傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第1章

第16話 彼女。と同棲?(意味深ではない)

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親友改め彼女となった霞。今考えると結構なアプローチをかけていた事に気がつき、自分の鈍感さが否めない。
一つわかるのはゲームやアニメの鈍感主人公は決して作られているのではなく、素なのだという事(もちろん作り物ではあるが)。実際体験してみないとわからないものだなと思い直した。
「歩夢?ボーっとしてるけど何か考え事?」
「えッ⁈いや⁉︎なんでもない。」
「その反応は絶対なんでもなくないから。ほら!さっさと白状しなさい‼︎ 」
「かわいいな。と思って。」
「えっ…?」
霞はめちゃくちゃ動揺していて、尚且つ頬が赤くなっている。
だからこそ僕はちょっとした出来心で(笑)。
「ほら、この犬。可愛くない? 」
「まぁ可愛いけど……   歩夢の意地悪。」
そして少し間を置いてから。
「うそうそ。霞のことだよ。」
「ほ、ほんと?」
「もちろん。」
「歩夢のバカ…」
セリフはまんまギャルゲーのパクリなのだがそういう類のものを一切やらない霞には効果覿面だったようで、バカと言いながらも頬がさっきよりも赤くなっている。でもそんな霞は見ていて本当に可愛い。

ドンドン

少し遠くから聞こえてくる音で僕は妄想(霞)から現実に意識を戻した。
そこには黒づくめの男?が黒い傘を持って霞の家の門をノックして、いや殴っていた。

僕はすごい勢いで立ち上がりそのまま玄関を飛び出した。靴も履かずに裸足で。

「おい。何してる? 」
「やばっ⁉︎ 」
と言いながら逃げ出そうとしたので後ろから押し倒し、地面に押さえつける。慌てた駆けつけた霞に警察を呼んでもらい、事態はなんとか収まった。

「霞…? 」
「歩夢… 怖い、怖いよ。何で私の家族が狙われるの?」
泣き出す霞をソファに座らせ、抱き寄せる。
「大丈夫…もうこんな目には合わせない。」
霞と自分に言い聞かせ、僕は決意した。
「それでなんだけど… 霞、しばらく家に泊まらない? 」
「えっ⁈ それはどういう… 」
「いや… 特に深い意味はないんだけど… 」
しばらく誤解され、動揺され、ドン引きされた。誤解を解くのに1時間くらいかかった。だがその後なぜか少々霞が嬉しそうだったのは何故だかわからない。
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