を掴み少し下向きにすると艦橋からずっと外を眺める。
多数の犠牲と引き換えの作戦にやるせない様子だった。
ミャウシア軍の大艦隊が海峡に向かって前進を開始した。
戦力は戦艦10隻、巡洋艦110隻、駆逐艦・フリゲート約1000隻でこれを多数の戦隊に分けて海峡沿岸を周回する。
ポンポタニアにとって一番厄介なのは意外にも駆逐艦とフリゲートだった。
ミャウシア海軍の主力駆逐艦、ミッチェナー級、ミャミャダン級は長砲身の55口径122mm砲の単装砲や連装砲を主武装にしている。
そのため射程は通常砲弾でさえ24kmに達し、沿岸砲でも捉えるのが難しい距離から砲撃を仕掛けてくる。
つまり駆逐艦の艦砲射撃は長射程と手数が相まって凶悪そのものだったのだのだ。
更にフリゲートも半数は同様の単装砲を2機搭載しているので必要に応じて砲撃を行うことができた。
ミャウシア軍艦隊がポンポタニア軍の哨戒網内に突入し捕捉される。
ポンポタニア軍はミャウシア海軍がしびれを切らせたように艦隊を動かしてきたことでチャンスとばかりに切り札の潜水艦隊で迎撃した。
<<ポンポタニア海軍P401型潜水艦21番艦>>
ポンポタニア軍の潜水艦の艦長が潜望鏡で主力艦隊の先を先行する対潜戦隊のミャウシア軍フリゲートを補足する。
「目標、距離4500、速度23。魚雷戦用意、方位345へ変針」
「1番から4番に魚雷装填!」
「魚雷装填しろ!」
「艦首をあげ、アップトリム3。開度4」
「縦舵調整、アップトリム3!」
「魚雷発射よーい。....撃て」
第二次世界大戦期の潜水艦と同等の見た目の潜水艦から4発の魚雷が発射される。
その頃、ミャウシア海軍の対潜戦隊は水上レーダーで潜望鏡がそこかしこから顔を出していることを既に察知していた。
<<ニャーランカムイナ級フリゲート ミレーニャ>>
対潜艦ミレーニャは数隻の味方艦と共に敵がいると思われる海域に最大戦速に近い速度で突っ込んでいく。
案の定魚雷を撃たれまくり、索敵員が伝声管越しに怒号で怒鳴り続ける。
「左舷から魚雷接近!!恐ろしいほど航走が見えない魚雷です!取舵一杯でお願いします!」
「取舵いっぱい!」
後続のための囮艦として体を張るフリーゲート達は敵の魚雷をかわしながら敵の位置を確認していく。
「こちら索敵員、方位198に敵がいる臭いです!」
「聴音手、どうだ?」
「私もその方角だと思います」
「回頭!」
フリゲートが変針して敵潜水艦がいる方向へ向かう。
そんな中、味方艦の1隻から大きな水柱が発生する。
ポンポタニア軍の酸素魚雷が命中し被弾艦は船体を真っ二つにされてしまった。
しかしそんなのに目をくれている余裕がない対潜戦隊はそれを無視して敵に肉薄する。
「対潜迫撃砲、砲撃用意!」
ミャウシア海軍はポンポタニア軍の潜水艦が爆雷では仕留めるのがとても困難なことを理解していたため量産されたばかりの大型対潜迫撃砲をできる限り艦に搭載し始めていた。
「アクティブソナーに反応、方位084、距離330mです」
「撃てえええ!」
ズドン、ズドン!
対潜迫撃砲から砲弾が発射されると放物線を描きながら飛んでいきフリーゲートの脇の海面に着水する。
しばらくすると海面に水柱が発生する。
この攻撃でポンポタニア軍潜水艦が1隻撃沈した。
ミャウシア海軍はかなりの苦戦を強いられながらも多数の対潜艦隊を投入し物量をもってポンポタニア海軍の潜水艦隊を押しのけ、主力艦隊を海峡に肉薄させ始めた。
<<ポンポタニア陸軍砲兵隊>>
「いよいよ、砲撃戦だ!奴らに目にもの見せてやれええ!」
「おおおお!」
「偵察機から入電。敵艦隊が25km地点から砲撃を開始しました。戦艦や巡洋艦からの砲撃です。」
「来るぞ。落盤注意!」
姿を露出した砲台はミャウシア軍の空襲であっという間に破壊されてしまうのは見えていたためポンポタニア陸軍は沿岸砲台の殆どを岸壁をくり抜いて建設したトーチカに設置していた。
岸壁や内陸部に多数の穴が見受けられミャウシア軍艦隊が迫れば砲を突き出して砲撃を開始するつもりだ。
だが流石にミャウシア海軍の戦艦の36cm砲や40cm砲、重巡洋艦の22cm砲による長距離攻撃は遠すぎて撃ち返せないので受け流す。
岸壁や少し先の内陸から多数の巨大な土煙が発生し、同時に轟音が周囲に鳴り響いた。
特にソミューニャ級の40cm砲の砲弾ではとにかく巨大な爆煙が吹き上がる。
一方のポンポタニア軍のトーチカでは低音を轟かせながら天井のコンクリートや手掘りの洞窟から砂がこぼれ落ちてきていた。
兵士たちは不安そうに天上を見て砲撃の機会を伺う。
運悪いトーチカは砲弾が出入り口に直撃し、40cm砲弾の場合はコンクリートを粉砕して内部を一気に破壊する。
正に死と隣り合わせだった。
けれど戦艦の艦砲射撃の手数には限度がある。
トーチカの大半が残存した状態で戦艦の砲撃は止み、水平線から艦橋がぎりぎり見える位の距離からミャウシア海軍の主力である駆逐艦とフリゲートの大群が姿を表し始めた。
そして1000隻近くの軍艦から数千門の主砲が海岸に砲身を指向する。
ポンポタニア軍砲兵隊もトーチカの扉をあけて中から主砲を出して狙いを定めていた。
「撃てええええええ!」
「撃てええええええ!」
両者の指揮官がほぼ同時に砲撃を指示する。
両軍はタイミングを合わせて一気に大規模な艦砲撃を開始した。
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