5 / 5
05.『Origin』
しおりを挟む
『Fスフィア』は世界各国で使われるようになった。素晴らしいエネルギーは世界を豊かにする。人類の文明を発展させた。
各地には『Fスフィア』工場が作られた。いまではそこで、多くの妖精が『Fスフィア』生成に使われている。
妖精は死ぬことがなかった。また『産卵』に限度はなく、不滅のエネルギー生産物となった。
『産卵』には十日ほどかかるが、妖精というのは大きくないため、狭い工場でも妖精専用の培養槽を数多く置くことができた。それにより『Fスフィア』は量産される。
「すごい数の妖精ですね……さすが、世界初の『Fスフィア』工場ですね」
とある工場内。腹を膨らませた妖精を捕らえた培養槽がいくつも並んでいた。ピンク色の液体の中に浸るそれらの腹には、個体番号が焼印されている。
どの個体も、股に緑色の液体が流れるプラグが挿入されていた。培養槽のいくつかには、身体を痙攣させている個体がいるものの、ちょうど追加の『スフィア・ゲル』を与えられている最中だった。
「ここにいる奴らは、明日『産卵』予定だ……新人のお前には、まずはこれを手伝ってもらうぞ」
「うわぁ! 楽しみです!」
「その前に今日はとにかく、工場内の案内だ。いいか、工場内は広い、よく話を聞いて覚えてくれ。あと、わからないことはどんどん聞いてくれ」
と、先を歩く人間が、培養槽の森の先を指さす。
「さてと……あれが、始まりの妖精さ」
「『FS-000』……歴史の教科書にも載っているものですね! これが『Fスフィア』のはじまり……!」
広い空間の中央に、ピンク色の液体で満ちた培養槽が一つ。
中には四肢と羽を固定された妖精が一体。液体の色のためわかりにくいものの、薄いピンク色の髪を持つ妖精だった。かつてはボブヘアだった髪だが、いまでは長く伸びている。ぼんやりと開いた瞳は水色で、光はない。
「…………♡ ~~~♡」
甘い声を漏らしつつぴくん、ぴくんと震える彼女の股には、緑色の液体が流れるプラグ。
腹は妊婦のように膨れて、臍の下にある焼印がよく見えた。
『FS-000』
個体番号の下に、焼印がもう一つ。
『Origin』
「………♡♡」
彼女は展示物となった。
しかしいまも『Fスフィア』を作り続けている。
――子宮へと流れる緑色の液体。追加の『スフィア・ゲル』が注がれている
「………~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡♡♡!!!!!」
身体が大きく揺れた。モニターに表示されているバイタルを見れば、快楽値が絶頂の領域に達していた。
――『FS-000』はこれからも絶頂を繰り返す。『産卵』を繰り返す。
ものとなり果てた彼女の本当の名前を知る者は、もういない。
彼女自身も、もう憶えてはいない。
【終】
各地には『Fスフィア』工場が作られた。いまではそこで、多くの妖精が『Fスフィア』生成に使われている。
妖精は死ぬことがなかった。また『産卵』に限度はなく、不滅のエネルギー生産物となった。
『産卵』には十日ほどかかるが、妖精というのは大きくないため、狭い工場でも妖精専用の培養槽を数多く置くことができた。それにより『Fスフィア』は量産される。
「すごい数の妖精ですね……さすが、世界初の『Fスフィア』工場ですね」
とある工場内。腹を膨らませた妖精を捕らえた培養槽がいくつも並んでいた。ピンク色の液体の中に浸るそれらの腹には、個体番号が焼印されている。
どの個体も、股に緑色の液体が流れるプラグが挿入されていた。培養槽のいくつかには、身体を痙攣させている個体がいるものの、ちょうど追加の『スフィア・ゲル』を与えられている最中だった。
「ここにいる奴らは、明日『産卵』予定だ……新人のお前には、まずはこれを手伝ってもらうぞ」
「うわぁ! 楽しみです!」
「その前に今日はとにかく、工場内の案内だ。いいか、工場内は広い、よく話を聞いて覚えてくれ。あと、わからないことはどんどん聞いてくれ」
と、先を歩く人間が、培養槽の森の先を指さす。
「さてと……あれが、始まりの妖精さ」
「『FS-000』……歴史の教科書にも載っているものですね! これが『Fスフィア』のはじまり……!」
広い空間の中央に、ピンク色の液体で満ちた培養槽が一つ。
中には四肢と羽を固定された妖精が一体。液体の色のためわかりにくいものの、薄いピンク色の髪を持つ妖精だった。かつてはボブヘアだった髪だが、いまでは長く伸びている。ぼんやりと開いた瞳は水色で、光はない。
「…………♡ ~~~♡」
甘い声を漏らしつつぴくん、ぴくんと震える彼女の股には、緑色の液体が流れるプラグ。
腹は妊婦のように膨れて、臍の下にある焼印がよく見えた。
『FS-000』
個体番号の下に、焼印がもう一つ。
『Origin』
「………♡♡」
彼女は展示物となった。
しかしいまも『Fスフィア』を作り続けている。
――子宮へと流れる緑色の液体。追加の『スフィア・ゲル』が注がれている
「………~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡♡♡!!!!!」
身体が大きく揺れた。モニターに表示されているバイタルを見れば、快楽値が絶頂の領域に達していた。
――『FS-000』はこれからも絶頂を繰り返す。『産卵』を繰り返す。
ものとなり果てた彼女の本当の名前を知る者は、もういない。
彼女自身も、もう憶えてはいない。
【終】
1
お気に入りに追加
57
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。






ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる