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せ~ぶで~た01:魔法使いの女の子がミミックに惚れられ捕まり苗床にされて助からない話
02.ミミックトラップ!
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――ミミック!
宝箱に引きずり込まれたフィオは、すぐに理解しました。身体に巻きつく太い触手から抜け出そうと暴れますが、うまくいきません。けれども杖と一緒に巻きつかれたのです。杖を握り、魔法を放とうとしますが……そう、忘れていました、魔力切れ! 一つも魔法は放てない上に、杖を構えてしまったために、ミミックは危険だと思ったのでしょう、どこからともなく伸びて来た触手が杖を奪ってしまいました。
そしてめきりっ! と音がしたかと思えば。
「わ、私の杖……っ!」
杖は二本の触手によって、真っ二つに折られていました。
杖を失ったことを、嘆いている暇はありません。フィオは内からにじみ出てくる恐怖を抑えて、自身に絡みつく触手から抜け出そうと暴れます。触手はまるで身体を舐め回すかのように纏わりついて、そのまとった粘液で服が湿り、肌もぬるぬると濡れていきます。
「放しなさい! このっ……!」
怒鳴っても、少女の抵抗はあまりにも無力。やがて柔らかくも弾力のある何かの上に、背中から降ろされました。フィオはすぐに起き上がろうとしましたが、手首や腕に巻きついた触手が許してくれません。
――そこはまさに、何か内臓の中といったような場所。赤っぽいピンクの肉のような壁が取り囲む空間。決して広くないそこは、妙に温かいです。肉でできているような壁をよく見れば、どうやら粘膜で覆われているようで、そのためか湿度が高いようです。
壁がほんのり光を放っているらしく、暗くはありません。フィオが困惑して天井を見上げれば、もうそこに空はありませんでした。蓋は閉ざされたようです。
ミミックに呑み込まれ、内臓の中のような場所に落とされて、まるでここは……胃袋のように思えます。
――まさか私、消化されちゃうの!?
ちょうどその時、じゅぅっ、と音が聞こえました。
……先程へし折られた杖が、このむしむしとした空間の隅で、妙な水溜りに浸かっていました。じゅぅぅぅ……と音を立て、杖は溶けていきます――消化されています。
「――やだぁっ! 消化なんてされたくないぃっ!!」
フィオは半泣きで大暴れ。けれども腕を拘束する触手は千切れることもなく、緩むこともなく。自由な足をばたつかせても何を蹴ることもできず。身をよじっても肉のベッドの上からは動けず。
しかしはたと、我に返りました。
ポケットの中にある、帰還水晶。あれさえ握ることができれば……。
頭の横のあたりで拘束された手では、ポケットの中を探れません。けれどもうまく身をよじれば、ポケットから転がり出すかもしれません。
それがどこに転がるかわかりませんが、一縷の望みをかけて……。
「――ああ」
そこで。
「――やっと見つけた! 僕の『宝物』! 僕の中に納まるべき、理想のニンゲン!」
初めて聞く声でした。どこから聞こえたと説明したらいいのでしょうか……言うならば、この空間そのものが声を発しているようです。
ミミックです。
「ちょっと! 放しなさいよ! ていうか何よ『宝物』って!」
フィオは足をばたばたさせながら叫びます。
と、触手一本がフィオの傍らから生えてきました。暴れていたフィオはびくりとして、迫りくるその触手を見つめます。思わず目を瞑ってしまいましたが、触手はぬるぬると頬を撫で、顎を撫で、まるでかわいがるかのように身体の上を撫でていきました。
「ずっと待ってたんだよ、君みたいなニンゲンが来てくれるのを……僕はまだ、空っぽの宝箱だったから……」
「は、はあ?」
困惑するフィオのもとに、新たな触手が伸びてきました。最初の触手と同じく、頬や頭を撫で、また鎖骨を撫で胸の中央を滑り、下腹部をすりすりと撫で回します。それがくすぐったく、また妙な気持ちを覚えて、フィオは思わず「んんっ」と声を漏らしました。
「ああ……大切にするからね。沢山愛するからね……そしていっぱい気持ちよくしてあげるからね」
ミミックの声は、どこか熱っぽく思えます。そして異様な言葉にフィオは首を傾げますが、ミミックの次の言葉に彼女はピンクの目を大きく見開きました。
「――身体もどこも問題なさそうだし、赤ちゃんもいっぱい産めるね! 僕達二人の宝物……沢山得ていこうね!」
「――えっ?」
ミミックは一体何を言っているのでしょうか。いかれているのでしょうか。
しかし身体を這う触手のこの動き、ちょうど子宮のあるあたりを撫でまわすような動き。
「あ、赤ちゃん……?」
「そう! 赤ちゃん!」
ミミックは嬉しそうに、そして声高らかに言い出します。
「我らが魔王様による三つの大事な掟! 『その一、積極的に繁殖したり、技術を磨いたり、文明を発展させたりして【我らの世界への道】へ貢献しましょう』! ……これから沢山赤ちゃんを産んで、繁殖していこうね!」
フィオは顔を青ざめさせました。
ミミックに、モンスターの子を孕め、と言われているのです!
「ふ、ふざけないでちょうだい! 嫌よそんなの! 放して、放してよぉっ!」
再びフィオは暴れはじめました。身体をさわさわと這っていた触手達が驚いて引っ込みます。
どうにかここから脱出しなくては、大変なことになってしまいます。脱出の鍵となるのは、ポケットの中の帰還水晶のみ……急いでこれを握らなくては。
「ああ、そんなに暴れないでよ、僕の『宝物』! ……あっ、そうだ!」
「ひゃぁっ! 触らないでっ……!」
と、触手は再びフィオの身体を撫でまわし始めます。ぬるりとした液体を纏った、サーモンピンク。フィオの袖口から服の中へ侵入し更に腕に絡みつくもの、スカートの中にはいり太股やお尻を撫でるもの、襟元から服の下に滑り谷間を這うものもいます。
「あっ……やめて……っ、ど、どこ触ってんの、よっ……!」
そのくすぐったさ、もどかしさにフィオは身悶えします。
触手の動きは、まるで何か探るかのようでした。そして、見つかってしまいました。
「あった! これこれ!」
ミミックが嬉しそうな声を上げると同時に、フィオは一本の触手が妙な場所に入り込んでいることに気付きました。
それはスカートのポケットの中。しゅるりとその触手が抜け出れば、フィオの身体を探っていた他の触手も全て引っ込みます。
ポケットから抜け出た触手が巻きついているものを見て、フィオは絶望の声を上げました。
「帰還水晶……っ!」
「これはマニュアルに書いてあったダメな奴!」
次の瞬間、ミミックの触手は帰還水晶を放り投げていました。
希望の光が落ちた先には、水溜り。
――じゅうっ! と音がしました。
「そ、そんな……そんなぁ……」
たった一つの希望が消化されてしまいました。フィオは愕然として、もう何もない水溜りを見つめます。
一方で、ミミックは一体どこから取り出したのでしょうか、奇妙な紋章が表紙に描かれた本を触手で開いていました。
「よしよし……あの水晶の処分も完璧!」
「何よその本……って、その紋章……まさか、魔王の……!?」
――巷で騒がれている紋章がそこにありました。
通称「魔王の紋章」。ここ最近、この紋章を身体に持つモンスターや、この紋章を持つアイテムを持ったモンスターがよく確認されていました。そのモンスター達は、他の同種のモンスターと比べて力を持っているために、よく討伐のお仕事が出ていたり、冒険者達の間で危険視されていたりしたのです。
とある冒険者がこの紋章を持つモンスターを倒した際、死に際に言われたそうです――魔王様から力をもらったのに、と。
それ故に、どこか男根にも似たこの紋章は「魔王の紋章」と呼ばれていました。
「ああ知ってるの? これね、魔王様からいただいたものなんだ!」
ミミックは触手を使って、本の表紙をフィオに見せます。
「魔王様が近くに来た時にもらってね……僕、あの時怒られると思ったんだ。だって僕、三つの大事な掟の一つ、【我らの世界への道】への貢献ができてなかったから……」
……その掟を守るためなら、本来このミミックは、どんな人間であれ、捕まえた女冒険者を『宝物』としなくてはいけませんでした。
しかしこのミミックは、『宝物』は理想の『宝物』がいいと望み、待ち続けていたために、掟を守れずにいたというのです。
そこへやって来たのが、まさかの魔王でした。
「魔王様に事情を説明したらね……魔王様は『一途でいいね』ってほめてくださったんだ! それで『宝物』を沢山愛して大切にするためのマニュアルをいただいてね、あと……僕がわがまま言って貢献できてなかったのは確かでしょ? だからもし『宝物』を得た時に、いままでの分を取り戻せるようにって、力もいただいたんだ! 君にいっぱい赤ちゃんを産ませられるよ!」
そう、このミミックは、魔王によって力を得た強力なモンスターだったのです。嬉しそうにするミミックとは対照的に、フィオの顔から更に血の気が引きました。
ミミックは続けます。
「このマニュアルを何度も読んでね、他のニンゲンを捕まえては練習してきたんだ、きっとうまくできるからね! ……あっ、他のニンゲンを捕まえたのは練習のためだけだよ、『宝物』にはしなかったから! 浮気なんかじゃないよ! みんな練習が終わった後には消化したし、あと魔王様にも少しなら練習にニンゲンを使っていいよって、許可もいただいてたし」
「しょ、消化……」
もはや消化されたほうがいいかもしれない状況かと、フィオは思いますが、孕まされるにしても消化されるにしても、恐ろしいことです。救いを失った魔法使いの少女は、震えていました。
ミミックは震えに気付きます。
「君は『宝物』だからひどいことはしないよ! ――我らが魔王様による三つの大事な掟! 『その二、【我らの世界への道】のために人間を使う場合、大切に扱いましょう。不必要な痛めつけはご法度です』! ちゃんと大切にするからね……」
一度は引っ込んでいた触手が、再びあらゆる場所から生えてきました。そろそろとフィオへと伸びてきます。
その触手のいくつかの先端から、奇妙な液体がとろとろと滴っていました。
「ああよく見せて、僕の『宝物』……」
とろりと、液体がフィオの胸に垂れ落ちました。するとしゅわしゅわと服が溶け、フィオの胸元が露わになります。
「ひっ! いやっ、いやぁっ……!」
フィオは叫んで身をよじりましたが、他の触手が身体に垂れた液体を伸ばすように肌を撫でます。すると服は更に溶けて、ちょっと子供っぽいブラジャーまでも溶けて、慎ましやかな胸が露わになっていきます。また別の触手から滴る液体もフィオの身体に垂れ落ち、服を溶かしていきます。
「大丈夫だよ! 服だけ溶かすように調整してるから……全部見せて、僕の『宝物』……!」
宝箱に引きずり込まれたフィオは、すぐに理解しました。身体に巻きつく太い触手から抜け出そうと暴れますが、うまくいきません。けれども杖と一緒に巻きつかれたのです。杖を握り、魔法を放とうとしますが……そう、忘れていました、魔力切れ! 一つも魔法は放てない上に、杖を構えてしまったために、ミミックは危険だと思ったのでしょう、どこからともなく伸びて来た触手が杖を奪ってしまいました。
そしてめきりっ! と音がしたかと思えば。
「わ、私の杖……っ!」
杖は二本の触手によって、真っ二つに折られていました。
杖を失ったことを、嘆いている暇はありません。フィオは内からにじみ出てくる恐怖を抑えて、自身に絡みつく触手から抜け出そうと暴れます。触手はまるで身体を舐め回すかのように纏わりついて、そのまとった粘液で服が湿り、肌もぬるぬると濡れていきます。
「放しなさい! このっ……!」
怒鳴っても、少女の抵抗はあまりにも無力。やがて柔らかくも弾力のある何かの上に、背中から降ろされました。フィオはすぐに起き上がろうとしましたが、手首や腕に巻きついた触手が許してくれません。
――そこはまさに、何か内臓の中といったような場所。赤っぽいピンクの肉のような壁が取り囲む空間。決して広くないそこは、妙に温かいです。肉でできているような壁をよく見れば、どうやら粘膜で覆われているようで、そのためか湿度が高いようです。
壁がほんのり光を放っているらしく、暗くはありません。フィオが困惑して天井を見上げれば、もうそこに空はありませんでした。蓋は閉ざされたようです。
ミミックに呑み込まれ、内臓の中のような場所に落とされて、まるでここは……胃袋のように思えます。
――まさか私、消化されちゃうの!?
ちょうどその時、じゅぅっ、と音が聞こえました。
……先程へし折られた杖が、このむしむしとした空間の隅で、妙な水溜りに浸かっていました。じゅぅぅぅ……と音を立て、杖は溶けていきます――消化されています。
「――やだぁっ! 消化なんてされたくないぃっ!!」
フィオは半泣きで大暴れ。けれども腕を拘束する触手は千切れることもなく、緩むこともなく。自由な足をばたつかせても何を蹴ることもできず。身をよじっても肉のベッドの上からは動けず。
しかしはたと、我に返りました。
ポケットの中にある、帰還水晶。あれさえ握ることができれば……。
頭の横のあたりで拘束された手では、ポケットの中を探れません。けれどもうまく身をよじれば、ポケットから転がり出すかもしれません。
それがどこに転がるかわかりませんが、一縷の望みをかけて……。
「――ああ」
そこで。
「――やっと見つけた! 僕の『宝物』! 僕の中に納まるべき、理想のニンゲン!」
初めて聞く声でした。どこから聞こえたと説明したらいいのでしょうか……言うならば、この空間そのものが声を発しているようです。
ミミックです。
「ちょっと! 放しなさいよ! ていうか何よ『宝物』って!」
フィオは足をばたばたさせながら叫びます。
と、触手一本がフィオの傍らから生えてきました。暴れていたフィオはびくりとして、迫りくるその触手を見つめます。思わず目を瞑ってしまいましたが、触手はぬるぬると頬を撫で、顎を撫で、まるでかわいがるかのように身体の上を撫でていきました。
「ずっと待ってたんだよ、君みたいなニンゲンが来てくれるのを……僕はまだ、空っぽの宝箱だったから……」
「は、はあ?」
困惑するフィオのもとに、新たな触手が伸びてきました。最初の触手と同じく、頬や頭を撫で、また鎖骨を撫で胸の中央を滑り、下腹部をすりすりと撫で回します。それがくすぐったく、また妙な気持ちを覚えて、フィオは思わず「んんっ」と声を漏らしました。
「ああ……大切にするからね。沢山愛するからね……そしていっぱい気持ちよくしてあげるからね」
ミミックの声は、どこか熱っぽく思えます。そして異様な言葉にフィオは首を傾げますが、ミミックの次の言葉に彼女はピンクの目を大きく見開きました。
「――身体もどこも問題なさそうだし、赤ちゃんもいっぱい産めるね! 僕達二人の宝物……沢山得ていこうね!」
「――えっ?」
ミミックは一体何を言っているのでしょうか。いかれているのでしょうか。
しかし身体を這う触手のこの動き、ちょうど子宮のあるあたりを撫でまわすような動き。
「あ、赤ちゃん……?」
「そう! 赤ちゃん!」
ミミックは嬉しそうに、そして声高らかに言い出します。
「我らが魔王様による三つの大事な掟! 『その一、積極的に繁殖したり、技術を磨いたり、文明を発展させたりして【我らの世界への道】へ貢献しましょう』! ……これから沢山赤ちゃんを産んで、繁殖していこうね!」
フィオは顔を青ざめさせました。
ミミックに、モンスターの子を孕め、と言われているのです!
「ふ、ふざけないでちょうだい! 嫌よそんなの! 放して、放してよぉっ!」
再びフィオは暴れはじめました。身体をさわさわと這っていた触手達が驚いて引っ込みます。
どうにかここから脱出しなくては、大変なことになってしまいます。脱出の鍵となるのは、ポケットの中の帰還水晶のみ……急いでこれを握らなくては。
「ああ、そんなに暴れないでよ、僕の『宝物』! ……あっ、そうだ!」
「ひゃぁっ! 触らないでっ……!」
と、触手は再びフィオの身体を撫でまわし始めます。ぬるりとした液体を纏った、サーモンピンク。フィオの袖口から服の中へ侵入し更に腕に絡みつくもの、スカートの中にはいり太股やお尻を撫でるもの、襟元から服の下に滑り谷間を這うものもいます。
「あっ……やめて……っ、ど、どこ触ってんの、よっ……!」
そのくすぐったさ、もどかしさにフィオは身悶えします。
触手の動きは、まるで何か探るかのようでした。そして、見つかってしまいました。
「あった! これこれ!」
ミミックが嬉しそうな声を上げると同時に、フィオは一本の触手が妙な場所に入り込んでいることに気付きました。
それはスカートのポケットの中。しゅるりとその触手が抜け出れば、フィオの身体を探っていた他の触手も全て引っ込みます。
ポケットから抜け出た触手が巻きついているものを見て、フィオは絶望の声を上げました。
「帰還水晶……っ!」
「これはマニュアルに書いてあったダメな奴!」
次の瞬間、ミミックの触手は帰還水晶を放り投げていました。
希望の光が落ちた先には、水溜り。
――じゅうっ! と音がしました。
「そ、そんな……そんなぁ……」
たった一つの希望が消化されてしまいました。フィオは愕然として、もう何もない水溜りを見つめます。
一方で、ミミックは一体どこから取り出したのでしょうか、奇妙な紋章が表紙に描かれた本を触手で開いていました。
「よしよし……あの水晶の処分も完璧!」
「何よその本……って、その紋章……まさか、魔王の……!?」
――巷で騒がれている紋章がそこにありました。
通称「魔王の紋章」。ここ最近、この紋章を身体に持つモンスターや、この紋章を持つアイテムを持ったモンスターがよく確認されていました。そのモンスター達は、他の同種のモンスターと比べて力を持っているために、よく討伐のお仕事が出ていたり、冒険者達の間で危険視されていたりしたのです。
とある冒険者がこの紋章を持つモンスターを倒した際、死に際に言われたそうです――魔王様から力をもらったのに、と。
それ故に、どこか男根にも似たこの紋章は「魔王の紋章」と呼ばれていました。
「ああ知ってるの? これね、魔王様からいただいたものなんだ!」
ミミックは触手を使って、本の表紙をフィオに見せます。
「魔王様が近くに来た時にもらってね……僕、あの時怒られると思ったんだ。だって僕、三つの大事な掟の一つ、【我らの世界への道】への貢献ができてなかったから……」
……その掟を守るためなら、本来このミミックは、どんな人間であれ、捕まえた女冒険者を『宝物』としなくてはいけませんでした。
しかしこのミミックは、『宝物』は理想の『宝物』がいいと望み、待ち続けていたために、掟を守れずにいたというのです。
そこへやって来たのが、まさかの魔王でした。
「魔王様に事情を説明したらね……魔王様は『一途でいいね』ってほめてくださったんだ! それで『宝物』を沢山愛して大切にするためのマニュアルをいただいてね、あと……僕がわがまま言って貢献できてなかったのは確かでしょ? だからもし『宝物』を得た時に、いままでの分を取り戻せるようにって、力もいただいたんだ! 君にいっぱい赤ちゃんを産ませられるよ!」
そう、このミミックは、魔王によって力を得た強力なモンスターだったのです。嬉しそうにするミミックとは対照的に、フィオの顔から更に血の気が引きました。
ミミックは続けます。
「このマニュアルを何度も読んでね、他のニンゲンを捕まえては練習してきたんだ、きっとうまくできるからね! ……あっ、他のニンゲンを捕まえたのは練習のためだけだよ、『宝物』にはしなかったから! 浮気なんかじゃないよ! みんな練習が終わった後には消化したし、あと魔王様にも少しなら練習にニンゲンを使っていいよって、許可もいただいてたし」
「しょ、消化……」
もはや消化されたほうがいいかもしれない状況かと、フィオは思いますが、孕まされるにしても消化されるにしても、恐ろしいことです。救いを失った魔法使いの少女は、震えていました。
ミミックは震えに気付きます。
「君は『宝物』だからひどいことはしないよ! ――我らが魔王様による三つの大事な掟! 『その二、【我らの世界への道】のために人間を使う場合、大切に扱いましょう。不必要な痛めつけはご法度です』! ちゃんと大切にするからね……」
一度は引っ込んでいた触手が、再びあらゆる場所から生えてきました。そろそろとフィオへと伸びてきます。
その触手のいくつかの先端から、奇妙な液体がとろとろと滴っていました。
「ああよく見せて、僕の『宝物』……」
とろりと、液体がフィオの胸に垂れ落ちました。するとしゅわしゅわと服が溶け、フィオの胸元が露わになります。
「ひっ! いやっ、いやぁっ……!」
フィオは叫んで身をよじりましたが、他の触手が身体に垂れた液体を伸ばすように肌を撫でます。すると服は更に溶けて、ちょっと子供っぽいブラジャーまでも溶けて、慎ましやかな胸が露わになっていきます。また別の触手から滴る液体もフィオの身体に垂れ落ち、服を溶かしていきます。
「大丈夫だよ! 服だけ溶かすように調整してるから……全部見せて、僕の『宝物』……!」
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