傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第1章

第7話 2人の朝

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災厄で最悪な目覚めをした朝も深夜同様、雨が降り続けている。でも少し小降りになってるようだ。
「今日は全国各地で雨が降ります。東京は夕方頃には止むでしょうが、昨日の事件もありますので出勤の際はくれぐれもご注意ください。」
といつものようにニュースが流れている。“ただひとつ”いつもと違うのは、隣に霞がいることだ。
「もう、許してよー」
「そうよ。歩夢。ちょっとした出来心でしょ?霞ちゃんも悪気はあったかもしれないけど、もういい年なんだし。一回くらいそういう事があっても。」
「僕は校則を守る主義なんです。」
「じゃあ校内でゲームのイベントの情報確認する為に携帯確認するのやめたらどうなんです?」
「ぐっ…」
霞に痛いとこをつかれたのでグーの音も出ない。
うちの学校は校内、登下校共に携帯、スマホ禁止である。もっともこの法則を守っている人間などほぼいない。そのせいかこれを注意する先生も今ではかなり少ない。「わかった。許す。許すから…」
「流石、歩夢物分かりが早い!」
「褒めてんだか、茶化してんだかわからないんだけど?」
「私は褒めてるよ?」
と他愛もない会話を楽しんだ後、僕らは家を出た。
それから斜向かいにある霞の家に向かって。というのも霞は僕の家に泊まることになったのだが、制服や鞄を持って来てなかったのである。
「これ僕付き合う必要ある?」
「もちろん。あるよ。」
「じゃあ外で待ってるから」
「ダーメ‼︎」
と言いながら中へと押され、なす術なく霞の家の玄関へと押し込まれた。霞は自分の部屋に行く前に「覗いちゃダメだからね?絶対だよ?」
と何度も確認してくる。
それに「はいはい…」と答えると
「本当だよ?絶対だよ?」
と聞き返してくるので、ここまで来るとフリとしか思えない。
そんなこんなで何事もなく霞は制服姿になっていた。霞はなぜか少々悔しそうというか悲しそうな顔をしていたが、ここはそっとしておいた方が良さそうだ。
そこからはいつもと同じ道、景色を見ながら登校した。
ただひとつ違うのは何軒かの家の門が汚れていたり、傷が付いていたりしていた。
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