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青崎真司郎と戦い慣れ
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「バン!!!!!」
これまでとは比にならない大声を草戯原はあげた。咄嗟に耳を塞ぐ青崎と白松だったが白松が吐血をした。
「白松!」
「よそ見していていいのか?」
背後から声がして後ろを振り返る。しかしそこには誰の姿もない。
「こっちだ。」
青崎は背中を思いっきり蹴り飛ばされて地面に顔を打つ。
「ちっ。背後から声が聞こえたように聞かせて隙を作ったのか。おまえさすが戦い慣れしてるな。」
「その程度の種明かしで得意げになるガキとじゃやる前から結果は分かっているようなもんだ。」
「うぜえ!」
青崎は足払いをして体制の崩れたところにアッパーを決めようとする。しかしその右腕を掴まれてしまう。
「これで耳は塞げないな。」
草戯原は勝ち誇ったように笑顔を浮かべ、大きく息を吸ったーーー。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
屈強な男たちの殺意の眼差しを集めながらも氷の女王は動じることなく可憐に舞い踊る。
刺々しい氷の結晶が空から降り注ぐ。それらを操る姿はなんとも美しい。
「あゝ、お嫁にしたい……。」
「ーーーそこの変な地の文並べて私にずっと視線向けてる変態、あんた何なの?」
平安時代の貴族みたいな格好で座り込んでまじまじと星宮を見つめる男。戦い始めてからずっと気になっていたけれどツッコミを入れる余裕がなく、敵があらかた片付いた今やっとツッコミができたので星宮は少しだけすっきりした。
「まあまあそう怒らないでくれたまえよマイプリンセス。」
「誰がマイプリンセスだ!」
「僕は美しいさと強さを兼ね備えたあなたに惚れ込んでしまいました。さあ僕と結婚しましょう!」
「しません!!」
「な、何故だ……僕はこんなに愛しているのに……!」
驚愕の表情を浮かべる男にバカにされてる気がした星宮は久々にSモード全開になる。
「誰があなたみたいなキモ男のパートナーになんかなりますか。」
怒鳴るわけでも荒々しく言うわけでもなく、ただ淡々とした口ぶりで相手の心を折る。
その強い口ぶりと態度こそが星宮が女王様たる所以。
「だいたい初対面の人に対して好意をむき出しにするなど信頼性皆無ですし、一方的に感情を押し付けてくる重さに吐き気すら覚えます。」
ひ、ひでえ……と言った様子でほかの男たちが星宮を見るので星宮もハッと我に返る。
「ご、ごめんなさい! つい言いすぎちゃった……。」
「そこまで、そこまで必死に僕を避けるということはもしかして君は今好きな人でもいるのか!?」
「ーーーっ!?」
不意打ちな言葉に星宮は思わず頬を赤らめて俯く。
「いけないなあ。それはいけない。」
男はそう呟きながら立ち上がる。背はそこまで大きくないものの不気味な雰囲気を醸し出している。
「ふ、副隊長!」
誰かがそう読んだ。確か白松が副隊長だったはず。
「なるほど。あなたが新副隊長。只者じゃないってわけね。」
「君は僕の、僕だけのものにならなくてはいけない。そのためには君を僕の手で思い出にしちゃえばいいんだよね?」
男は幸せそうに笑って銃を構えた。
これまでとは比にならない大声を草戯原はあげた。咄嗟に耳を塞ぐ青崎と白松だったが白松が吐血をした。
「白松!」
「よそ見していていいのか?」
背後から声がして後ろを振り返る。しかしそこには誰の姿もない。
「こっちだ。」
青崎は背中を思いっきり蹴り飛ばされて地面に顔を打つ。
「ちっ。背後から声が聞こえたように聞かせて隙を作ったのか。おまえさすが戦い慣れしてるな。」
「その程度の種明かしで得意げになるガキとじゃやる前から結果は分かっているようなもんだ。」
「うぜえ!」
青崎は足払いをして体制の崩れたところにアッパーを決めようとする。しかしその右腕を掴まれてしまう。
「これで耳は塞げないな。」
草戯原は勝ち誇ったように笑顔を浮かべ、大きく息を吸ったーーー。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
屈強な男たちの殺意の眼差しを集めながらも氷の女王は動じることなく可憐に舞い踊る。
刺々しい氷の結晶が空から降り注ぐ。それらを操る姿はなんとも美しい。
「あゝ、お嫁にしたい……。」
「ーーーそこの変な地の文並べて私にずっと視線向けてる変態、あんた何なの?」
平安時代の貴族みたいな格好で座り込んでまじまじと星宮を見つめる男。戦い始めてからずっと気になっていたけれどツッコミを入れる余裕がなく、敵があらかた片付いた今やっとツッコミができたので星宮は少しだけすっきりした。
「まあまあそう怒らないでくれたまえよマイプリンセス。」
「誰がマイプリンセスだ!」
「僕は美しいさと強さを兼ね備えたあなたに惚れ込んでしまいました。さあ僕と結婚しましょう!」
「しません!!」
「な、何故だ……僕はこんなに愛しているのに……!」
驚愕の表情を浮かべる男にバカにされてる気がした星宮は久々にSモード全開になる。
「誰があなたみたいなキモ男のパートナーになんかなりますか。」
怒鳴るわけでも荒々しく言うわけでもなく、ただ淡々とした口ぶりで相手の心を折る。
その強い口ぶりと態度こそが星宮が女王様たる所以。
「だいたい初対面の人に対して好意をむき出しにするなど信頼性皆無ですし、一方的に感情を押し付けてくる重さに吐き気すら覚えます。」
ひ、ひでえ……と言った様子でほかの男たちが星宮を見るので星宮もハッと我に返る。
「ご、ごめんなさい! つい言いすぎちゃった……。」
「そこまで、そこまで必死に僕を避けるということはもしかして君は今好きな人でもいるのか!?」
「ーーーっ!?」
不意打ちな言葉に星宮は思わず頬を赤らめて俯く。
「いけないなあ。それはいけない。」
男はそう呟きながら立ち上がる。背はそこまで大きくないものの不気味な雰囲気を醸し出している。
「ふ、副隊長!」
誰かがそう読んだ。確か白松が副隊長だったはず。
「なるほど。あなたが新副隊長。只者じゃないってわけね。」
「君は僕の、僕だけのものにならなくてはいけない。そのためには君を僕の手で思い出にしちゃえばいいんだよね?」
男は幸せそうに笑って銃を構えた。
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