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綾華先生の恋愛相談室
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―― 綾華先生の恋愛相談室 ――
ここは帝城高校保健室。
放課後はコーヒーの香り漂う癒しの空間である。
だが今日は、なんだか穏やかではない不穏な空気が漂っていた。
「海斗が浮気!?」
怪訝そうに言ったのは陣野弘大。
いつもは冷静な彼も流石に取り乱したのか、コーヒーを噴き出しそうになった。
「ま、まだそうと決まったわけじゃないんだけど・・・」
小さい身体をより一層に縮めてポツリとポツリと呟くのは蘇芳一維。
今日は美琴と弘大の二人で、今にも泣きそうな面持ちの彼の相談に乗っているのだ。
「海斗にそんな甲斐性ある訳ないじゃん」
ため息交じりに言い放った弘大は、ずれた眼鏡を直し、気を取り直したようにコーヒーを一口含んだ。
「ま、まぁ、三島君に限ってそんなことはないんじゃないでしょうか」
“甲斐性なし”とは流石に言えず、美琴は苦笑しながら一維に微笑みかける。
「どうしてそんな風に思ったんです? 」
不安になってしまったきっかけを尋ねると、一維はその大きな瞳を揺らした。
今にも泣き出しそうなほど目を潤ませて、少しずつ話し始めた。
「一年生の子で、最近軽音楽部に入部した子なんですけど・・・」
音楽好きのギター好きで海斗とは馬が合うらしく、このところ部活の時間はいつも一緒にいる。
ギターを始めたばかりらしく、先輩である海斗に指南してもらっているらしい。
「近頃は休み時間とか部活がない日も二人でギターの練習してるみたいで、僕・・・海斗とあんまり会えてなくて」
一維はしょんぼりと肩を落とす。
「最近入った一年って言うと、桜井君か。・・・確かに、最近海斗にべったりかも」
演劇部と軽音楽部兼任部長である弘大は思い当たる節があったらしく、先ほどに比べれば少しだけ苦い顔をした。
「今度の日曜日も約束してたんだけど、桜井君がギター見に行くのに付き添うことになったからって言って来週に延期されちゃったし・・・」
一維は益々泣きそうな面持ちになる。
「うーん・・・確かに、桜井君を優先されてしまうのは悲しいですね。先に約束していたのは蘇芳君なのに・・・」
美琴も思わず眉を顰めた。
如何に趣味の合う相手とはいえ、先約なのだから一維を優先させるべきだろう。
「許せないね、海斗のくせに」
美琴以上に眉間に深いしわを寄せて弘大があからさまな憤慨を示す。
一維の幼馴染であり、二人の仲人的立場だった弘大としては怒るのも当然だろう。
仄かながらも海斗へ思いを寄せていたこともあったのだから、上手くいってほしいと心から思っているはずだ。
「デート延期にされても一維は怒らなかったわけ?」
溜息を付いて尋ねる。
一維は眉を八の字にして“だって・・・”と呟いた。
「桜井君とギターの話してる時の方が海斗楽しそうだし・・・」
自分と過ごすよりも趣味の合う後輩といる時の方が盛り上がるはず・・・そう思ってしまったらしい。
「ほんっとに、あのギター馬鹿」
弘大が舌打ちしつつ吐き捨てる。美琴はまた苦笑いをした。
「それに・・・」
一維が消え去りそうな声で続ける。
「桜井君って、一年生だけどすっごく大人っぽくて美人さんだし・・・僕なんてこんなだし・・・だからきっと海斗だって・・・」
一維が不安を感じる要因はそんな外見的なコンプレックスもあったようだ。
「一維の方が絶対海斗の好みにかかってると思うけどな・・・ねぇ?」
弘大がボソリと呟く。同意を求められ、美琴も素直に頷いた。
当人からはっきりと聞いたわけでこそないが、一維に一目惚れをするほどなのだから海斗の好みは明らかに可愛い系だろう。
「こんなに可愛い蘇芳君がいるのに、三島君がよそ見するとは思えませんよ?」
一維の頭を撫でながら美琴が言う。
お世辞でもなく、一維は思わず撫でてやりたくなるほど可愛いのだ。まるで子犬のように。
「俺も綾華先生に同感。単なるギター馬鹿でしょ」
弘大もため息交じりに頷いた。そして今にも涙が溢れそうになっている一維にハンカチを差し出す。
「・・・うん・・」
一維はきっちりと糊付けされたハンカチを両手で受け取り、右左と涙をぬぐった後でもう一度顔を上げた。
「綾華先生は、不安になったりしないんですか?」
「え?」
遠慮がちにこちらを見つめる一維。話を振られるとは思わなかった美琴はほんの少し面食らった。
「確かに。海斗よか御剣先生の方がよっぽど浮気しそうなタイプじゃん」
更に弘大がしれっとそんなことを言う。
「え・・・あの・・・えっと・・」
困惑する美琴だが、一維の真剣そのものの純粋な瞳と弘大の“何もかもお見通し”というような鋭い眼差しに挟まれれば流石に勝てない。
「そりゃあまぁ・・・昔は僕も浮気しそうな人だって思ってましたけど・・」
観念し、“内緒ですよ”と前置きしてから口を開いた。
「けど、実際そういうことになってからは・・・意外とそうじゃないのかな、って。結構あれで一途なところもありますし」
今頃は職員室か教諭室で仕事をしている・・・と見せかけて寛いでいるであろう咲夜の顔を思い浮かべる。
自然と顔が綻んでしまっているのに気づいて慌てて引き締めたが、美琴の顔を凝視している二人には誤魔化しようがなかったようだ。
「そんなに普通に惚気られると思わなかったな・・・」
弘大がバツの悪そうに呟く。
「べ、別に惚気てる訳じゃ・・・」
慌てて言い訳をしようとするが、再び肩を落としてしまった一維の方が気になって口籠った。
「いいなぁ・・・綾華先生」
一維がふうっと深い溜息。
流石の弘大も慰めの言葉が浮かばないのか、何処か困ったような表情で黙ったままだ。
美琴はもう一度一維の頭をゆっくりと撫でた。
「恋人同士になっても自分に自信が持てないっていう気持ちは分かります。僕も元々はずっと片思いでしたから」
少しの照れくささを誤魔化すように微笑んで言うと、一維も弘大もキョトンとした顔をした。
「なんか意外・・・。どう見ても御剣先生の方がべた惚れって感じなのに」
すっかり冷めてしまったコーヒーを啜りながら弘大が呟く。
一維はといえば、瞳をキラキラさせて“いつから?”、“どういうきっかけで?”なんて質問を代わる代わる投げかけてきた。
「僕、昔なぜか男の人に付きまとわれたりすることが多くて・・・いつも助けてくれるのが御剣先生だったんです。憧れの先輩っていう感じで、ずっと僕なんかに振り向いてくれるはずないって思ってました」
一維の純粋さに当てられたのか、普段は絶対に言わない素直な言葉がすらすら出てくる。咲夜には絶対に聞かせられない話だ。
「今だって、時々本当に僕なんかでいいのかなって不安に思います」
「綾華先生でも?」
一維が大きな瞳をくりくりさせて美琴を見つめる。
美琴はゆっくり頷いた。
「でも、不安に思う以上に御剣先生のことを信じたいっていう気持ちの方が強い・・・かな。それに、たまには素直に不安だって言って甘えてみるのもいいかもしれませんしね」
自分では絶対に“素直に甘える”なんてことはしないのだが、そんなことは棚に上げてアドバイス。
賛同したのは弘大だった。
「そうだよ。一維に可愛く甘えられたら、海斗だって後輩になんか構ってらんないって」
悪戯っぽく言って一維の肩を叩く。
一維も大きく頷いて、ニッコリと笑った。
―――その頃、職員室。
「ニヤニヤしながら何聞いてるんだ?」
補習から戻ってきた宇佐美響一朗は、自席で鼻歌を歌っている咲夜に問いかけた。
パソコンに接続したイヤホンを両耳につけて何やら音楽でも聞いているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
「いやー、俺がいないトコだと随分可愛い事言ってくれてるもんでよ」
イヤホンを差し出され、促されるままに片耳につけてみれば聞こえてきたのは話し声。
保健室にいるであろう綾華美琴に蘇芳一維、陣野弘大の声だ。
「保健室・・・盗聴器まで仕掛けたのか?」
イヤホンを返しつつ怪訝そうに響一朗が尋ねる。
咲夜は悪びれる様子は一切なしににやりと笑った。
「監視カメラがバレて撤収させられちまったからな。今度はバレないようにしねーと♪」
響一郎は呆れて溜息。
「お前、いつか綾華先生に訴えられるぞ」
頭を抱えながら苦々しく言ってやっても、やはり咲夜は意に介さないようで・・・。
「お前もなっちゃんに仕掛けたけりゃあいつでも貸すぜ? 」
ウインク付きでそんなことを言ってくる。
「不要だ」
「そりゃ残念」
きっぱりと答えれば、咲夜は再びイヤホンを装着。“自分がいない時にしか聞けない随分可愛い事”とやらの続きを聞き始めたようだ。
「あ、そうだ。なぁ」
「なんだ?」
思い立ったようにこちらに向き直られたため、補習のテスト採点をしていた響一朗は眉を顰める。
「後で三島んトコ行くからお前も来いよ」
突然の提案に、当然ながら首を傾げる。
“忙しい”と断る前に、咲夜はまた不敵な笑みを浮かべた。
「こっちはこっちで、センセイがアドバイスしてやらねぇといけねーからな」
「はぁ?」
何ら事情の知らない響一朗は“?”を浮かべるばかりだった。
ここは帝城高校保健室。
放課後はコーヒーの香り漂う癒しの空間である。
だが今日は、なんだか穏やかではない不穏な空気が漂っていた。
「海斗が浮気!?」
怪訝そうに言ったのは陣野弘大。
いつもは冷静な彼も流石に取り乱したのか、コーヒーを噴き出しそうになった。
「ま、まだそうと決まったわけじゃないんだけど・・・」
小さい身体をより一層に縮めてポツリとポツリと呟くのは蘇芳一維。
今日は美琴と弘大の二人で、今にも泣きそうな面持ちの彼の相談に乗っているのだ。
「海斗にそんな甲斐性ある訳ないじゃん」
ため息交じりに言い放った弘大は、ずれた眼鏡を直し、気を取り直したようにコーヒーを一口含んだ。
「ま、まぁ、三島君に限ってそんなことはないんじゃないでしょうか」
“甲斐性なし”とは流石に言えず、美琴は苦笑しながら一維に微笑みかける。
「どうしてそんな風に思ったんです? 」
不安になってしまったきっかけを尋ねると、一維はその大きな瞳を揺らした。
今にも泣き出しそうなほど目を潤ませて、少しずつ話し始めた。
「一年生の子で、最近軽音楽部に入部した子なんですけど・・・」
音楽好きのギター好きで海斗とは馬が合うらしく、このところ部活の時間はいつも一緒にいる。
ギターを始めたばかりらしく、先輩である海斗に指南してもらっているらしい。
「近頃は休み時間とか部活がない日も二人でギターの練習してるみたいで、僕・・・海斗とあんまり会えてなくて」
一維はしょんぼりと肩を落とす。
「最近入った一年って言うと、桜井君か。・・・確かに、最近海斗にべったりかも」
演劇部と軽音楽部兼任部長である弘大は思い当たる節があったらしく、先ほどに比べれば少しだけ苦い顔をした。
「今度の日曜日も約束してたんだけど、桜井君がギター見に行くのに付き添うことになったからって言って来週に延期されちゃったし・・・」
一維は益々泣きそうな面持ちになる。
「うーん・・・確かに、桜井君を優先されてしまうのは悲しいですね。先に約束していたのは蘇芳君なのに・・・」
美琴も思わず眉を顰めた。
如何に趣味の合う相手とはいえ、先約なのだから一維を優先させるべきだろう。
「許せないね、海斗のくせに」
美琴以上に眉間に深いしわを寄せて弘大があからさまな憤慨を示す。
一維の幼馴染であり、二人の仲人的立場だった弘大としては怒るのも当然だろう。
仄かながらも海斗へ思いを寄せていたこともあったのだから、上手くいってほしいと心から思っているはずだ。
「デート延期にされても一維は怒らなかったわけ?」
溜息を付いて尋ねる。
一維は眉を八の字にして“だって・・・”と呟いた。
「桜井君とギターの話してる時の方が海斗楽しそうだし・・・」
自分と過ごすよりも趣味の合う後輩といる時の方が盛り上がるはず・・・そう思ってしまったらしい。
「ほんっとに、あのギター馬鹿」
弘大が舌打ちしつつ吐き捨てる。美琴はまた苦笑いをした。
「それに・・・」
一維が消え去りそうな声で続ける。
「桜井君って、一年生だけどすっごく大人っぽくて美人さんだし・・・僕なんてこんなだし・・・だからきっと海斗だって・・・」
一維が不安を感じる要因はそんな外見的なコンプレックスもあったようだ。
「一維の方が絶対海斗の好みにかかってると思うけどな・・・ねぇ?」
弘大がボソリと呟く。同意を求められ、美琴も素直に頷いた。
当人からはっきりと聞いたわけでこそないが、一維に一目惚れをするほどなのだから海斗の好みは明らかに可愛い系だろう。
「こんなに可愛い蘇芳君がいるのに、三島君がよそ見するとは思えませんよ?」
一維の頭を撫でながら美琴が言う。
お世辞でもなく、一維は思わず撫でてやりたくなるほど可愛いのだ。まるで子犬のように。
「俺も綾華先生に同感。単なるギター馬鹿でしょ」
弘大もため息交じりに頷いた。そして今にも涙が溢れそうになっている一維にハンカチを差し出す。
「・・・うん・・」
一維はきっちりと糊付けされたハンカチを両手で受け取り、右左と涙をぬぐった後でもう一度顔を上げた。
「綾華先生は、不安になったりしないんですか?」
「え?」
遠慮がちにこちらを見つめる一維。話を振られるとは思わなかった美琴はほんの少し面食らった。
「確かに。海斗よか御剣先生の方がよっぽど浮気しそうなタイプじゃん」
更に弘大がしれっとそんなことを言う。
「え・・・あの・・・えっと・・」
困惑する美琴だが、一維の真剣そのものの純粋な瞳と弘大の“何もかもお見通し”というような鋭い眼差しに挟まれれば流石に勝てない。
「そりゃあまぁ・・・昔は僕も浮気しそうな人だって思ってましたけど・・」
観念し、“内緒ですよ”と前置きしてから口を開いた。
「けど、実際そういうことになってからは・・・意外とそうじゃないのかな、って。結構あれで一途なところもありますし」
今頃は職員室か教諭室で仕事をしている・・・と見せかけて寛いでいるであろう咲夜の顔を思い浮かべる。
自然と顔が綻んでしまっているのに気づいて慌てて引き締めたが、美琴の顔を凝視している二人には誤魔化しようがなかったようだ。
「そんなに普通に惚気られると思わなかったな・・・」
弘大がバツの悪そうに呟く。
「べ、別に惚気てる訳じゃ・・・」
慌てて言い訳をしようとするが、再び肩を落としてしまった一維の方が気になって口籠った。
「いいなぁ・・・綾華先生」
一維がふうっと深い溜息。
流石の弘大も慰めの言葉が浮かばないのか、何処か困ったような表情で黙ったままだ。
美琴はもう一度一維の頭をゆっくりと撫でた。
「恋人同士になっても自分に自信が持てないっていう気持ちは分かります。僕も元々はずっと片思いでしたから」
少しの照れくささを誤魔化すように微笑んで言うと、一維も弘大もキョトンとした顔をした。
「なんか意外・・・。どう見ても御剣先生の方がべた惚れって感じなのに」
すっかり冷めてしまったコーヒーを啜りながら弘大が呟く。
一維はといえば、瞳をキラキラさせて“いつから?”、“どういうきっかけで?”なんて質問を代わる代わる投げかけてきた。
「僕、昔なぜか男の人に付きまとわれたりすることが多くて・・・いつも助けてくれるのが御剣先生だったんです。憧れの先輩っていう感じで、ずっと僕なんかに振り向いてくれるはずないって思ってました」
一維の純粋さに当てられたのか、普段は絶対に言わない素直な言葉がすらすら出てくる。咲夜には絶対に聞かせられない話だ。
「今だって、時々本当に僕なんかでいいのかなって不安に思います」
「綾華先生でも?」
一維が大きな瞳をくりくりさせて美琴を見つめる。
美琴はゆっくり頷いた。
「でも、不安に思う以上に御剣先生のことを信じたいっていう気持ちの方が強い・・・かな。それに、たまには素直に不安だって言って甘えてみるのもいいかもしれませんしね」
自分では絶対に“素直に甘える”なんてことはしないのだが、そんなことは棚に上げてアドバイス。
賛同したのは弘大だった。
「そうだよ。一維に可愛く甘えられたら、海斗だって後輩になんか構ってらんないって」
悪戯っぽく言って一維の肩を叩く。
一維も大きく頷いて、ニッコリと笑った。
―――その頃、職員室。
「ニヤニヤしながら何聞いてるんだ?」
補習から戻ってきた宇佐美響一朗は、自席で鼻歌を歌っている咲夜に問いかけた。
パソコンに接続したイヤホンを両耳につけて何やら音楽でも聞いているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
「いやー、俺がいないトコだと随分可愛い事言ってくれてるもんでよ」
イヤホンを差し出され、促されるままに片耳につけてみれば聞こえてきたのは話し声。
保健室にいるであろう綾華美琴に蘇芳一維、陣野弘大の声だ。
「保健室・・・盗聴器まで仕掛けたのか?」
イヤホンを返しつつ怪訝そうに響一朗が尋ねる。
咲夜は悪びれる様子は一切なしににやりと笑った。
「監視カメラがバレて撤収させられちまったからな。今度はバレないようにしねーと♪」
響一郎は呆れて溜息。
「お前、いつか綾華先生に訴えられるぞ」
頭を抱えながら苦々しく言ってやっても、やはり咲夜は意に介さないようで・・・。
「お前もなっちゃんに仕掛けたけりゃあいつでも貸すぜ? 」
ウインク付きでそんなことを言ってくる。
「不要だ」
「そりゃ残念」
きっぱりと答えれば、咲夜は再びイヤホンを装着。“自分がいない時にしか聞けない随分可愛い事”とやらの続きを聞き始めたようだ。
「あ、そうだ。なぁ」
「なんだ?」
思い立ったようにこちらに向き直られたため、補習のテスト採点をしていた響一朗は眉を顰める。
「後で三島んトコ行くからお前も来いよ」
突然の提案に、当然ながら首を傾げる。
“忙しい”と断る前に、咲夜はまた不敵な笑みを浮かべた。
「こっちはこっちで、センセイがアドバイスしてやらねぇといけねーからな」
「はぁ?」
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小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
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