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「どうかして? 」
「いえ、お名前。お国の物じゃなさそうでしたから、少し不思議で」
「あ、うん。
わたしの国だとね、ここでいうところの家系を示す固有名詞を持たないの。
だから、わたしの場合、
『偉大なる先王マルドゥク皇帝の息子であるエクシャーナ現帝の娘のリーゼロッテ』って名乗ることになるんだけど。
もちろん略しちゃっているけどその先があっておじい様のあとが曾おじいさまの名前で、その父親が誰それって永遠に続くの。
だけど、それじゃ女の系譜が消えてしまうでしょ?
だからおおよそ女の子は自分の祖母とか曾祖母の名前を貰うの。
わたしの場合は曾おばあ様ね。
曾おばあ様はこの国の貴族の出だったんですって」
「では、その瞳の色も曾おばあ様譲りなんですね? 」
アーデルハイドは眼を細めた。
「分かった? 」
「ええ、リーゼロッテ様のお国の方はほとんどが黒い髪と目をしていらっしゃるときいたことがありますから」
「そうなのよね。
だから新参の侍女とかには時々気味悪がられるの。
お父様もお母様も普通の黒い瞳でどうしてこんな気味悪い色の瞳の子供が生まれるんだ? って。
いい迷惑な話でしょ? 」
「まぁ、失礼なお話ですね。
これだけ綺麗なミッドナイトブルーの瞳はこの国の人間でも少ないんですよ」
女は同情したような視線を向けてくれる。
「奥様、お茶のご用意が整いましたが」
何時の間にか現れた従者と思われる若い男が女の耳もとで囁いた。
「まぁ、わたしったら。こんなところで長々と皇女様に立ち話をさせて!
失礼の程お許しくださいませ。
お茶の準備が整ったようですから、こちらへいらしてくださいな」
軽く頭を下げるとアーデルハイドはすべるような身のこなしで邸の奥の一室にリーゼロッテを案内した。
通されたパーラーと思しき部屋は窓が大きい上に、白い揃いの家具で統一されていて、あいにくのこの天気だというのにとても明るい。
リーゼロッテを気遣ってか、女主人自らがポットを手にティーカップへお茶を注いでくれていると突然部屋の外が騒がしくなった。
「ね、お母様!
お客様が来たって本当? 」
「隣の国のお姫様なんだよね! 」
「ヨハンったら何にも教えてくれないのよ」
足音もけたたましく数人の子供達が一斉に部屋に駆け込んできた。
十才程の子供を筆頭に五人、いや六人だ。
「駄目よ、あなた達。
お父様のお許しがあるまでお部屋で待っていらっしゃい」
アーデルハイドが自分を取り巻く子供達に困惑気味に眉根を寄せる。
「お姉ちゃんが、お姫様? 」
その様子に目を引かれていると、不意に膝の上に暖かな重みが加わる。
見下ろすとヴェルナーと同じ髪の色をした少女が、リーゼロッテの顔を覗き込んでいた。
「本当に、絵本の中に出てくる外国のお姫様みたい! 」
次いで、嬉しそうに瞳を輝かせた。
「ね、外国のお話して! 」
その声を皮切りにアーデルハイドを取り巻いていた子供達も一斉にリーゼロッテを取り囲んだ。
「いいけど……
何のお話がいい?
御伽噺かな? それとも象さんとか砂漠の話? 」
いきなり子供達に取り囲まれてしまったことに戸惑いながらも、リーゼロッテはがっかりさせたくなくてかろうじて口を開く。
「じゃぁね、じゃぁね、僕ゾウの話! 」
「駄目なの。御伽噺がいいの! 」
それぞれが口を開く。
「じゃ、順番ね」
何から話をはじめようかと、思考を巡らせながらリーゼロッテは答えた。
「あっと言う間に懐かれたな」
御伽噺をはじめると、さっきまで口々に喋っていた子供達は一斉に口を閉ざした。
黙っておとなしく聞き入る子供達に取り巻かれていると、感心したような声がした。
顔を上げるとヴェルナーが笑みを浮かべている。
「お父様! 」
一番小さな子供が一人、慌てて立ち上がると男の足元に駆け寄った。
「雨が止んだよ。
城まで送ろう」
「えー! 姫様もう帰っちゃうの? 」
子供達が不服そうな声をあげる。
「また、今度、ね」
少しだけなごり惜しさを感じながらリーゼロッテは立ち上がる。
予定なくこんなことになってしまった。
きっと今頃乳母が気を揉んでいそうだ。
邸の外に出ると、雨はすっかり止んでいたが代わりに日暮れも迫っていた。
「今日は済まなかったね、子供達の相手なんかさせてしまって」
馬の背に揺られながらヴェルナーが呟くように言った。
「ううん、わたしも楽しかったです。
ただ、急にお邪魔してしまって、奥様には悪いことをしてしまって……
申し訳ないことをしましたって謝っておいてくださいね」
ただ抱きかかえられるようにして乗せられているだけなのに、慣れないせいかバランスを取るのが難しくて、リーゼロッテは思わず男にしがみついた。
そのリーゼロッテの鼻先でふわりとかすかな香りが立ち上がる。
父の皇帝がいつも衣服に焚き染めている異国渡りの香にスパイスや花の香りの入り混じった華やかだが落ち着ける香りだ。
自分でも意図せずに男に抱きついてしまったことに戸惑いながら自分の頭のすぐ上にある男の表情をそっと探ると、ヴェルナーは少しだけ目を細めたように見えた。
城のエントランスに馬を止めるとヴェルナーはリーゼロッテを抱え下ろす。
「姫様! 」
それと同時に乳母のニオベが転がるようにして駆け出してきた。
馬の背から下ろされた状態で両脇を支えていた男の手にふと力が篭ったと思ったら軽く引き寄せられた。
拒否も抵抗もできずに居ると間近に迫った男の顔が更に近付くと額に軽くキスを落とされた。
「え? 」
一瞬何が起こったのかわからずに、リーゼロッテは睫をしばたかせて男の顔を見上げる。
「では、姫君、また…… 」
やんわりとした笑みを向けた後、ヴェルナーは乗ってきた馬に飛び乗るとそのまま元きた道を戻っていった。
「姫様? 本当に心配しましたよ」
心底安心したかのような声に男を見送っていた視線を戻すと乳母の顔がある。
「突然雨は降ってくるし、姫様はお戻りになりませんし」
女は小言のように呟いてみせる。
「ごめんなさい。
まさかここの雨ってあんなに急に雨脚が強くなるなんて思っていなかったの。
それも急に降り出すんだもの…… 」
「そもそも、国はあまり雨が降りませんからね」
何時の間にか来ていたミス・スワンが同調するように言ってくれた。
「急いでお着替えをして下さい。
国王陛下が晩餐をご一緒にとお待ちです」
乳母に追いたてられ、リーゼロッテは部屋にと急ぐ。
先ほどヴェルナーのキスの落ちた場所がなんだか熱を持っているような気がして、リーゼロッテはふと足を止めた。
その熱はただ熱いのではなくて、とても心地よくて、なんだか今夜はこのままベッドに潜り込んで溺れてしまいたい気分になった。
◆◇◆ ◆3◆ ◆◇◆
「姫様! 」
「っ、ミス・スワン、何? 」
突然声を荒げて呼ばれリーゼロッテは顔を上げる。
「聞いていましたか?
毎日、夜会に晩餐会にお茶会とお疲れなのはわかりますが、お勉強の方もしっかりしていただきませんと…… 」
呆れたように言われる。
午前中の部屋の中には、穏やかな風が吹き込んでいた。
毎日この時間帯を学習に充てるのはリーゼロッテの日課だ。
それは滞在先でも変わらない。
「ごめんなさい」
「そのお約束で今回の訪問の許可をいただいたのですから。
しっかりしていただかないと、わたくしがお叱りを受けてしまいますわ。
口添えしたわたくしは最悪クビですよ」
ミス・スワンはあからさまにため息をついて見せた。
「そんな、ミス・スワンでなければわたし嫌よ? 」
幼少の頃についた異国の家庭教師の顔が思い出され、リーゼロッテは口を尖らせた。
いかにもオールド・ミスといった感じの年嵩の家庭教師は片言で言ってることが良くわからない上に、厳しくて始終がみがみ怒鳴られた。
その点、ミス・スワンは若いせいか融通がきく。
授業は厳しいけど、そのほかの時には少しはわがままもきいてくれる。
「でしたら、しっかりしてくださいませ」
「ええ、わかっています」
「何をお考えになっていたのですか? 」
返事だけはしたものの、まだ心ここにあらずといった感じのリーゼロッテの顔を覗きこんで家庭教師は訊いてきた。
「いえ、お名前。お国の物じゃなさそうでしたから、少し不思議で」
「あ、うん。
わたしの国だとね、ここでいうところの家系を示す固有名詞を持たないの。
だから、わたしの場合、
『偉大なる先王マルドゥク皇帝の息子であるエクシャーナ現帝の娘のリーゼロッテ』って名乗ることになるんだけど。
もちろん略しちゃっているけどその先があっておじい様のあとが曾おじいさまの名前で、その父親が誰それって永遠に続くの。
だけど、それじゃ女の系譜が消えてしまうでしょ?
だからおおよそ女の子は自分の祖母とか曾祖母の名前を貰うの。
わたしの場合は曾おばあ様ね。
曾おばあ様はこの国の貴族の出だったんですって」
「では、その瞳の色も曾おばあ様譲りなんですね? 」
アーデルハイドは眼を細めた。
「分かった? 」
「ええ、リーゼロッテ様のお国の方はほとんどが黒い髪と目をしていらっしゃるときいたことがありますから」
「そうなのよね。
だから新参の侍女とかには時々気味悪がられるの。
お父様もお母様も普通の黒い瞳でどうしてこんな気味悪い色の瞳の子供が生まれるんだ? って。
いい迷惑な話でしょ? 」
「まぁ、失礼なお話ですね。
これだけ綺麗なミッドナイトブルーの瞳はこの国の人間でも少ないんですよ」
女は同情したような視線を向けてくれる。
「奥様、お茶のご用意が整いましたが」
何時の間にか現れた従者と思われる若い男が女の耳もとで囁いた。
「まぁ、わたしったら。こんなところで長々と皇女様に立ち話をさせて!
失礼の程お許しくださいませ。
お茶の準備が整ったようですから、こちらへいらしてくださいな」
軽く頭を下げるとアーデルハイドはすべるような身のこなしで邸の奥の一室にリーゼロッテを案内した。
通されたパーラーと思しき部屋は窓が大きい上に、白い揃いの家具で統一されていて、あいにくのこの天気だというのにとても明るい。
リーゼロッテを気遣ってか、女主人自らがポットを手にティーカップへお茶を注いでくれていると突然部屋の外が騒がしくなった。
「ね、お母様!
お客様が来たって本当? 」
「隣の国のお姫様なんだよね! 」
「ヨハンったら何にも教えてくれないのよ」
足音もけたたましく数人の子供達が一斉に部屋に駆け込んできた。
十才程の子供を筆頭に五人、いや六人だ。
「駄目よ、あなた達。
お父様のお許しがあるまでお部屋で待っていらっしゃい」
アーデルハイドが自分を取り巻く子供達に困惑気味に眉根を寄せる。
「お姉ちゃんが、お姫様? 」
その様子に目を引かれていると、不意に膝の上に暖かな重みが加わる。
見下ろすとヴェルナーと同じ髪の色をした少女が、リーゼロッテの顔を覗き込んでいた。
「本当に、絵本の中に出てくる外国のお姫様みたい! 」
次いで、嬉しそうに瞳を輝かせた。
「ね、外国のお話して! 」
その声を皮切りにアーデルハイドを取り巻いていた子供達も一斉にリーゼロッテを取り囲んだ。
「いいけど……
何のお話がいい?
御伽噺かな? それとも象さんとか砂漠の話? 」
いきなり子供達に取り囲まれてしまったことに戸惑いながらも、リーゼロッテはがっかりさせたくなくてかろうじて口を開く。
「じゃぁね、じゃぁね、僕ゾウの話! 」
「駄目なの。御伽噺がいいの! 」
それぞれが口を開く。
「じゃ、順番ね」
何から話をはじめようかと、思考を巡らせながらリーゼロッテは答えた。
「あっと言う間に懐かれたな」
御伽噺をはじめると、さっきまで口々に喋っていた子供達は一斉に口を閉ざした。
黙っておとなしく聞き入る子供達に取り巻かれていると、感心したような声がした。
顔を上げるとヴェルナーが笑みを浮かべている。
「お父様! 」
一番小さな子供が一人、慌てて立ち上がると男の足元に駆け寄った。
「雨が止んだよ。
城まで送ろう」
「えー! 姫様もう帰っちゃうの? 」
子供達が不服そうな声をあげる。
「また、今度、ね」
少しだけなごり惜しさを感じながらリーゼロッテは立ち上がる。
予定なくこんなことになってしまった。
きっと今頃乳母が気を揉んでいそうだ。
邸の外に出ると、雨はすっかり止んでいたが代わりに日暮れも迫っていた。
「今日は済まなかったね、子供達の相手なんかさせてしまって」
馬の背に揺られながらヴェルナーが呟くように言った。
「ううん、わたしも楽しかったです。
ただ、急にお邪魔してしまって、奥様には悪いことをしてしまって……
申し訳ないことをしましたって謝っておいてくださいね」
ただ抱きかかえられるようにして乗せられているだけなのに、慣れないせいかバランスを取るのが難しくて、リーゼロッテは思わず男にしがみついた。
そのリーゼロッテの鼻先でふわりとかすかな香りが立ち上がる。
父の皇帝がいつも衣服に焚き染めている異国渡りの香にスパイスや花の香りの入り混じった華やかだが落ち着ける香りだ。
自分でも意図せずに男に抱きついてしまったことに戸惑いながら自分の頭のすぐ上にある男の表情をそっと探ると、ヴェルナーは少しだけ目を細めたように見えた。
城のエントランスに馬を止めるとヴェルナーはリーゼロッテを抱え下ろす。
「姫様! 」
それと同時に乳母のニオベが転がるようにして駆け出してきた。
馬の背から下ろされた状態で両脇を支えていた男の手にふと力が篭ったと思ったら軽く引き寄せられた。
拒否も抵抗もできずに居ると間近に迫った男の顔が更に近付くと額に軽くキスを落とされた。
「え? 」
一瞬何が起こったのかわからずに、リーゼロッテは睫をしばたかせて男の顔を見上げる。
「では、姫君、また…… 」
やんわりとした笑みを向けた後、ヴェルナーは乗ってきた馬に飛び乗るとそのまま元きた道を戻っていった。
「姫様? 本当に心配しましたよ」
心底安心したかのような声に男を見送っていた視線を戻すと乳母の顔がある。
「突然雨は降ってくるし、姫様はお戻りになりませんし」
女は小言のように呟いてみせる。
「ごめんなさい。
まさかここの雨ってあんなに急に雨脚が強くなるなんて思っていなかったの。
それも急に降り出すんだもの…… 」
「そもそも、国はあまり雨が降りませんからね」
何時の間にか来ていたミス・スワンが同調するように言ってくれた。
「急いでお着替えをして下さい。
国王陛下が晩餐をご一緒にとお待ちです」
乳母に追いたてられ、リーゼロッテは部屋にと急ぐ。
先ほどヴェルナーのキスの落ちた場所がなんだか熱を持っているような気がして、リーゼロッテはふと足を止めた。
その熱はただ熱いのではなくて、とても心地よくて、なんだか今夜はこのままベッドに潜り込んで溺れてしまいたい気分になった。
◆◇◆ ◆3◆ ◆◇◆
「姫様! 」
「っ、ミス・スワン、何? 」
突然声を荒げて呼ばれリーゼロッテは顔を上げる。
「聞いていましたか?
毎日、夜会に晩餐会にお茶会とお疲れなのはわかりますが、お勉強の方もしっかりしていただきませんと…… 」
呆れたように言われる。
午前中の部屋の中には、穏やかな風が吹き込んでいた。
毎日この時間帯を学習に充てるのはリーゼロッテの日課だ。
それは滞在先でも変わらない。
「ごめんなさい」
「そのお約束で今回の訪問の許可をいただいたのですから。
しっかりしていただかないと、わたくしがお叱りを受けてしまいますわ。
口添えしたわたくしは最悪クビですよ」
ミス・スワンはあからさまにため息をついて見せた。
「そんな、ミス・スワンでなければわたし嫌よ? 」
幼少の頃についた異国の家庭教師の顔が思い出され、リーゼロッテは口を尖らせた。
いかにもオールド・ミスといった感じの年嵩の家庭教師は片言で言ってることが良くわからない上に、厳しくて始終がみがみ怒鳴られた。
その点、ミス・スワンは若いせいか融通がきく。
授業は厳しいけど、そのほかの時には少しはわがままもきいてくれる。
「でしたら、しっかりしてくださいませ」
「ええ、わかっています」
「何をお考えになっていたのですか? 」
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