傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第2章

第12話 魔術戦争

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中に入るとそこには、やや大きめなソファと本が数冊があった。本はどれもきゅうじたいで書いてあるので僕には読めそうにもない。そして空気穴と思わしきところから少量の光が差し込んでちょっと幻想的だった。それを見ると少しホッとできたので、今のうちに眠っておこうと思った。霞はひどく疲れてもうグッタリしている、僕の支えがなくなったらすぐに倒れてしまいそうだった。少し屈み、霞の足元から腕を上げ抱きかかえる。世に言う「お姫様抱っこ」という体勢になった。それから霞をソファに運び寝かしつける。
といってももう既に寝ているような状況なので手の位置を楽そうな位置に変えるくらいなのだが。その後ソファに寄りかかる形で眠りにつく。いつもは寝付くまでに時間がかかるのだが、今日は疲れているのか、気付いた時には眠ってしまっていた。もしかしたら霞がそばにいてくれるというのもあるかもしれないが…

一方外は戦場と化していた。
神無月家は副業として傭兵もやっていたので、忍術というか古式魔術くらいは余裕できる。それで傘対古式魔術の戦いみたいな風になっていた。今はこちらが有利だが、いつ不利になるかわからない状況だった。風を起こしたり、津波で一掃したり地面から岩を築き上げたり。アニメで見るような光景だった。庭には死体と血痕、そして色とりどりの魔術。死体は殆どが敵のもので、戦闘慣れはしていないのが手に取るようにわかった。こちらは訓練という名目で月、水、金でやることが約400年前からの伝統となっているので実戦訓練はしていないが、戦闘慣れはしている。十数名の黒い人たちを一網打尽にし、1人だけ生け捕りにした。
「首謀者は誰だ?」
「殺せ!」
「もう一度聞く。首謀者は誰だ?」
「殺せ!」
「これで最後だぞ。首謀者は誰だ?」
「殺せ‼︎」
魔術を使うのに勤に躊躇いはなかった。だが殺すのではなく脅して自白させるのが目的の生け捕りなので、打ってのは足だったが。暫くの悶絶が終わると人が変わったように自白し始めた。
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