傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第1章

第3話 絶望

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さっき立てた予想(悪夢との関係性)は、偶然と割り切って今日も学校に行くことにした。
ピンポーン
「歩夢くんいます?」
インターホンを確認すると、霞がいつものように待っていた。
「ああ、おはよう。」と無愛想な挨拶を返し、家を出る。
もう外は雨が降っておらず、傘は持って行かないことにした。天気予報でも今日はもう降らないらしい。
入学時から何百回と歩いた道をいつものように黙々と歩く。
商店街を抜け、3分程歩くと僕の学校がある。僕の学校は「神奈川県立相模第二高等学校」通称二校。
僕が志望した理由は家から一番近いからという理由ーそこそこ頭もよかったので、推薦も遭ったのだがそれを押し切ってーだがその割には設備がと整っている。去年ようやく創立10年を迎えた。

でも今日はいつもと違った。

いつもうるさいくらいの学校が今日はすごくいや、不気味なくらい静かだった。

「ねぇ、あれって。」
霞の視線の先に目をやる。
僕は目の前に広がる光景に絶望するしかなかった。

校舎へと続く道に無数の生徒の怪我人(死人とは断定できないので怪我人)
とその中心に必ず傘があった。
どれも無傷で放置されていた。
だが不自然な点は必ず傘が開かれていること。
傘の色は様々だったが、色によって
赤の傘には、それを中心に火災の痕が。
黄の傘には、それを中心に電気痕が。
青の傘には、それを中心に侵食の痕が。
黒の傘には、それを中心に爆破痕があった。
何故かビニール傘には痕がなかった。
そして閉じられている傘にはなんの痕もなく、高確率で傷が付いていた。
値段が高そうな傘には大きな力(被害の痕が大きい)が付与されるようで、大量生産されていそうな1000~1500
円くらいの傘の周りの人たちは軽傷(軽傷といっても動けてなさそうなので骨折と擦り傷、捻挫くらいはみんなしている)で済んでいた。
しかし高価そうな傘の中心には生きてるのか死んでいるのかわからないくらい、少なくとも意識は無いような生徒ばかりが転がっていた。
普段の『 触らぬ神に祟りなし』が座右の銘の僕ならこのまま放置していただろうが、流石にこの光景を目の当たりにして突っ立っていられる程僕は人間を捨てていなかったため、バックから携帯を取り出し。
「しょうがないか。」
と言いつつ110番並びに119番をかけた。今日は始業式で先生たちは朝から体育館(校門から一番遠い)にいるためこの事故に誰も気づいていないらしい。
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