桜稜学園野球部記

神崎洸一

文字の大きさ
上 下
63 / 86

61

しおりを挟む
「さて、最初で最後の甲子園は楽しかったか?」
「…どうだかね」
「楽しんでおけば良かったのになあ」


「春の甲子園もいよいよ大詰め決勝戦、紫紺の優勝旗はどちらの手に渡るのか!?神奈川対決を制するのは桜稜学園か、それとも横浜大神奈川か!」


━━━━━


「空振り三振!御船6回は三者凡退!甲子園決勝に相応しい熱戦となってきました6回終えて0-0!」



「4番5番と連続三振、水落も打ち取り三者凡退!今日未だに二塁を踏ませていません!」


「一条の打球はセンターの大田に阻まれスリーアウト、ラッキーセブンも無得点」 


「御船の打球はピッチャーゴロになりました南が処理してスリーアウトチェンジ」

「中之島ライトフライランナー出せずにスリーアウト」




「0-0のまま迎える9回の攻防、横浜大神奈川の攻撃は幸先よく1番の王生から」


「俺が流れを作りますか…っと」
「初球思い切って打ってきた!ライト前クリーンヒット!先制のランナー出ました無死一塁!」

「見逃し三振!崔!ここでの三振は痛いワンナウト!」

「忌部の打球はレフトフライ、江島追い付いた」


「4番 サード 堀田くん」

「ようやくマトモな出番だな」
「ほっとけ」

「ストレート打った!これは良い当たり!」

「させるか!」
「財前捕った!?捕った!二塁アウトこれでスリーアウト!9回の表やはり得点ならず!」



「ついに迎える9回のウラ、劇的サヨナラ勝利か、それとも延長にもつれ込む死闘になるのか、桜稜学園最終回の攻撃は何が起こるか誰にも分かりません!」



「デッドボール!いきなりぶつけた!1球でサヨナラのランナーが出ました桜稜学園!」
「財前も続いた!今日初安打!」


「江島三振、ここから持ち直すのか!?」


「なんとしてでも…勝つ、勝つんだよ!」

「神崎ボール球に手を出した!水落後退、大田は前進している」



「これ以上御船に無理はさせてられねーよ!」

「弾いた!捕れない!前進していた大田の後ろにポトリと落ちた!」


「す、すまん!」
「前に行きすぎた俺が悪かった!」

「二塁セーフだ!一死満塁!ここからドラマが生まれるか!?」


「長宗我部打ちに行ったがファウルフライ、松本掴んでツーアウト」


「2番 セカンド 一条くん」
「9回ウラツーアウト満塁、ここからどんなドラマが生まれてくるのか、期待値抜群の対決になりそうです」




「スリーボール、苦手な相手だからかボール先行の投球になっていますカウント3-1」

「さあ5球目は何を投げるのか」



こんなことがあっていいのか、一条はそう思うことしか出来なかった。



「外角低めワンバウンド!こんなことが今まであったでしょうか!?」


「…じゃあな」


「押し出し!押し出し!現実はあまりにも無情!閉幕を告げるサイレンが甲子園の空に響き渡ります!桜稜学園高校の初優勝!1-0!」
しおりを挟む

処理中です...