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世界の危機のその理由は
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それも、正規の街道を歩いていれば、そのうちに追ってきたラザールさんに拾ってもらえたかも知れないけど、馬車が全く通るとは思えないルートとなるとそれも望み薄。
それに……
わたしはちらりと黒猫さんを見た。
何日掛かるかわからないのに、子持ちの黒猫さんに付き合ってもらうのは申し訳ない。
頭の中にさっきの仔猫たちの姿が浮かんだ。
「ね、もしかして、この水ってあの山から引いていたりする? 」
水道橋を流れてくる水を目にわたしは訊いてみる。
「ええ、そうよ。
よくわかったわね」
水道橋の続いている方角から何となくわかる。
「じゃ、この水道橋を辿っていけばあの山にいけるわけよね? 」
「そうだけど? 」
「ありがとう。
じゃ、この先は一人で行くね。
案内してくれてありがとうございました。
チビさん達の所に帰ってください」
ひとつ頭を下げて黒猫さんに言う。
「いいけど、本当に大丈夫?
この水道はレティーニャ山の中腹にある泉までしか続いていないのよ。
目的地がその辺りにある村だって言うんなら、心配なく送り出せるんだけど、その先にまだ行くって言うんなら、絶対案内必要よ。
何しろあの山の裾野は深い森になっていて、どういう訳か中を歩いていると方向感覚が狂うのよ。
帰省本能とか勘で山頂まで行こうなんて思っているとしたら一生掛かっても辿り着けないわよ」
「う…… 」
つまりは樹海みたいな場所?
そうだよね、みたところあの山絶対に火山みたいだもん。
猫が迷うかどうかは知らないけど、人間は入っちゃいけない森。
「……すみません。
もう少し、お付き合いお願いしていいですか? 」
絶句したあと、掌を返すようにお願いしてしまった。
「いいわよ。
あの子達なら、もう充分仕事ができるし、乳離れは済んでいるから博物館の職員さんの出す食事を食べられるから、おなかを空かせる心配はないわ」
呆れたように息を吐いて、黒猫さんはそう言ってくれた。
「そうと決まったら、行くわよ」
黒猫さんは目の前に真っ直ぐ続く水道橋の上を歩きだした。
それから二日、わたしは空腹で目が回りそうになっていた。
引き止められることだけを危惧して、何の計画もなく闇雲に飛び出してしまったのが、早計だった。
もっとも猫だから、人間のように食料を持ってとか、お金を持っていって道々食堂に入るって訳にもいかない。
「大丈夫? あなた」
先を歩いていた黒猫さんが足を止め振り返った。
「王都を出てから、偶然見つけた木苺以外何も食べていないじゃない。
ちょっと、待っていなさいよ、今鼠か小鳥を…… 」
「あ、それは遠慮します。
お気持ちだけいただきます。
ありがとう」
言い置いてそのまま水路を逸れ、周囲の茂みに姿を消しそうな様子の黒猫さんを引き止める。
鼠も小鳥も獲ってきてもらったって捌くことも調理もしないで、生のまま頭からバリバリなんて食べられないよぉ。
猫の躯にもだいぶ馴染んで、一日二十時間のお昼寝も、耳や鼻がよく利くようになったこととかにも結構慣れたけど、食べ物だけは受入れられない。
幸いジルさんの所ではミルクとクッキー、火を通したささみなど人間の食べ物に準じた物を貰っていたから、苦労することはなかったんだけど。
まさか猫の足で何日も掛かる場所まで、食料もお金もナシで行くことになるとは思わなかった。
「もう、本当に根っからのお姫様なのねぇ」
黒猫さんに呆れたように言われる。
お姫様なんじゃなくて、もと人間だからなんだけどね。
「ね?
あなた、兄さんと同じ魔力もちなんでしょう?
目的の場所まで一気にいける魔法とか知らないの?
案内するのは構わないけど、あなたこのままだと目的地に着くまでに倒れるわよ」
「それはぁ…… 」
つぶやいて視線を泳がせた。
コゼットさんによると魔法はイメージだってことだったから、転移するところをイメージすれば行きたいところにいけるかな? って、何度かやってみたんだけど、知らない場所に行くところが全く想像できなかったのよね。
よくラノベやアニメで“転移魔術は一度行った場所にしかいけない”ってあったけど、その意味がよくわかった。
自分が実際、見たり行ったりしていないところだと、その土地の状況を具体的にイメージすることがどうしても不可能だったから。
もしかしたら、ここから王都のジルさんの執務室へならいけるかも知れないけど、うっかり戻ったりなんかしたらまたここまで来られるかどうかわからないから、試すのはやめておいた。
せめて、ごはん、ここに来ないかなぁ。
少しだけ温めたミルクと、クッキー、じゃなくてもいいから、せめて煮干。
なんて考えていると、なんだか美味しそうな臭いがしてくる。
やば……
匂いつきの妄想をはじめるようになるってことは、わたしのおなか本当に切羽詰っている?
「あら、やればできるんじゃないの」
黒猫さんにいわれて顔をあげると、目の前にはミルクとクッキーのお皿が並んでいた。
……なんだ? これは。
確かに今「ごはんがここに来ないかなぁ」って思ったけど。
何もない場所から、食べ物を取り出す魔法なんか知らない。
しかも、このお皿見覚えがある。
王宮の執務室でジルさんが、わたし用に用意してくれたお皿。
中身のクッキーも、いつも王宮で出してもらっていたものだ。
もしかして、空腹のあまり、王宮からミルクを転移させてしまった?
まぁ、いいや。
幻じゃなくて確実にここにあるし、遠慮なくいただいてしまおう!
「ははっ……
自分を目的地に転送させることは無理だったけど、食事は引き寄せることができたみたい。
一緒に食べよう」
黒猫さんを誘って、お皿の中のミルクに口をつけた。
うん、この味、間違いなく王宮でジルさんがいつも用意してくれていたやつだ。
もしかしてジルさん、わたしの帰りを待って毎日ごはんを用意してくれていたのかな?
そう思うと、無断で出てきてしまったことが申し訳なくて仕方がなくなる。
けど……
「どうしたの?
早く食べて、先を急ぎましょう?
わたしに遠慮なんかしなくていいのよ。
わたしならその辺りの小鳥でも何でも充分美味しくいただけるんだから」
ふと、食事の手を止めてしまったわたしを黒猫さんが促してくれる。
「あ、うん! 」
そうだよね。
黒猫さんのチビちゃん達、お母さんの帰りを待っているんだよね。
早く目的地に着いて、開放してあげなくちゃ。
最後のひとかけらのクッキーを遠慮なく飲み込んで、顔をあげる。
「食べ終わった? じゃ、行きましょう」
わたしの様子を目に黒猫さんが声を掛けてくれた。
「ちょっと待って…… 」
えっと、ぉ。
このいかにも高価そうなお皿、このままここに置きっぱなしにしちゃまずいよね。
とりあえず、執務室のいつもの場所に戻ったイメージを浮かべて……
大きく息を吸い込んで三回瞬きしたら、お皿がすっと消えた!
予想していた場所に戻ったかどうかはわからないけど、ま、いっか。
これ以上黒猫さんを待たせちゃ申し訳ない。
「おまたせしました。
行きましょう」
水路の細い縁を黒猫さんの後を追って歩きだした。
それに……
わたしはちらりと黒猫さんを見た。
何日掛かるかわからないのに、子持ちの黒猫さんに付き合ってもらうのは申し訳ない。
頭の中にさっきの仔猫たちの姿が浮かんだ。
「ね、もしかして、この水ってあの山から引いていたりする? 」
水道橋を流れてくる水を目にわたしは訊いてみる。
「ええ、そうよ。
よくわかったわね」
水道橋の続いている方角から何となくわかる。
「じゃ、この水道橋を辿っていけばあの山にいけるわけよね? 」
「そうだけど? 」
「ありがとう。
じゃ、この先は一人で行くね。
案内してくれてありがとうございました。
チビさん達の所に帰ってください」
ひとつ頭を下げて黒猫さんに言う。
「いいけど、本当に大丈夫?
この水道はレティーニャ山の中腹にある泉までしか続いていないのよ。
目的地がその辺りにある村だって言うんなら、心配なく送り出せるんだけど、その先にまだ行くって言うんなら、絶対案内必要よ。
何しろあの山の裾野は深い森になっていて、どういう訳か中を歩いていると方向感覚が狂うのよ。
帰省本能とか勘で山頂まで行こうなんて思っているとしたら一生掛かっても辿り着けないわよ」
「う…… 」
つまりは樹海みたいな場所?
そうだよね、みたところあの山絶対に火山みたいだもん。
猫が迷うかどうかは知らないけど、人間は入っちゃいけない森。
「……すみません。
もう少し、お付き合いお願いしていいですか? 」
絶句したあと、掌を返すようにお願いしてしまった。
「いいわよ。
あの子達なら、もう充分仕事ができるし、乳離れは済んでいるから博物館の職員さんの出す食事を食べられるから、おなかを空かせる心配はないわ」
呆れたように息を吐いて、黒猫さんはそう言ってくれた。
「そうと決まったら、行くわよ」
黒猫さんは目の前に真っ直ぐ続く水道橋の上を歩きだした。
それから二日、わたしは空腹で目が回りそうになっていた。
引き止められることだけを危惧して、何の計画もなく闇雲に飛び出してしまったのが、早計だった。
もっとも猫だから、人間のように食料を持ってとか、お金を持っていって道々食堂に入るって訳にもいかない。
「大丈夫? あなた」
先を歩いていた黒猫さんが足を止め振り返った。
「王都を出てから、偶然見つけた木苺以外何も食べていないじゃない。
ちょっと、待っていなさいよ、今鼠か小鳥を…… 」
「あ、それは遠慮します。
お気持ちだけいただきます。
ありがとう」
言い置いてそのまま水路を逸れ、周囲の茂みに姿を消しそうな様子の黒猫さんを引き止める。
鼠も小鳥も獲ってきてもらったって捌くことも調理もしないで、生のまま頭からバリバリなんて食べられないよぉ。
猫の躯にもだいぶ馴染んで、一日二十時間のお昼寝も、耳や鼻がよく利くようになったこととかにも結構慣れたけど、食べ物だけは受入れられない。
幸いジルさんの所ではミルクとクッキー、火を通したささみなど人間の食べ物に準じた物を貰っていたから、苦労することはなかったんだけど。
まさか猫の足で何日も掛かる場所まで、食料もお金もナシで行くことになるとは思わなかった。
「もう、本当に根っからのお姫様なのねぇ」
黒猫さんに呆れたように言われる。
お姫様なんじゃなくて、もと人間だからなんだけどね。
「ね?
あなた、兄さんと同じ魔力もちなんでしょう?
目的の場所まで一気にいける魔法とか知らないの?
案内するのは構わないけど、あなたこのままだと目的地に着くまでに倒れるわよ」
「それはぁ…… 」
つぶやいて視線を泳がせた。
コゼットさんによると魔法はイメージだってことだったから、転移するところをイメージすれば行きたいところにいけるかな? って、何度かやってみたんだけど、知らない場所に行くところが全く想像できなかったのよね。
よくラノベやアニメで“転移魔術は一度行った場所にしかいけない”ってあったけど、その意味がよくわかった。
自分が実際、見たり行ったりしていないところだと、その土地の状況を具体的にイメージすることがどうしても不可能だったから。
もしかしたら、ここから王都のジルさんの執務室へならいけるかも知れないけど、うっかり戻ったりなんかしたらまたここまで来られるかどうかわからないから、試すのはやめておいた。
せめて、ごはん、ここに来ないかなぁ。
少しだけ温めたミルクと、クッキー、じゃなくてもいいから、せめて煮干。
なんて考えていると、なんだか美味しそうな臭いがしてくる。
やば……
匂いつきの妄想をはじめるようになるってことは、わたしのおなか本当に切羽詰っている?
「あら、やればできるんじゃないの」
黒猫さんにいわれて顔をあげると、目の前にはミルクとクッキーのお皿が並んでいた。
……なんだ? これは。
確かに今「ごはんがここに来ないかなぁ」って思ったけど。
何もない場所から、食べ物を取り出す魔法なんか知らない。
しかも、このお皿見覚えがある。
王宮の執務室でジルさんが、わたし用に用意してくれたお皿。
中身のクッキーも、いつも王宮で出してもらっていたものだ。
もしかして、空腹のあまり、王宮からミルクを転移させてしまった?
まぁ、いいや。
幻じゃなくて確実にここにあるし、遠慮なくいただいてしまおう!
「ははっ……
自分を目的地に転送させることは無理だったけど、食事は引き寄せることができたみたい。
一緒に食べよう」
黒猫さんを誘って、お皿の中のミルクに口をつけた。
うん、この味、間違いなく王宮でジルさんがいつも用意してくれていたやつだ。
もしかしてジルさん、わたしの帰りを待って毎日ごはんを用意してくれていたのかな?
そう思うと、無断で出てきてしまったことが申し訳なくて仕方がなくなる。
けど……
「どうしたの?
早く食べて、先を急ぎましょう?
わたしに遠慮なんかしなくていいのよ。
わたしならその辺りの小鳥でも何でも充分美味しくいただけるんだから」
ふと、食事の手を止めてしまったわたしを黒猫さんが促してくれる。
「あ、うん! 」
そうだよね。
黒猫さんのチビちゃん達、お母さんの帰りを待っているんだよね。
早く目的地に着いて、開放してあげなくちゃ。
最後のひとかけらのクッキーを遠慮なく飲み込んで、顔をあげる。
「食べ終わった? じゃ、行きましょう」
わたしの様子を目に黒猫さんが声を掛けてくれた。
「ちょっと待って…… 」
えっと、ぉ。
このいかにも高価そうなお皿、このままここに置きっぱなしにしちゃまずいよね。
とりあえず、執務室のいつもの場所に戻ったイメージを浮かべて……
大きく息を吸い込んで三回瞬きしたら、お皿がすっと消えた!
予想していた場所に戻ったかどうかはわからないけど、ま、いっか。
これ以上黒猫さんを待たせちゃ申し訳ない。
「おまたせしました。
行きましょう」
水路の細い縁を黒猫さんの後を追って歩きだした。
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