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【第101話】カリディアへ帰国

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「この屈辱は忘れませんよ。」
ニルスは爆発する前に距離を取って逃げたが、それでもダメージが凄かった。

「生きていてほしいですね。」
邪悪な笑みを浮かべてその場を後にした。そして影へと潜り込んで消えた。


クルミとアリス達はというと、生きていた。

「ありがとう。助かった。でも貴方も帝国の人でしょ?」

アリスを背後に庇いながらクルミは警戒を解いてなかった。その横にはルティもまた猫娘の姿のまま、アリスに保護をかけていた。

「もとな。今は帝国のやり方が気に入らなくて抜け出してきた。ちょっとニルスとは因縁があってな、ここで決着をつけようと様子を見ていた。」

科学の国トルゴラム、ラムリス皇帝の
影マルキースだった。クルミへの調査を皇帝から密命をおびていたのだった。

「そう。」

クルミは少し警戒を解いた。

このタイミングは怪しいけど、敵意があるわけではないみたいね。

「でこれは?」

クルミ達の四方に、矢が刺さっておりそれが繋がり光の壁ができていた。
これにより爆発の衝撃に耐えたようだった。

「まぁ帝国のバリアだな。原理はよく知らないけどな。」 

これは皇帝を守護する、バリアフィールドを展開させる。【守護結界】だった。

クルミも突如放たれた矢を感知していた。一射で4つ矢を飛ばして正確に取り囲むように撃った実力に驚いた。

そしてこのマルキースの実力を脅威だと感じていた。

中年の男性で精悍な顔にマント。髪は少し白髪交じりの黒色。手には弓矢、そしてマントの中にはまだ武器を隠しているのを感じた。

「今は信じるしかないわね。これからどうするの?」

「まぁ奴はしつこいからまた現れると思うからな。少し一緒に行動させてもらえると助かる。厳しいかな?」

マルキースは流石に厳しいと思いながら要望をクルミに伝えた、その反応に驚いた。

「いいよ。まずはアリスを国まで送り届ける護衛をお願いするね。」

「あぁ。護衛は得意だ。」

うっかり護衛が得意なことをバラしてしまうほどだった。

これからどうやって帰るか考えているところに陽向と久遠が影の中から表れた。

陽向に憑依した悪魔の力だった。

「すでに終わったあとか。そいつは誰だ?」

久遠がクルミに質問してきた。

「もと帝国の人でマルキース。危ないところを助けられて、国に戻るまで護衛をお願いいたしますしたの。」

「そうか。」

久遠もすぐに警戒をといた。それを見てマルキースは、そうあっさりと信じられてもと思ったが、すぐに思い直した。

これは、実力でも何とかできるとの自信からか。少し呆れてしまった。

それにしてもこの子供は悪魔に憑依されているのか、人間に味方している?

マルキースは動揺していたが、クルミ達は誰かに連絡しているようで、帰る準備ができたようだ。

「マルキース、陽向の闇移動でカルディアに一気に戻るけど用意はいい?」

「承知した。」

クルミの有無言わさない圧力で、危険だけれど悪魔の移動魔法を使わざるえなくなった。

そしてカリディアへと戻って行った。

戻ってすぐに与一将軍やライゲン将軍、与太郎が集まってきた。多少疲れてていてライゲンは少し怪我をしているようだった。

「アリス様!!」

「アリスは移動した衝撃で目をさましていた。」

「みんなは無事?」

「多少犠牲は出ましたが、想定よりも被害は少なく済みました。」
与一将軍が答えた。

クルミは街が所々破壊されていて、倒れている人々をみてこれが多少?と思ったが戦力的にこれで済めばいい方だと考えていた。しかしアリスはそうではなかったようだった。

「まずは回復を!」

喜助がアリスにキュアの魔法をかけた。しかし光るだけで回復する気配がなかった。当然クルミも事前に治療はしていた。

「精霊魔力破壊のブレスレットで殴られた後遺症だと思う。しばらくしたらその効果もきれるだろう。」

「この方は??」

マルキースが説明してきたのを聞いていた人々で与一が代表してクルミに質問した。その後事情を説明した。

そうこうしている間に街の住人や兵士たち、アリスの護衛部隊、ラウルを中心に集まりだした。

「クルミ樣! アリス様!!」

クルミはこの騒動をおさめようとした。

「クルミお姉ちゃん。私から話をさせて。」

アリスは群衆の前に立った。身体はボロボロ、目には大きなアザができていた。

その姿を見て群衆は不満があるものも何も言えなくなった。中には最悪な想像をしたものもいた。

「最後まで頑張ったけどごめんなさい。またクルミお姉ちゃんに助けられてしまいました。」

後は言葉にできず涙を流すことしかできなかった。

「アリスは最後まで諦めずに戦った。あなた達も戦ったみたいね。まだこの国は若き女王と共に強くなれるわ!! アリスのことよろしくね。」

クルミの優しい語りかけるような話は群衆の心に響いた。自分たちのためにボロボロの女の子を見て力になりたいとみな思ったのだった。

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