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見てはいけないもの(side※※※)

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いやーよく会うね。5度目?6度目?俺だよー。もう名乗らなくても、俺たち友達以上恋人未満ってくらいの関係じゃない?
そんなこんなで今日は王宮内のガサ入れに来ています。前、バッチリご禁制の品を発見したからか、上層部から定期の王宮内の手入れを任されてるんだよね。この時ばかりはピンク頭ちゃんから離れられるから有難いわー。

ヒンデンベルク嬢の不思議な言語については、官憲、外交部、そして俺たち”影”がいっくら調べてもわからなかった。殿下の神話上の生き物説が頭をよぎってゾッとしたのはここだけの秘密だ。調査不能、ってことで俺も監視のお役御免と思っていたんだけどさ……。

彼女、よーく手鏡で飽きもせず自分の顔を見てるなーと思ってたら(顔はめちゃくちゃ可愛いんだわ)、よくよく見たら何かしゃべってたんだよ。だから念のため席を外した時に確認してみたら、これがまたよくわかんない魔道具でさ。高度な通信系魔道具なんだけど、どうやら特定の人物にしか使えないようになっていて、彼女が誰と連絡をとっているのかさっぱりわからない。こんな高価なもの、彼女の実家のパン屋では買えないだろうし、ヒンデンベルク家も神殿にも問い合わせたけど知らないの一点張り。

不明点がヤバいし、あの子自身の素行もあって(結構な数の貴族から彼女の行動への苦情がきてるんだよね)、魔力封じをほどこして魔法省の研究所送りにする話まで出てるんだよ。「それはあまりにも非人道的だ。」と殿下を始め大多数の貴族が反対してるけど、このままいくとどうなるかな…?

俺個人としては、魔力封じは賛成!ただ魔法省のマッドな魔法使い送りにするのはちょっと可哀そうだから、戒律の厳しい地方の神殿に出すってのがベターかなと思ってる。神殿側も彼女を担ぎだして、民衆の支持を取り戻すっつーのは難しいとうすうす気付いているみたいだしね。



最近ではメイドと執事、交互に化けるようにしている。今日はメイドだ。このために足も脛も毛の処理してるんだよー美意識高いでしょ?最早着慣れたシンプルながらもレースのあしらわれた上品かつ可愛らしいメイド服に着替え、どうせ認識阻害魔法で見えないからと手を抜かずにほんのりお化粧もする。よしっ、俺ってば可愛い。

さーて今日もガサ入れのお仕事頑張っちゃいますか!

例の財務大臣は最近の激務のせいですっかり痩せて、ドレスが着れるようになったらしい。コレクションが増えている。逆に軍務大臣の部屋の拷問器具は減った。かなりバリエーション豊富だったから、今は軍や官憲に貸し出しているんだろうなー。

そういうちょっとした変化とかはありつつも、いつも通り問題無かったガサ入れは、とあるお方のお部屋で状況が一変する。

「あれれー?」
ほんの少し前まではまっさらでなーんにも使われた様子の無かったショーン殿下の執務室。
そんな彼の部屋に、何かを作った跡がある。慌てて去ったようで、設計書や魔道具のパーツ、魔力の残滓やらとぐちゃぐちゃ状態だ。残された情報を総合すると、災害レベルの魔獣を引き寄せる、特殊な音波を出すような危なっかしいシロモノみたいだけど……。
直近には、使われるとマズいような大規模な強制捜査の予定と学園での魔獣討伐もある。強制捜査で使われたら現場が混乱すること必須だし、魔獣討伐ならシャルル殿下含め高位貴族の子供たちの命が危うい。

だけど正直言って、あまり頭が良いとはいえないショーン殿下がこんなもん作れるとは思えないんだよねー。ハメられたか、誰かに場所を提供したか……何にしろ王子が関わっているとなると話がややこしくなるな。

そんなこんなと考えを張り巡らせていた俺は、後ろから忍び寄る影に気付かなかった。脇腹のあたりに「熱い」と感じるような衝撃を受ける。その部分を見ると、自分の体から短剣の先が出ているのが見えた。刺されたらしい。そのまま膝から崩れ落ちる。

その 誰か・・は俺を刺したくせに、ビビったのか知らないけど剣を抜き去り俺に構うことなくバタバタと走り去っていった。這っていって、ショーン殿下の執務机にもたれかかり一応圧迫を試みるけれど、自分から多量の生暖かい血液が流れ出ていくのを感じる。

これはもう助からないかもしれないな……女装のまま死ぬのはちょっと不本意だなあ……あーあ、3徹の頭じゃ走馬灯も流れないや……


こうして俺は、この物語から中途退場することになった。
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