7 / 73
彼の事情(sideカイン)1
しおりを挟む
あぁ、俺もここまでか………。
敵対するマフィアのボスの暗殺を依頼されて忍び込んだ先には、猛者たちがゆうに10人はいた。
つまりはハメられたのだ。おそらく俺に命を狙われたくないマフィアがお互いに紳士協定を結び、そしてこの国では新人暗殺者の俺が気に入らない既存の闇組織も一枚噛んでの仕業だろう。もっと事前の調査が必要だったか。
そんな反省をしつつ、俺はフラフラと裏路地をさ迷う。とにかくここから早く離れねば。10人全員きっちり皆殺しにしたが、思ったよりダメージが大きい。
止まらない出血に、殴られたせいかはっきりとしない視界。とにかく少しでも安全なところで休みたくて、俺は店と家との隙間に滑りこみ、そこに座り込んだ。
短い人生だった。
記憶もないようなガキの頃に人買いに攫われて、そのままテネブラエで訓練と暗殺に明け暮れ、そこも急襲され流れ流れてここまで来てしまった。
「いいか、どこでもいいから腰を落ち着けて暮らすんだ。お前は本当に大切にしてくれる人を見つけろ。」俺をあの暗殺者狩りの中から逃がしてくれた男が言っていたが、それは無理そうだ。生来の根無し草なんだろう、俺は。
ぼんやりと空を見つめていると、誰かが立ち止まる音がした。そちらの方を見ると、ちょうど俺があそこから逃げたくらいの歳のガキがこちらを凝視していた。ブラウンの瞳が揺れている。まあ、この国は比較的治安がいいから、こんな状態の人間がいるのが珍しいのだろう。だが、マフィアは目撃者を好まない。ここにいるとコイツも危ない。
「巻き込まれてぇのか。一緒にいると間違いなく殺されっぞ。」と俺は言った。頼むから早くどっか行ってくれ。そんな俺の思いをよそに、そこからちっとも動かない子供。
石でも投げつけてやろうかと思ったが……くそっ、体に力が入らねえ。
早く……。俺を探す男たちの足音が近づいてくる。すると何を思ったのか、ガキがこちらに歩み寄ると俺の前で立膝をついた。
一瞬何が起きたのかわからなかった。気付くとガキが覆いかぶさって、俺に口づけていたのだ。脱いだ帽子を俺にかぶせ、俺の目の前にはワイン色の長い髪が輝くシルクのように広がっている。
「ちっ、マセガキかよ。お盛んなこって。」
何を勘違いしたか、ヤツラが捨て台詞を吐いて、遠ざかっていく。コイツ俺を助けたのか……?
柔らかいくちびるが離れていき、目が合った。少年じゃない、少女だ。
「お、お前……。」
「私はディアナ。あなた、追われてるんでしょう?あいつらの手の届かない、安全な場所に匿ってあげるわ。」少女にしては落ち着いた声で、俺にそう言うと刺された部分に布をあてた。
「腹部を圧迫するのはよくないだろうけど」と言うと、俺を担いで走り出す。殴られた部分が押され、俺はうめいた。庭園の近くにある豪華な馬車に俺を放り込む彼女。
中にいた地味なメイドが俺を見て驚いていたが、どうやらこのまま医者の手当てを受けられるらしい。この少女が何者なのかわからないが、俺を害する意図は無さそうだ。そのまま俺は気を失った。
俺は眠り続けた。目を覚まそうにも、身体がいうことをきかない。ゆらゆらとただよう意識の向こうで、誰かが優しく俺に触れるのを感じていた。「きっとよくなるわ。」ささやきながらその小さな手が手当てをしてくれている。暗殺者として感覚が鋭敏になるように教育されてきた俺は、人に接触されるのがひどく苦手だったが、不思議とこの手は嫌じゃない。少しずつ頭がはっきりしていくと、その手を逃したくなくて、目を覚ました俺はとっさに細い手首をつかんでしまった。
コイツは……あのときの少女か。状況がわからず警戒する俺に「と、とりあえず、放してもらえる?清潔にしておかないといけないってお医者さんからの指示だから。」と彼女が言った。「包帯を替えた後、身体を蒸したタオルで身体を拭き清めます。」そう言って、慣れた手つきで俺のガーゼや包帯を替えていく。この手は……彼女が手当をしてくれていたのか。ふと、彼女と目が合う。ワイン色の長い髪を結い上げ、深い緑のワンピースを着た彼女は小さな貴婦人のようだ。このまま成長したら、さぞ美しい女になるだろう。
するとなぜか彼女の顔がどんどんと熟したリンゴのように真っ赤になっていった。いったいなんなんだ。
「あ、あのキスは申し訳ないと思うけど、その…人工呼吸みたいなもんで、命を救うための行為だったから……。でも勝手なことをしてごめんなさい。」と彼女が言う。
そういえば…追手をかわすために彼女に口づけられていたのを思い出した。仕事で商売女と関わる機会はあったが、徹底的に身体の接触を避けてきた俺にとっては初めてだったのだ。俺の顔にも熱がこもる。
「まあ、俺はいいけどよ…なんで助けた?貴族のお嬢様らしくノブレスオブリージュってやつか?」とそんな自分を誤魔化したくて、ぶっきらぼうに聞いた。あのときは下働きの少年のような格好をしていたが、質の高そうなワンピース姿の彼女はまごうことなき貴族の令嬢だ。
「別に、目の前で死なれたくなかっただけ。あと……その瞳がルビーみたいでキレイだなって。」と俺の瞳をまっすぐに見据えながら彼女が言う。俺の瞳は赤い。この大陸では悪魔憑きと言われ、忌み嫌われる色だ。記憶がないだけで、実は攫われたのではなく親に売られたのかもしれないと、密かに思っているくらいなのに。その瞳がキレイだって?おかしな令嬢だな。
「酔狂なご令嬢だな。あんなとこで転がってたんだ。お察しの通り俺は身ぎれいな人間じゃない。動けるようになったら、お前ら全員皆殺しにして、金目のものを持って逃亡するかもしれないぞ。」
「その時はその時よ。まあ、殺すなら一思いにやって欲しいけどね。」何でもないことのように微笑みながら、彼女が言う。
「そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわ。」
「俺は…カインだ。苗字はない。」と俺は顔をあわせないように答えた。なんだか彼女の目を見ていると、鼓動が早くなる気がするからだ。
「カインね。改めまして私はディアナ・バーンスタイン。ただの気まぐれであなたを侯爵家で面倒見ることにしたご令嬢よ。」美しく貴族式の礼をし、くるりとスカートをひるがえして春風に乗る妖精のように退室していった。
敵対するマフィアのボスの暗殺を依頼されて忍び込んだ先には、猛者たちがゆうに10人はいた。
つまりはハメられたのだ。おそらく俺に命を狙われたくないマフィアがお互いに紳士協定を結び、そしてこの国では新人暗殺者の俺が気に入らない既存の闇組織も一枚噛んでの仕業だろう。もっと事前の調査が必要だったか。
そんな反省をしつつ、俺はフラフラと裏路地をさ迷う。とにかくここから早く離れねば。10人全員きっちり皆殺しにしたが、思ったよりダメージが大きい。
止まらない出血に、殴られたせいかはっきりとしない視界。とにかく少しでも安全なところで休みたくて、俺は店と家との隙間に滑りこみ、そこに座り込んだ。
短い人生だった。
記憶もないようなガキの頃に人買いに攫われて、そのままテネブラエで訓練と暗殺に明け暮れ、そこも急襲され流れ流れてここまで来てしまった。
「いいか、どこでもいいから腰を落ち着けて暮らすんだ。お前は本当に大切にしてくれる人を見つけろ。」俺をあの暗殺者狩りの中から逃がしてくれた男が言っていたが、それは無理そうだ。生来の根無し草なんだろう、俺は。
ぼんやりと空を見つめていると、誰かが立ち止まる音がした。そちらの方を見ると、ちょうど俺があそこから逃げたくらいの歳のガキがこちらを凝視していた。ブラウンの瞳が揺れている。まあ、この国は比較的治安がいいから、こんな状態の人間がいるのが珍しいのだろう。だが、マフィアは目撃者を好まない。ここにいるとコイツも危ない。
「巻き込まれてぇのか。一緒にいると間違いなく殺されっぞ。」と俺は言った。頼むから早くどっか行ってくれ。そんな俺の思いをよそに、そこからちっとも動かない子供。
石でも投げつけてやろうかと思ったが……くそっ、体に力が入らねえ。
早く……。俺を探す男たちの足音が近づいてくる。すると何を思ったのか、ガキがこちらに歩み寄ると俺の前で立膝をついた。
一瞬何が起きたのかわからなかった。気付くとガキが覆いかぶさって、俺に口づけていたのだ。脱いだ帽子を俺にかぶせ、俺の目の前にはワイン色の長い髪が輝くシルクのように広がっている。
「ちっ、マセガキかよ。お盛んなこって。」
何を勘違いしたか、ヤツラが捨て台詞を吐いて、遠ざかっていく。コイツ俺を助けたのか……?
柔らかいくちびるが離れていき、目が合った。少年じゃない、少女だ。
「お、お前……。」
「私はディアナ。あなた、追われてるんでしょう?あいつらの手の届かない、安全な場所に匿ってあげるわ。」少女にしては落ち着いた声で、俺にそう言うと刺された部分に布をあてた。
「腹部を圧迫するのはよくないだろうけど」と言うと、俺を担いで走り出す。殴られた部分が押され、俺はうめいた。庭園の近くにある豪華な馬車に俺を放り込む彼女。
中にいた地味なメイドが俺を見て驚いていたが、どうやらこのまま医者の手当てを受けられるらしい。この少女が何者なのかわからないが、俺を害する意図は無さそうだ。そのまま俺は気を失った。
俺は眠り続けた。目を覚まそうにも、身体がいうことをきかない。ゆらゆらとただよう意識の向こうで、誰かが優しく俺に触れるのを感じていた。「きっとよくなるわ。」ささやきながらその小さな手が手当てをしてくれている。暗殺者として感覚が鋭敏になるように教育されてきた俺は、人に接触されるのがひどく苦手だったが、不思議とこの手は嫌じゃない。少しずつ頭がはっきりしていくと、その手を逃したくなくて、目を覚ました俺はとっさに細い手首をつかんでしまった。
コイツは……あのときの少女か。状況がわからず警戒する俺に「と、とりあえず、放してもらえる?清潔にしておかないといけないってお医者さんからの指示だから。」と彼女が言った。「包帯を替えた後、身体を蒸したタオルで身体を拭き清めます。」そう言って、慣れた手つきで俺のガーゼや包帯を替えていく。この手は……彼女が手当をしてくれていたのか。ふと、彼女と目が合う。ワイン色の長い髪を結い上げ、深い緑のワンピースを着た彼女は小さな貴婦人のようだ。このまま成長したら、さぞ美しい女になるだろう。
するとなぜか彼女の顔がどんどんと熟したリンゴのように真っ赤になっていった。いったいなんなんだ。
「あ、あのキスは申し訳ないと思うけど、その…人工呼吸みたいなもんで、命を救うための行為だったから……。でも勝手なことをしてごめんなさい。」と彼女が言う。
そういえば…追手をかわすために彼女に口づけられていたのを思い出した。仕事で商売女と関わる機会はあったが、徹底的に身体の接触を避けてきた俺にとっては初めてだったのだ。俺の顔にも熱がこもる。
「まあ、俺はいいけどよ…なんで助けた?貴族のお嬢様らしくノブレスオブリージュってやつか?」とそんな自分を誤魔化したくて、ぶっきらぼうに聞いた。あのときは下働きの少年のような格好をしていたが、質の高そうなワンピース姿の彼女はまごうことなき貴族の令嬢だ。
「別に、目の前で死なれたくなかっただけ。あと……その瞳がルビーみたいでキレイだなって。」と俺の瞳をまっすぐに見据えながら彼女が言う。俺の瞳は赤い。この大陸では悪魔憑きと言われ、忌み嫌われる色だ。記憶がないだけで、実は攫われたのではなく親に売られたのかもしれないと、密かに思っているくらいなのに。その瞳がキレイだって?おかしな令嬢だな。
「酔狂なご令嬢だな。あんなとこで転がってたんだ。お察しの通り俺は身ぎれいな人間じゃない。動けるようになったら、お前ら全員皆殺しにして、金目のものを持って逃亡するかもしれないぞ。」
「その時はその時よ。まあ、殺すなら一思いにやって欲しいけどね。」何でもないことのように微笑みながら、彼女が言う。
「そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわ。」
「俺は…カインだ。苗字はない。」と俺は顔をあわせないように答えた。なんだか彼女の目を見ていると、鼓動が早くなる気がするからだ。
「カインね。改めまして私はディアナ・バーンスタイン。ただの気まぐれであなたを侯爵家で面倒見ることにしたご令嬢よ。」美しく貴族式の礼をし、くるりとスカートをひるがえして春風に乗る妖精のように退室していった。
0
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
嫌われ者の悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
深月カナメ
恋愛
婚約者のオルフレット殿下とメアリスさんが
抱き合う姿を目撃して倒れた後から。
私ことロレッテは殿下の心の声が聞こえる様になりました。
のんびり更新。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる