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引きこもり貴族様の裏事情
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「……じゃぁ、それぞれにお願いね」
暫くして、話が終わったのかジルさんのその言葉を合図に、そこに居合わせた人がみんな足早に出て行く。
「タピー、お待たせ。
退屈だったでしょう? 」
ジルさんから何かの書類を受け取ったシャンタルさんが、タピーに声をかける。
「別に、寝てればいいだけの話しだし。
なあ、シャンタル。
『花嫁』って何だ? ってマーサが言ってる」
立ち上がると丸くなっていた背中を伸ばしながら、タピーが訊いてくれた。
「そう! 忘れていたわ。
クララック卿『花嫁』の件はどうなっているのよ?
なんか全然こっちに情報入ってこないんですけど? 」
シャンタルさんはそれには答えないで、ジルさんに視線を向けた。
「ああ、それねぇ…… 」
途端にジルさんの顔が困惑気味になる。
「正直、あたしも教えて欲しいのよ。
神殿の連中、今回は相当てこずっているみたいよぉ。
ま、三十年、五十年振りの儀式ですもの、前回の時に居合わせた人間が誰一人居なくて、一人残らず未経験者なんですもの。無理はないけど。
詳しい話は後でいい? 」
ジルさんの言葉に、胸の奥で何かがざわついた。
「そうね、今はゆっくりできる状況じゃないし。
マーサ、その話は次の時でいい?
タピー! 行くわよ! 」
そうなんだよね。
今はゆっくり話をしている状況じゃない。
軽く頷くと、シャンタルさんはタピーを連れて帰っていった。
「さぁ、マリーも準備しなくちゃね」
ジルさんはそう言って、わたしをバスケッドの中に入れる。
「ごめんなさいね。
今回はあたしも出なくちゃならなくなったから、暫くロイのところでお留守番していてくれる? 」
キャリーバスケットの蓋を閉めながら言われた。
お仕事なのはわかっているし、嫌だなんて言えないけど。
正直不安だな。
ロイさん自身は大丈夫なことはわかっているけど、その、使用人の皆さんがね。
ジルさんとこのメイドちゃんみたいに、目の敵にされる可能性の方が大きいわけで。
現にこっちの世界に来てからもう半年以上になるけど、未だにメイドちゃんはわたしのことを全力で拒否している。
それがなければ、ジルさんわたしをロイさんに預けなくてもお家で留守番させておけばいいんだけど。
「大丈夫よ、マリー。
いつものようにお部屋で大人しくしていてくれれば、誰もあなたを虐めたりしないから」
言い聞かせるように言うとジルさんはバスケットを持ち上げた。
「じゃ、ロイ頼んだわよ。
ミルクは少し温めてあげてね。そのほうが、食いつきがいいから。
あと、干魚は嫌いみたい。
クッキーはよく食べるわよ」
バスケットの揺れる感じで受け渡されたのがわかる。
その後、ドアの閉まる音と、ジルさんの足音が遠ざかってゆく音が聞こえた。
「さ、マリーちゃん。
でてきていいよ」
バスケットの蓋が開くとロイさんが中をのぞきこんでくる。
ふわぁ、久々に近くで見たけど、相変わらず無駄に綺麗な顔だなぁ。
バスケットの中からお部屋を見渡すと、この間の白×金の豪華なお部屋。
見た目は客室のようだったけど、妙な生活感のあるお部屋だなって思ったら、ロイさんのお部屋だったんだ。
「心配しなくても大丈夫だよ。
この部屋には、メイドも従者も誰も入ってこないから。
その代わり、掃除が行き届かなくて少し埃っぽいかも知れないけど、我慢してくれると、嬉しいな」
いつものフェロモン駄々流しの笑みで言われる。
そういえば、ジルさん達、ロイさんのことを時々「引きこもり殿下」って呼んでいたっけ。
つまりはお部屋には誰でも立入り禁止? ってこと。
だったら安心かな?
そう判断して、そろりとバスケットを出る。
暫くお部屋の中を見渡す。
うーん、どこで寝よう。
ジルさんの帰ってくるまで寝て待つってのがアレだけど、猫にできる事ってそれだけ。
ホント、時々でいいから人間になれればいいのに。
えっと、ベッドの上は寝心地よさそうだけど、お布団毛だらけにしちゃいそうだし。
何より、あんな金ぴかファブリック恐れ多いわ。
窓の側は直射日光が強くて暑そうだし……
ジルさんに頼んで、先にベッドを運んでおいてもらえばよかったかな?
暫く考えて、暖炉脇に片付けられていた椅子の足元にもぐりこむ。
うん、いい。
片方は壁になっているし、座面の裏が天蓋、椅子の足がベッドの支柱に見えるから、なんか落ち着く。
欲を言えば、座面からバスタオルか何かかけて囲ってあるといいんだけど。
「ふふっ。
そこが気に入った? マリーちゃん」
訊きながらロイさんが椅子の下にクッションを差し込んでくれた。
これで完璧!
安心して、寝られる……
いや、寝ている場合じゃない。
何か、わたし、凄く、大事なこと見落としている、ような?
なんだろう?
さっきから胸の奥で何かがざわつく。
『花嫁』、『召還』『儀式』この話題が出るたびに、ジルさん達は頭を抱えていた。
今まで、ジルさんの側にいて聞いた話を総合する。
多分、カラス達が言っていることから、『花嫁』ってのには今この国で暴れている鳥の化け物を沈静化させる力でもあるんだろう。
ジルさん達は『花嫁』なるものを、どこからか召還しようとしていて、だけどその儀式が上手くいっていないらしい。
何でもその召還先に繋がるパイプみたいなものが詰まったとか消えたとか。
それで『花嫁』が呼べないで困り果てている。
この間のお客さんいわく、召還が済むとパイプが消えるとか何とか……
きちんと説明してもらったわけじゃないから、あくまでも推測だけど。
ゆっくり誰にも邪魔されずにここまで考えて、思わず蒼白になる。
あ、とは言っても猫だから顔色が変わっても誰にもわからないだろうけど。
じゃなくてェ!
……それ、わたしだ。
ジルさん達の探している『花嫁』って、もしかしてわたしのことなんじゃ?
だって、だって、猫になってたんだもん。
猫だったから、誰も相手にしてくれなかったけど、わたし異世界召還されたことに間違いないよね?
少なくとも、ここは生まれて育った世界じゃない。
見知った風景が消えて知人がみんな姿を消しただけじゃない、気候も文化も文字も社会構造も風俗も習慣も何もかも違いすぎて、「海外旅行に来た」では済ませられない。
おまけに猫だし。
そりゃ、通路が消えるわけ。
だって、召還済んじゃっているんだもん。
……猫はお呼びじゃないって、事だったらしいけど。
思い出したらなんだか腹が立ってきた。
だってね、困るほど待っていた筈なのに猫の顔見るなりポイ!だもの。
そして、恐らくもう一人……
香帆もここに居るって事は召還されたって言うことだよね?
二人も召還されてたんじゃない。
だけど、どうして香帆の召還は数に入っていないんだろう?
う~ん…… …… …… ……
考えてもわかんないなぁ。
そもそも、このこと、ジルさん達にどう伝えよう。
通訳のまた通訳なんてまどろっこしいことしてたんじゃ、とうてい正確に伝えるのは無理そうだよね。
文字はかろうじて覚えたけど、まだ使える単語が少なくて、おまけにこの猫の手じゃペンも持てない。
せめて、タピーを通さずにシャンタルさんとは直接話ができたらいいのに……
暫くして、話が終わったのかジルさんのその言葉を合図に、そこに居合わせた人がみんな足早に出て行く。
「タピー、お待たせ。
退屈だったでしょう? 」
ジルさんから何かの書類を受け取ったシャンタルさんが、タピーに声をかける。
「別に、寝てればいいだけの話しだし。
なあ、シャンタル。
『花嫁』って何だ? ってマーサが言ってる」
立ち上がると丸くなっていた背中を伸ばしながら、タピーが訊いてくれた。
「そう! 忘れていたわ。
クララック卿『花嫁』の件はどうなっているのよ?
なんか全然こっちに情報入ってこないんですけど? 」
シャンタルさんはそれには答えないで、ジルさんに視線を向けた。
「ああ、それねぇ…… 」
途端にジルさんの顔が困惑気味になる。
「正直、あたしも教えて欲しいのよ。
神殿の連中、今回は相当てこずっているみたいよぉ。
ま、三十年、五十年振りの儀式ですもの、前回の時に居合わせた人間が誰一人居なくて、一人残らず未経験者なんですもの。無理はないけど。
詳しい話は後でいい? 」
ジルさんの言葉に、胸の奥で何かがざわついた。
「そうね、今はゆっくりできる状況じゃないし。
マーサ、その話は次の時でいい?
タピー! 行くわよ! 」
そうなんだよね。
今はゆっくり話をしている状況じゃない。
軽く頷くと、シャンタルさんはタピーを連れて帰っていった。
「さぁ、マリーも準備しなくちゃね」
ジルさんはそう言って、わたしをバスケッドの中に入れる。
「ごめんなさいね。
今回はあたしも出なくちゃならなくなったから、暫くロイのところでお留守番していてくれる? 」
キャリーバスケットの蓋を閉めながら言われた。
お仕事なのはわかっているし、嫌だなんて言えないけど。
正直不安だな。
ロイさん自身は大丈夫なことはわかっているけど、その、使用人の皆さんがね。
ジルさんとこのメイドちゃんみたいに、目の敵にされる可能性の方が大きいわけで。
現にこっちの世界に来てからもう半年以上になるけど、未だにメイドちゃんはわたしのことを全力で拒否している。
それがなければ、ジルさんわたしをロイさんに預けなくてもお家で留守番させておけばいいんだけど。
「大丈夫よ、マリー。
いつものようにお部屋で大人しくしていてくれれば、誰もあなたを虐めたりしないから」
言い聞かせるように言うとジルさんはバスケットを持ち上げた。
「じゃ、ロイ頼んだわよ。
ミルクは少し温めてあげてね。そのほうが、食いつきがいいから。
あと、干魚は嫌いみたい。
クッキーはよく食べるわよ」
バスケットの揺れる感じで受け渡されたのがわかる。
その後、ドアの閉まる音と、ジルさんの足音が遠ざかってゆく音が聞こえた。
「さ、マリーちゃん。
でてきていいよ」
バスケットの蓋が開くとロイさんが中をのぞきこんでくる。
ふわぁ、久々に近くで見たけど、相変わらず無駄に綺麗な顔だなぁ。
バスケットの中からお部屋を見渡すと、この間の白×金の豪華なお部屋。
見た目は客室のようだったけど、妙な生活感のあるお部屋だなって思ったら、ロイさんのお部屋だったんだ。
「心配しなくても大丈夫だよ。
この部屋には、メイドも従者も誰も入ってこないから。
その代わり、掃除が行き届かなくて少し埃っぽいかも知れないけど、我慢してくれると、嬉しいな」
いつものフェロモン駄々流しの笑みで言われる。
そういえば、ジルさん達、ロイさんのことを時々「引きこもり殿下」って呼んでいたっけ。
つまりはお部屋には誰でも立入り禁止? ってこと。
だったら安心かな?
そう判断して、そろりとバスケットを出る。
暫くお部屋の中を見渡す。
うーん、どこで寝よう。
ジルさんの帰ってくるまで寝て待つってのがアレだけど、猫にできる事ってそれだけ。
ホント、時々でいいから人間になれればいいのに。
えっと、ベッドの上は寝心地よさそうだけど、お布団毛だらけにしちゃいそうだし。
何より、あんな金ぴかファブリック恐れ多いわ。
窓の側は直射日光が強くて暑そうだし……
ジルさんに頼んで、先にベッドを運んでおいてもらえばよかったかな?
暫く考えて、暖炉脇に片付けられていた椅子の足元にもぐりこむ。
うん、いい。
片方は壁になっているし、座面の裏が天蓋、椅子の足がベッドの支柱に見えるから、なんか落ち着く。
欲を言えば、座面からバスタオルか何かかけて囲ってあるといいんだけど。
「ふふっ。
そこが気に入った? マリーちゃん」
訊きながらロイさんが椅子の下にクッションを差し込んでくれた。
これで完璧!
安心して、寝られる……
いや、寝ている場合じゃない。
何か、わたし、凄く、大事なこと見落としている、ような?
なんだろう?
さっきから胸の奥で何かがざわつく。
『花嫁』、『召還』『儀式』この話題が出るたびに、ジルさん達は頭を抱えていた。
今まで、ジルさんの側にいて聞いた話を総合する。
多分、カラス達が言っていることから、『花嫁』ってのには今この国で暴れている鳥の化け物を沈静化させる力でもあるんだろう。
ジルさん達は『花嫁』なるものを、どこからか召還しようとしていて、だけどその儀式が上手くいっていないらしい。
何でもその召還先に繋がるパイプみたいなものが詰まったとか消えたとか。
それで『花嫁』が呼べないで困り果てている。
この間のお客さんいわく、召還が済むとパイプが消えるとか何とか……
きちんと説明してもらったわけじゃないから、あくまでも推測だけど。
ゆっくり誰にも邪魔されずにここまで考えて、思わず蒼白になる。
あ、とは言っても猫だから顔色が変わっても誰にもわからないだろうけど。
じゃなくてェ!
……それ、わたしだ。
ジルさん達の探している『花嫁』って、もしかしてわたしのことなんじゃ?
だって、だって、猫になってたんだもん。
猫だったから、誰も相手にしてくれなかったけど、わたし異世界召還されたことに間違いないよね?
少なくとも、ここは生まれて育った世界じゃない。
見知った風景が消えて知人がみんな姿を消しただけじゃない、気候も文化も文字も社会構造も風俗も習慣も何もかも違いすぎて、「海外旅行に来た」では済ませられない。
おまけに猫だし。
そりゃ、通路が消えるわけ。
だって、召還済んじゃっているんだもん。
……猫はお呼びじゃないって、事だったらしいけど。
思い出したらなんだか腹が立ってきた。
だってね、困るほど待っていた筈なのに猫の顔見るなりポイ!だもの。
そして、恐らくもう一人……
香帆もここに居るって事は召還されたって言うことだよね?
二人も召還されてたんじゃない。
だけど、どうして香帆の召還は数に入っていないんだろう?
う~ん…… …… …… ……
考えてもわかんないなぁ。
そもそも、このこと、ジルさん達にどう伝えよう。
通訳のまた通訳なんてまどろっこしいことしてたんじゃ、とうてい正確に伝えるのは無理そうだよね。
文字はかろうじて覚えたけど、まだ使える単語が少なくて、おまけにこの猫の手じゃペンも持てない。
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