傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第2章

第13話 真実

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「首謀者は、雇い主は誰だ?」
勤はそう訪ねた。
「大一パンの社長、斎藤大。」
「ショッピングモールの爆破もお前らか? 」
「そうだ。」
「どういう指示で動いた? 」
「こいつを殺せ。と言われた。」
そう言って生け捕りである男は1枚の写真を取り出した。そこには霞が写っていた。
「その理由は聞かなかったのか? 」
「聞いたさ、だが教えてもらえなかった。所詮、雇われ兵だからな。教える理由もないんだろう。」
「それでなんだが、なんで自白する気になった? 」
「さっきも言っただろ。所詮、雇われ兵つまり傭兵だ。忠誠を誓うような仲ではない。勝ち目がなくなったら逃げるし、それができなきゃ自白でもなんでもして生き延びる。そして次の仕事を探す。これが俺らのやり方だ。」
「だったらなんで、俺に殺せと言ったのだ? 」
「お前が肝の座っているやつか試しただけだよ。本当にあの局面になった時に大半の奴は殺れないからな。だがお前は足に魔法を放った。これはいつでも殺れるということだろ。」
「そうか。もういいぞ。」
と言われた途端に男はむくりと立ち上がり帰路に着いた。勤は念のためにその男に霞にもう近づけないようにする術式を貼った。バレないように綿密に。

一方、歩夢と霞は。
外で何が起きているかわからないという不安はあるが、少し仮眠を取っていた。
「ふぁ~~」
と大きなあくびをして歩夢は起きた。
小一時間くらい寝ただろうか。霞に起きる気配は全くなかった。ここは幸いにも本がたくさんあるので暇は潰せそうだ。旧字体といっても所詮は日本語と自分に言い聞かせ読み始めては見たのだが、まるで違う国の本を読んでいる様な気分になる。だが読める漢字を穴埋めでなんとなくの意味を理解することはできたので読み進めてみる。
『慶   二十年、  攻  落       大坂城    』
ところどころ文字が消えていて読めなかったがこれはおそらく日記だろう。慶、二十年、大坂城。これが意味するものは一つしかないと思った。慶長二十年(1615年)に起きた、有名な戦い。“大坂夏の陣”だと確信した。今からちょうど401年前の日記ということだ。それについて書かれていたが、なんとなくそれについてズラーっと書かれているだけだった。次にしっかり残っている日付はそれから約1年後の“元和一年五月十三日” だった。気になって全て読んで見た。
「この日付って…… 」


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