傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第1章

第1話 目覚め

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「はぁ…ひどい悪夢を見た。」
「なんか最近ついてないけど夢にまで見放されるとは。」
と寝起きで独り言を呟いてるのもいつもの事で、最近では自分でもこれをキモいとか愚かしいみたいに
まず自分で自分を貶めること自体
愚かな人間のする事であって、僕のような人間はこんな愚かしい行為をしないとあの出来事以来、心に決めていた。
僕は重度の効率厨のゲームオタクであり、中学・高校では学校一の陰キャで通っている。
そのせいか中1からいじめを頻繁に受けていた。
ある時は上履きを隠されて、またある時は弁当をトイレに捨てられた。
そして毎日のように暴力を振るった。
その時に初めて自分を貶めた。
「なんで僕はこんななんだ。」と
「こんなだからいじられるんだ。」と
それを乗り越えられたのはゲームのおかげであり、僕が今に至る理由でもある。
上記に記した“あの出来事”とはこのいじめのことである。


「歩夢~朝ごはん出来たわよ~あと、遅くなると霞ちゃんきちゃうわよ?」
霞とは僕の幼馴染であり、現在はクラスメートの女子でもある。
交際関係は全くないのだが、僕が心を許せるただ1人の人間。
先程説明したいじめの時、ただ1人だけ僕の味方をし、いじめの相談に乗ってくれた。だが和風美人で成績優秀、明るく男女問わず愛されるクラスの人気者というハイスペックだ。なので僕はクラスだとかなり妬まれているらしい。多分理由は学校を一緒に行ってるのが原因だろう。これはエピソードだが、いじめを受けている時の帰り道にいきなり好きな髪型を聞かれ、黒髪ロングと答えた次の日にいつもポナーテールで結んでいた髪を下ろして来たのには少々びっくりしたが、おそらく僕を元気付けるためだろう。それ以外の深い意味はないはずだ。
「歩夢?聞いてるの?」
とボーッとしていた僕を現実に戻したのは母親の声で、いつもの能天気な声だった。
「わかった。今行く。」
とただの定型文を返してダイニングに向かった。
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