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青崎真司郎と音を司る者
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「青崎……!!」
白松が現れた男の名を呼ぶと草戯原は顎に手を当てる。
「……ん? ああ。じっくり顔見たら思い出したわ。おまえあの時白松と遊んでたやつか。」
余裕の表情で言う草戯原に青崎はパンチと蹴りを織り交ぜた6連打をお見舞いする。草戯原はいずれも防いで見せるが勢いに押されて少し後退する。
「遊んでたねえ。そこまでの差が俺らとおまえの間にあるとは思えないぜ草戯原。」
「1つ忠告だ。僕様の名前を気安く呼ぶな。」
草戯原のその言葉1つで青崎の視界が揺らんだ。平衡感覚を失った青崎はその場に倒れて草戯原を見上げる形となった。
「これが俺とおまえの差だが?」
「青崎、そいつは音を司る能力者。声で脳を刺激して様々な攻撃をしてくる。」
やっと立ち上がった白松が頭を押さえてながら言う。
「やっと効果が切れたか白松? おまえにはじっくりと地獄を見せてやらないとなあ?」
白松はその言葉に反応は示さず、星宮の氷でのされた龍王天理界メンバーの握る刃物を手に取り、1、2回デコピンで刃の強度を確かめる。
「よし。」
そう呟いた白松が刃先をつまむと刃の部分、つまり鉄の部分だけがつまみ出されて持ち手の部分は地面に転がり落ちる。
そして刃を手裏剣の形に変形させると白松は大勢の敵に向けて投げつける。手裏剣は白松に完全にコントロールされ、男たちを次々と切り刻む。そして白松の手元に帰る。
白松は安堵のため息をつくと大きく呼吸を乱した。汗も滴り落ちる。
「やっぱ操作するのは体力の消耗が半端ないな。けどその代わり半分くらいは仕留めたはずだ。」
白松は星宮のほうを見る。
「こいつらは下級能力者および無能力者の集まりだ。残りおまえに頼めるか?」
「ええ。心配しないでも大丈夫、それより早く青崎君の援護に!」
「助かる。」
確認を終えたところで白松は青崎の元へと合流しようとする。
「行かせねえ!!」
男たちが殴りかかろうとするものの白松は気に留めない。すると男たちの前には突如氷の壁が現れてせき止められる。
「あなたたちの相手は私って空気読めないのかしら?」
「さすが生徒会に選ばれる逸材。豪快な能力だな。」
言うと白松も負けじと先ほど生成した手裏剣を構える。
「白松、そんなおもちゃで僕様を倒せる気でいるだなんて心底見損なったぞ。」
「それはどうかな?」
そう言うと白松は手裏剣を草戯原へと放つ。
草戯原は当然のごとくそれをかわす。
「決めつけるのははやいんじゃねえか?」
白松が手を引くような動作をすると草戯原の後方へと飛んだ手裏剣が軌道を変えて再び草戯原へと襲いかかる。それに気づいた草戯原は手裏剣の速度を見切ってかわそうとする。
刹那、手裏剣が加速し軌道を変える。
草戯原が反射的にかわそうとするも手裏剣は草戯原の頬をかすめた。
軽く切れた頬から血が垂れ、白松はニヤリと笑う。
「……僕様に傷を? 誰が? 白松が? は?」
理解できないといった様子で血を拭った自身の手を見つめる草戯原が怒りからか小刻みに揺れる。
「終わりだ。じっくり遊んでやろうと思っていたが気が変わった。白松おまえはもう死ね。」
「断る。」
手裏剣を構え、息を切らしながら満身創痍の白松は言った。
白松が現れた男の名を呼ぶと草戯原は顎に手を当てる。
「……ん? ああ。じっくり顔見たら思い出したわ。おまえあの時白松と遊んでたやつか。」
余裕の表情で言う草戯原に青崎はパンチと蹴りを織り交ぜた6連打をお見舞いする。草戯原はいずれも防いで見せるが勢いに押されて少し後退する。
「遊んでたねえ。そこまでの差が俺らとおまえの間にあるとは思えないぜ草戯原。」
「1つ忠告だ。僕様の名前を気安く呼ぶな。」
草戯原のその言葉1つで青崎の視界が揺らんだ。平衡感覚を失った青崎はその場に倒れて草戯原を見上げる形となった。
「これが俺とおまえの差だが?」
「青崎、そいつは音を司る能力者。声で脳を刺激して様々な攻撃をしてくる。」
やっと立ち上がった白松が頭を押さえてながら言う。
「やっと効果が切れたか白松? おまえにはじっくりと地獄を見せてやらないとなあ?」
白松はその言葉に反応は示さず、星宮の氷でのされた龍王天理界メンバーの握る刃物を手に取り、1、2回デコピンで刃の強度を確かめる。
「よし。」
そう呟いた白松が刃先をつまむと刃の部分、つまり鉄の部分だけがつまみ出されて持ち手の部分は地面に転がり落ちる。
そして刃を手裏剣の形に変形させると白松は大勢の敵に向けて投げつける。手裏剣は白松に完全にコントロールされ、男たちを次々と切り刻む。そして白松の手元に帰る。
白松は安堵のため息をつくと大きく呼吸を乱した。汗も滴り落ちる。
「やっぱ操作するのは体力の消耗が半端ないな。けどその代わり半分くらいは仕留めたはずだ。」
白松は星宮のほうを見る。
「こいつらは下級能力者および無能力者の集まりだ。残りおまえに頼めるか?」
「ええ。心配しないでも大丈夫、それより早く青崎君の援護に!」
「助かる。」
確認を終えたところで白松は青崎の元へと合流しようとする。
「行かせねえ!!」
男たちが殴りかかろうとするものの白松は気に留めない。すると男たちの前には突如氷の壁が現れてせき止められる。
「あなたたちの相手は私って空気読めないのかしら?」
「さすが生徒会に選ばれる逸材。豪快な能力だな。」
言うと白松も負けじと先ほど生成した手裏剣を構える。
「白松、そんなおもちゃで僕様を倒せる気でいるだなんて心底見損なったぞ。」
「それはどうかな?」
そう言うと白松は手裏剣を草戯原へと放つ。
草戯原は当然のごとくそれをかわす。
「決めつけるのははやいんじゃねえか?」
白松が手を引くような動作をすると草戯原の後方へと飛んだ手裏剣が軌道を変えて再び草戯原へと襲いかかる。それに気づいた草戯原は手裏剣の速度を見切ってかわそうとする。
刹那、手裏剣が加速し軌道を変える。
草戯原が反射的にかわそうとするも手裏剣は草戯原の頬をかすめた。
軽く切れた頬から血が垂れ、白松はニヤリと笑う。
「……僕様に傷を? 誰が? 白松が? は?」
理解できないといった様子で血を拭った自身の手を見つめる草戯原が怒りからか小刻みに揺れる。
「終わりだ。じっくり遊んでやろうと思っていたが気が変わった。白松おまえはもう死ね。」
「断る。」
手裏剣を構え、息を切らしながら満身創痍の白松は言った。
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