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世界の危機のその理由は
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「見えたわ。
あそこがこの水道の水源になっている泉よ。
山頂まであと少しね」
王都の城壁を抜けてから七日目、木々の間から見え隠れする水面を見つけて、黒猫さんが言う。
泉って言うから、もっと小さいものかと思っていたんだけど、なんか程ほどの池ほどの大きさがある。
それだけ、湧水の量が多いってことなんだろう。
そうだよね、あんまり少しの水量じゃあの都全体に行き渡らないもの。
ただ、ただ泉っていう語呂だけで、勝手に岩の間からちょろちょろと水が湧き出してくるものだって思ってしまった。
なんてことを考えていると、先に歩いていた黒猫さんがふと足を止めた。
「どうかした? 」
「人が、いるのよ」
黒猫さんが視線を向けた先、ずっと辿ってきた水路と湖の接点辺りに、一人の人間がうろうろしていた。
黒猫さんもさすが猫。
人間の存在には慎重になるみたい。
着ている物と大柄な体格で男の人だって、遠くからでも何となくわかる。
それと……
風に乗って僅かに漂ってくる人工的なものの混じった花の香りに、利き憶えがある。
何かの花にスパイスとかを混ぜたような野生的な臭いは、たしかラザールさんのものだ。
「あれ、ラザールさんよ。
ほら、博物館の倉庫でわたしと話をしていた人間」
「そう?
じゃ、もう少し近付いても大丈夫かしら? 」
いいながら黒猫さんは泉に近寄る。
「ラザールさん! 」
側に近寄って声をかけた。
「えっと、待った? 」
訊きながら首を傾げる。
確か王都からシャルーノのマイカラス神殿まで、足の速い竜車で三日は掛かった筈。
王都から神殿まで行って、王都に戻るだけで最低六日。
それからここまで、猫の足で一週間とは言っても車の走れる街道じゃない近道を来たわけだから、いくら竜車でも一日で来られるとは思えないんだけど?
「いや、俺も今ついたとこ。
シャルーノからこっちへ真っ直ぐ向かっている街道を使ったんだけどな、それでもギリギリお前を待たせなくて済んだって、とこだ」
なる。
道は一本じゃなかったって訳か。
「それより、お前。
あれは、なんだよ? 」
ティラノもどきのつながれた馬車に、ラザールさんは視線を向ける。
「何って、わたしの躯、だけど」
「いや、そうじゃなくて、なんであれが……
ジルの乳母の娘じゃないのかよ? 」
「ああ、それねぇぇ」
ばつが悪くておもむろに目を泳がせた。
「ごめんなさいっ!!!
そのね、騙すつもりはなかったんだけど、ね。
あの日ロイさんが、どうしてもジルさんをエスコートしてじゃなきゃ夜会に出ないって言い出して。
だけど、その時ジルさんものすごく忙しくて、たまたまシャンタルさんが来ていたから、わたしをパートナーにしたらどうだってことで、人間に見えるように魔法をかけてもらっていたの。
わたしの意識が反映して、人間だった時の容姿になったらしいんだけど」
できうる限りの早口でまくし立てた。
「くわぁあああ、まさか、あの時の娘が猫だったなんてなぁ」
妙な溜息とともにラザールさんは肩を落す。
そういえばこの人、あのあと暫く用もないのにジルさんの所によく来ていたっけ。
「じゃぁ、ジルの乳母の娘ってのは? 」
それも必ず、ロイさんの連れていたパートナーのこと訊いて、困ったジルさんが適当に言い繕っていたんだよね。
「説明が面倒だったんじゃないのかな?
まさかジルさんの飼い猫だったなんて、正直に言ったら、どう言う経緯でそうなったのとか、シャンタルさんの魔法のこととか色々話さなくちゃならなかったから。
あの時、ジルさんこれ以上ないほど忙しかったし」
「そういうことか。
で? これがお前の本当の躯だってか? 」
「うん。
ありがとう、運んでもらって助かったわ。
それで、ね。
ついでなんだけど、この躯鳳のところまで運んでもらえる? 」
「俺が?
お前、自分で歩けないのかよ? 」
ラザールさんはホントに嫌そうな顔をした。
「うん。
この躯、召還されてからずっと眠ったままなんだって。
中に入っているのが猫だからね。
躯の大きさに魂の大きさがついていけなくて、動かせないんだと思うの」
「いや、だからさ。
お前が入って…… 」
「無理、だと思う。
できることならとっくにやってるわよ。
それに、案内してもらわないと、わたしこの先どこへ行けばいいのかわからないし」
カラス達が言っていたのは、レティーニャ山ってことだけで、この先の細かいことまではわからないんだよね。
「そりゃ、案内してやらないこともないけどな。
言っとくけど、俺は最後まで立ち会わないぞ。
いくら活動休止中だって言っても、火山の火口に飛び込むところなんか見たら、一生夢見が悪いからな」
うへぇ。
訊かなきゃよかった。
ま、贄なんだし、そういう状況もありだよね。
もしくは山頂で首を跳ねられるとか、生き埋めにされるとか、貼付けにされて置き去りにされるとか。
さすがに、そこまでは考えていなかったわ。
これは、相当覚悟しないと。
でもでも、でもぉ。
確かに、魔力と体力同時に削られて、疲れきって眠るように息を引き取るんなら、そのほうが楽かも知れないけど。
助けられる人を助けられない、あの思いはもうしたくない。
多少痛いかも、苦しいかも知れないけど。
ここまで来ちゃったし。
「にゃうん(ねぇ、お話は済んだのかしら? )」
わたしが黙り込んでしまったのを見て、黒猫さんが訊いてきた。
「なぁ(あ、うん。
今ね、わたしの躯を上まで運んでもらえるようにお願いしたところ)」
「にゃぁん(ふぅん、じゃあわたしはもういいかしら? )」
そうだよね。
この先をラザールさんに同行してもらうとなると、黒猫さんの案内してくれる道は使えない。
何しろ、お猫様専用の獣道、細かったり狭かったり、人間じゃ通れない個所が多々あった。
それに、博物館に雇われているとはいえ、ペットとは少し違った位置付けで人間との関係を築いているこの猫さんにとっては、人間と一緒っていうのはあんまり嬉しいものじゃないと思う。
「うな(どうもありがとう。
いろいろお世話になりました)」
「にゃ(役にたててよかったわ。
それじゃ、ここでお別れね)」
黒猫さんはくるりと背を向けた。
「あっ、ちょっと待てよ」
それを呼び止めたのはラザールさんだった。
「どうせ王都に帰るんだろう?
だったら、少し待っていて乗って行けよ。
おまえ達が使う道を歩くと約1週間、竜車なら五日だ。
少し震動は激しいが、歩いていくより早い上に休んでいけるぜ。
と、伝えてくれ」
「にゃうん(……と、言っているけど? )」
ラザールさんの言っていることを通訳して黒猫さんに伝える。
「にゃぁー(ありがとう。でも遠慮しておくわ。
この先まで付き合って、見たくもないもの目に入れるのも嫌だし)」
「にゃ? (わたしが何しに行くか知っているの? )」
「にゃにゃ(何となく、ね。何をするのかは知らないけど。
じゃ、頑張ってね)」
黒猫さんはぴょんってひと跳ねしてそのまま駆けていった。
「助けは要らないってか」
その背中を見送ってラザールさんが呟いた。
「ん、というより、この先までは付き合いたくないって」
黒猫さんの勘って鋭いんだよね。
道々、これからのこと詳しく説明したわけじゃないし、さっきのラザールさんの言葉理解したわけじゃないんだろうけど、何かを予感して身をひいてくれた。
「じゃ、行きましょうか? 」
ラザールさんを見上げて声を掛ける。
あんまり遅くなると、ラザールさんの下山前に夜になっちゃうう。
「ああ、そうだな」
返事をして立ち上がると、ラザールさんは竜車の荷台に歩み寄る。
暫くごそごそして、荷台から小柄な人影を引っ張り出して、背負う。
「ごめん、わたし重いよね? 」
「いや、全然。
お前平均より、かなり小さいし。
てか、幾つだ? 十三、四? 」
「……十八、です」
うっく、そんなに幼く見えたんだ。
正直中学生扱い嬉しくないなぁ。
「じゅうは、ち? 」
胡散臭そうにラザールさんは背負った荷物に視線を向ける。
「そりゃ、わたし向うでもどっちかって言うと小柄で、童顔だけど。
正真正銘十八よ」
それだけじゃない、ここの国の人って総じて高身長なんだよね。
今まで猫の躯で常時見上げていたからみんな巨人に見えていたんだけど、こうしてラザールさんに背負われたわたしの躯と比較してみて、おおよその身長が初めてわかった。
体躯の大きなラザールさんが恐らく200センチ弱。
やや小柄なロイさんでも180くらいはありそうだし、女性のシャンタルさんやイヴェットちゃんも170前後はあったような感じ。
そりゃ、身長153センチしかないわたしじゃ中学生に見えても仕方がないか。
「まぁ、その。
なんだ、小さいのも可愛いかな?
行くぞ」
一応フォローしてくれて、ラザールさんは細い山道を登り始めた。
あそこがこの水道の水源になっている泉よ。
山頂まであと少しね」
王都の城壁を抜けてから七日目、木々の間から見え隠れする水面を見つけて、黒猫さんが言う。
泉って言うから、もっと小さいものかと思っていたんだけど、なんか程ほどの池ほどの大きさがある。
それだけ、湧水の量が多いってことなんだろう。
そうだよね、あんまり少しの水量じゃあの都全体に行き渡らないもの。
ただ、ただ泉っていう語呂だけで、勝手に岩の間からちょろちょろと水が湧き出してくるものだって思ってしまった。
なんてことを考えていると、先に歩いていた黒猫さんがふと足を止めた。
「どうかした? 」
「人が、いるのよ」
黒猫さんが視線を向けた先、ずっと辿ってきた水路と湖の接点辺りに、一人の人間がうろうろしていた。
黒猫さんもさすが猫。
人間の存在には慎重になるみたい。
着ている物と大柄な体格で男の人だって、遠くからでも何となくわかる。
それと……
風に乗って僅かに漂ってくる人工的なものの混じった花の香りに、利き憶えがある。
何かの花にスパイスとかを混ぜたような野生的な臭いは、たしかラザールさんのものだ。
「あれ、ラザールさんよ。
ほら、博物館の倉庫でわたしと話をしていた人間」
「そう?
じゃ、もう少し近付いても大丈夫かしら? 」
いいながら黒猫さんは泉に近寄る。
「ラザールさん! 」
側に近寄って声をかけた。
「えっと、待った? 」
訊きながら首を傾げる。
確か王都からシャルーノのマイカラス神殿まで、足の速い竜車で三日は掛かった筈。
王都から神殿まで行って、王都に戻るだけで最低六日。
それからここまで、猫の足で一週間とは言っても車の走れる街道じゃない近道を来たわけだから、いくら竜車でも一日で来られるとは思えないんだけど?
「いや、俺も今ついたとこ。
シャルーノからこっちへ真っ直ぐ向かっている街道を使ったんだけどな、それでもギリギリお前を待たせなくて済んだって、とこだ」
なる。
道は一本じゃなかったって訳か。
「それより、お前。
あれは、なんだよ? 」
ティラノもどきのつながれた馬車に、ラザールさんは視線を向ける。
「何って、わたしの躯、だけど」
「いや、そうじゃなくて、なんであれが……
ジルの乳母の娘じゃないのかよ? 」
「ああ、それねぇぇ」
ばつが悪くておもむろに目を泳がせた。
「ごめんなさいっ!!!
そのね、騙すつもりはなかったんだけど、ね。
あの日ロイさんが、どうしてもジルさんをエスコートしてじゃなきゃ夜会に出ないって言い出して。
だけど、その時ジルさんものすごく忙しくて、たまたまシャンタルさんが来ていたから、わたしをパートナーにしたらどうだってことで、人間に見えるように魔法をかけてもらっていたの。
わたしの意識が反映して、人間だった時の容姿になったらしいんだけど」
できうる限りの早口でまくし立てた。
「くわぁあああ、まさか、あの時の娘が猫だったなんてなぁ」
妙な溜息とともにラザールさんは肩を落す。
そういえばこの人、あのあと暫く用もないのにジルさんの所によく来ていたっけ。
「じゃぁ、ジルの乳母の娘ってのは? 」
それも必ず、ロイさんの連れていたパートナーのこと訊いて、困ったジルさんが適当に言い繕っていたんだよね。
「説明が面倒だったんじゃないのかな?
まさかジルさんの飼い猫だったなんて、正直に言ったら、どう言う経緯でそうなったのとか、シャンタルさんの魔法のこととか色々話さなくちゃならなかったから。
あの時、ジルさんこれ以上ないほど忙しかったし」
「そういうことか。
で? これがお前の本当の躯だってか? 」
「うん。
ありがとう、運んでもらって助かったわ。
それで、ね。
ついでなんだけど、この躯鳳のところまで運んでもらえる? 」
「俺が?
お前、自分で歩けないのかよ? 」
ラザールさんはホントに嫌そうな顔をした。
「うん。
この躯、召還されてからずっと眠ったままなんだって。
中に入っているのが猫だからね。
躯の大きさに魂の大きさがついていけなくて、動かせないんだと思うの」
「いや、だからさ。
お前が入って…… 」
「無理、だと思う。
できることならとっくにやってるわよ。
それに、案内してもらわないと、わたしこの先どこへ行けばいいのかわからないし」
カラス達が言っていたのは、レティーニャ山ってことだけで、この先の細かいことまではわからないんだよね。
「そりゃ、案内してやらないこともないけどな。
言っとくけど、俺は最後まで立ち会わないぞ。
いくら活動休止中だって言っても、火山の火口に飛び込むところなんか見たら、一生夢見が悪いからな」
うへぇ。
訊かなきゃよかった。
ま、贄なんだし、そういう状況もありだよね。
もしくは山頂で首を跳ねられるとか、生き埋めにされるとか、貼付けにされて置き去りにされるとか。
さすがに、そこまでは考えていなかったわ。
これは、相当覚悟しないと。
でもでも、でもぉ。
確かに、魔力と体力同時に削られて、疲れきって眠るように息を引き取るんなら、そのほうが楽かも知れないけど。
助けられる人を助けられない、あの思いはもうしたくない。
多少痛いかも、苦しいかも知れないけど。
ここまで来ちゃったし。
「にゃうん(ねぇ、お話は済んだのかしら? )」
わたしが黙り込んでしまったのを見て、黒猫さんが訊いてきた。
「なぁ(あ、うん。
今ね、わたしの躯を上まで運んでもらえるようにお願いしたところ)」
「にゃぁん(ふぅん、じゃあわたしはもういいかしら? )」
そうだよね。
この先をラザールさんに同行してもらうとなると、黒猫さんの案内してくれる道は使えない。
何しろ、お猫様専用の獣道、細かったり狭かったり、人間じゃ通れない個所が多々あった。
それに、博物館に雇われているとはいえ、ペットとは少し違った位置付けで人間との関係を築いているこの猫さんにとっては、人間と一緒っていうのはあんまり嬉しいものじゃないと思う。
「うな(どうもありがとう。
いろいろお世話になりました)」
「にゃ(役にたててよかったわ。
それじゃ、ここでお別れね)」
黒猫さんはくるりと背を向けた。
「あっ、ちょっと待てよ」
それを呼び止めたのはラザールさんだった。
「どうせ王都に帰るんだろう?
だったら、少し待っていて乗って行けよ。
おまえ達が使う道を歩くと約1週間、竜車なら五日だ。
少し震動は激しいが、歩いていくより早い上に休んでいけるぜ。
と、伝えてくれ」
「にゃうん(……と、言っているけど? )」
ラザールさんの言っていることを通訳して黒猫さんに伝える。
「にゃぁー(ありがとう。でも遠慮しておくわ。
この先まで付き合って、見たくもないもの目に入れるのも嫌だし)」
「にゃ? (わたしが何しに行くか知っているの? )」
「にゃにゃ(何となく、ね。何をするのかは知らないけど。
じゃ、頑張ってね)」
黒猫さんはぴょんってひと跳ねしてそのまま駆けていった。
「助けは要らないってか」
その背中を見送ってラザールさんが呟いた。
「ん、というより、この先までは付き合いたくないって」
黒猫さんの勘って鋭いんだよね。
道々、これからのこと詳しく説明したわけじゃないし、さっきのラザールさんの言葉理解したわけじゃないんだろうけど、何かを予感して身をひいてくれた。
「じゃ、行きましょうか? 」
ラザールさんを見上げて声を掛ける。
あんまり遅くなると、ラザールさんの下山前に夜になっちゃうう。
「ああ、そうだな」
返事をして立ち上がると、ラザールさんは竜車の荷台に歩み寄る。
暫くごそごそして、荷台から小柄な人影を引っ張り出して、背負う。
「ごめん、わたし重いよね? 」
「いや、全然。
お前平均より、かなり小さいし。
てか、幾つだ? 十三、四? 」
「……十八、です」
うっく、そんなに幼く見えたんだ。
正直中学生扱い嬉しくないなぁ。
「じゅうは、ち? 」
胡散臭そうにラザールさんは背負った荷物に視線を向ける。
「そりゃ、わたし向うでもどっちかって言うと小柄で、童顔だけど。
正真正銘十八よ」
それだけじゃない、ここの国の人って総じて高身長なんだよね。
今まで猫の躯で常時見上げていたからみんな巨人に見えていたんだけど、こうしてラザールさんに背負われたわたしの躯と比較してみて、おおよその身長が初めてわかった。
体躯の大きなラザールさんが恐らく200センチ弱。
やや小柄なロイさんでも180くらいはありそうだし、女性のシャンタルさんやイヴェットちゃんも170前後はあったような感じ。
そりゃ、身長153センチしかないわたしじゃ中学生に見えても仕方がないか。
「まぁ、その。
なんだ、小さいのも可愛いかな?
行くぞ」
一応フォローしてくれて、ラザールさんは細い山道を登り始めた。
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