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第1楽章 吹奏楽部と入学式と仮入部
第3小節 部活オリエンテーション
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今日で入学式から一週間。
めんどくさいオリエンテーションもほとんど終わり、ようやく始まる授業(ガイダンスが一週間続いた。)とともにそれはやってきた。
「今日は部活動オリエンテーションです。しっかり発表を見るように。」
担任となった、杉原 千代先生が明るい声でそう言った。名前は少し昭和感が漂うがこれでもまだ20代だ。
実はクォーターらしく、祖母がユダヤ人で杉原千畝から“千”という字を取り、杉原千畝のような考え方のできる人として生まれてから死ぬまでいてほしいという意味で“千代”らしい。
“代”というのが生まれてから死ぬまでの期間を表すようだ。これを考えたのがそのユダヤ人の祖母であるということに本当に驚いた。ちなみに苗字の杉原というのは本当に偶然で、ユダヤ人である先生の祖母も旦那さんと知り合い、名前を杉原という字を見るまで知らなかったのだ。奇跡にもほどがあるとは思うが事実のようだった。その先生の祖母はその事実を知った時泣いて喜んだと聞いている。
「ほら、葛城くん?廊下に出なさい。」
「あっ⁈ すみません。すぐ出ます。」
それを言うと急いで廊下に整列した。
オリエンテーションは最初から滞りなく進んだ。野球部から始まりサッカー部、バスケ部、陸上部等々の説明が終わると文化部のエリアに入った。
文化部は美術部、茶道部、演劇部等の説明が終わるといよいよ大トリである吹奏楽部の発表となった。
「いよいよ最後の部活となりました。
吹奏楽部さんよろしくお願いしまーす‼︎ 」
とハイテンションで司会が進行すると、短い沈黙の後。
美しいトランペットのファンファーレが体育館いっぱいに広がった。そしてパーカスやクラリネット?がタイミングよくファンファーレに合わせて音を大きくしている。その後のクラリネットの連符が終わると再びトランペットのファンファーレに戻った。しかし今度は層が分厚い。バスドラムやチューバと言った低音の楽器も音を出していた。
「ん? なんか聞いたことある。」
「どうした? 真一。」
「い、いやなんでもないよ。」
今吹奏楽部の吹いている曲は、最近映画化されかなりの話題になったとあるアニメ映画の挿入曲だったということに気づいた。
それに気づいた時にはクラリネットやフルートが中心となるメロディーも終わり、テーマに戻る。少し経つと完全に終わりという雰囲気を漂わせ、今にも拍手して下さいと言わんばかりだった。僕も危うく拍手しそうになった。
そして過半数以上は誘われたとうりに拍手していた。しかしまだこの曲はまだ終わりではない。
次の瞬間トランペットの一人が舞台の真ん中に立ったと思うと、一つの迷いもないような透明な音でソロを吹き始めたのだ。すごく誘われるようなでも哀愁漂う感じのソロだった。アニメ映画の方もすごかったがそれと同等かそれ以上に僕には聞こえた。僕は改めて吹奏楽部に入ることを決意した。
その後はさっきのソロとは対照的に明るいがしっかりとしたメロディーで、さっきまであまり目立たなかった低音域の楽器が高音を先導している。それと掛け合いになるように高音は楽しげに。まるで野山や丘の上で遊ぶ親鹿と子鹿のように楽しげに音を奏でていた。それからクラスに戻り仮入部カードとかいうものをもらい亮介とともに音楽室に向かった。
めんどくさいオリエンテーションもほとんど終わり、ようやく始まる授業(ガイダンスが一週間続いた。)とともにそれはやってきた。
「今日は部活動オリエンテーションです。しっかり発表を見るように。」
担任となった、杉原 千代先生が明るい声でそう言った。名前は少し昭和感が漂うがこれでもまだ20代だ。
実はクォーターらしく、祖母がユダヤ人で杉原千畝から“千”という字を取り、杉原千畝のような考え方のできる人として生まれてから死ぬまでいてほしいという意味で“千代”らしい。
“代”というのが生まれてから死ぬまでの期間を表すようだ。これを考えたのがそのユダヤ人の祖母であるということに本当に驚いた。ちなみに苗字の杉原というのは本当に偶然で、ユダヤ人である先生の祖母も旦那さんと知り合い、名前を杉原という字を見るまで知らなかったのだ。奇跡にもほどがあるとは思うが事実のようだった。その先生の祖母はその事実を知った時泣いて喜んだと聞いている。
「ほら、葛城くん?廊下に出なさい。」
「あっ⁈ すみません。すぐ出ます。」
それを言うと急いで廊下に整列した。
オリエンテーションは最初から滞りなく進んだ。野球部から始まりサッカー部、バスケ部、陸上部等々の説明が終わると文化部のエリアに入った。
文化部は美術部、茶道部、演劇部等の説明が終わるといよいよ大トリである吹奏楽部の発表となった。
「いよいよ最後の部活となりました。
吹奏楽部さんよろしくお願いしまーす‼︎ 」
とハイテンションで司会が進行すると、短い沈黙の後。
美しいトランペットのファンファーレが体育館いっぱいに広がった。そしてパーカスやクラリネット?がタイミングよくファンファーレに合わせて音を大きくしている。その後のクラリネットの連符が終わると再びトランペットのファンファーレに戻った。しかし今度は層が分厚い。バスドラムやチューバと言った低音の楽器も音を出していた。
「ん? なんか聞いたことある。」
「どうした? 真一。」
「い、いやなんでもないよ。」
今吹奏楽部の吹いている曲は、最近映画化されかなりの話題になったとあるアニメ映画の挿入曲だったということに気づいた。
それに気づいた時にはクラリネットやフルートが中心となるメロディーも終わり、テーマに戻る。少し経つと完全に終わりという雰囲気を漂わせ、今にも拍手して下さいと言わんばかりだった。僕も危うく拍手しそうになった。
そして過半数以上は誘われたとうりに拍手していた。しかしまだこの曲はまだ終わりではない。
次の瞬間トランペットの一人が舞台の真ん中に立ったと思うと、一つの迷いもないような透明な音でソロを吹き始めたのだ。すごく誘われるようなでも哀愁漂う感じのソロだった。アニメ映画の方もすごかったがそれと同等かそれ以上に僕には聞こえた。僕は改めて吹奏楽部に入ることを決意した。
その後はさっきのソロとは対照的に明るいがしっかりとしたメロディーで、さっきまであまり目立たなかった低音域の楽器が高音を先導している。それと掛け合いになるように高音は楽しげに。まるで野山や丘の上で遊ぶ親鹿と子鹿のように楽しげに音を奏でていた。それからクラスに戻り仮入部カードとかいうものをもらい亮介とともに音楽室に向かった。
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