傘に魔法が宿ったら

ゆず太郎

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第1章

第10話 復讐

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あいつとは半年前
クラスの中の成りヤン4人組に激しいいじめを受け、不登校になった田中。違うクラスの僕でもこの話はかなり有名で他人とあまり交流がない僕でも知っている。
だとしてもなぜここ(昇降口)を事件現場にしようとしたのか…
「いや…そういうことか?」
「何か分かったの?」
独り言でつぶやく僕に霞は疑問をぶつける。
「確信ってわけじゃないんだけど…もしかしたら~見たいな?」
「まぁ今の状態ならね。」
いや…確信できる事が一つ、そのいじめっ子はチャイムが鳴る瞬間に教室を飛び出しチャイムが鳴り終わる頃には学校の外にいる(一般生徒で教室によって異なるが2分はかかる)。という噂すら流れる瞬足の陸上部四天王。と言われるくらい帰るのが下校開始時間がわかりやすいため犯行を仕掛けるが容易である。だがどうやって?いままで起きた事件では大概の傘の周りにいた周囲の人間が近ければ近いほど影響は大きかった。でもなぜ使われていた「傘は赤い傘…黒い傘と違い、炎が燃え広がるだけなので防火服を着ていれば普通に防げるのか?」
だったら…近くにいるかもしれない。
もしかしたら2回目の事件を起こそうとしている…?
僕が田中だったら次に仕掛けるのは、
自分の教室?それとも職員室…?
僕は迷わず選んだ。答えは職員室。
理由は陸部四天王を停学もしくは退学にするかしないかの議論でその生徒たちは大会で4人とも凄い成績を残しているため退学や停学には出来ず、このいじめをなかった様に仕立てたからである。
「だったら少しヤバいよな…」
「?何が?」
「ごめん…霞ちょっと行かなきゃいけないところができた。」
「じゃあ私も…」
「本当にすぐ終わるからまってて。」
それを言い放った直後、ここから2棟(うちの学校はやけに広く校舎だけで7棟、体育館と格技場は2つずつある。)離れた職員室のある校舎まで全力疾走。
すると…案の定田中はそこにいた。
しかも傘を開きかけた状態で。
「あなたは?」
「隣のクラスの神無月だ。傘を下ろせ。」
「嫌ですよ。今から復讐するんです。僕をダメにしたこの学校に…」
次の瞬間、僕は田中に体育の授業で習った背負い投げをして体制を崩してから持っていた傘を田中の手から離し廊下に投げ捨て、それから袈裟固めをして奴を動けない様にした。
「なんでこんな事したんだ?」
「だから言ってるじゃないですか~復讐のためだと。」
「じゃあその持っている黒い傘はなんだ?黒い傘は爆発の能力があるって知っててなのか?」
「そうなんですか?といっても信じてもらえそうにないですよね。そうですよ。知ってました。」
「それなら復讐じゃなくて自殺だろ。」
「そうですよ。復讐兼自殺といったところでしょうか?」
「右手に持ってる鞄はなんだ?」
「ああ。これですか?防火服ですよ。何か問題が?」
「わかった。なんでもない。」
自分の予想があまりにも的中するので心の中で苦笑した。
その後、すぐに近隣住民から火災で警察や消防が駆けつけたため、事件はすぐに解決し田中は警察署へ向かった。
学校側もいじめを認め、一件はとりあえず幕を閉じた。
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