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第2話 悪夢の再来

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「はぁ」
 
 母さんが再婚する…いきなり言われても困る。

 本来なら勉学や友人など高校での新しい生活の事で悩むはずだったが、頭の中は再婚の事ばかりだ。さらに、新しい父親が出来る上に、義理の兄弟まで来るときた。

 弟か姉...年上か年下かさえも分かっていない状態だ。母さんに聞こうと電話をかけるがまさかの家に忘れていた。ということで、今出来る事は学校に行くしかないというわけだ。

しかし心の準備など出来るはずもない...てか一日でたりるか!まだ思春期真っ只中の高校生だぞ!

 そんな事を考えている間に学校に着くと、僕は深呼吸をする。しかし、昨日は大事な初日の登校日だったのにまさか―――

前日

 僕は自分の部屋で、身だしなみを整えていた。

「よし!どこからどう見ても普通の高校生だ!」

 僕は高校で、陽キャになる為にオシャレを勉強した。そして、体育の授業でそこそこ活躍できるまで練習した。
これならきっと!

 ズルっ

 リビングに行く為、階段を降りようとすると足が滑る。

「あっ」

 勢いよく階段を滑り落ちると、僕は意識を失う。それを知った母さんは救急車を呼び、病院に送られる。母さんは泣きじゃくり、僕も激しい痛みに涙を流す。

そして、医者から診断結果を聞くことに!

「え~佐々木晴斗くん。……打撲です」

~完~

……うん。マジでミスった。学校の初日の登校日は学校生活の未来を決める大事な出来事だ。それを打撲ごときで……

 ええい! 泣くな僕! まだ一日しか経ってないだろ!恐れることはない!

 僕は校内の掲示板に貼られているクラス表を確認し、教室へ向かう。一学年4クラス。うん、変なところはないな。クラス同士で対抗し、Aクラスを目指す実力至上主義の学校でもなければ、召喚獣を使って争ったりとそんな事もない。

 ほとんどの漫画やラノベの学園の舞台と言えば高校だ。そりゃあ一度はくらいは色んな事を想像し、高校に夢を見たよ?
 実際には何も無い。
 生徒会などあってないようなものだし、風紀委員はそもそもなかったりする。SOS団とか隣人部だとか変わった部活も無い。高校なんて夢も希望もないな。

「と、ここか」

1ー3
ここが僕が一年過ごす教室
中学の頃の友達は全員別の学校にいるため、友達0人の状態で学校が始まる。気の合う友達が出来るといいけど。

よし!

ガラガラガラ

 教室のドアを開ける。
 すると、既に席に座るクラスメイト達が一斉に見つめてくる。

「……」

 だがすぐに視線は外れ、各自のグループで話を再開している。

…ま、まぁ高校は始まったばかりだ。暫くすれば友達の1人や2人...出来るといいなぁ


※※※


「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」

 終礼が終わると同時に、クラスメイト達は続々と帰りの準備をする。

「トモキ帰ろうぜ」
「お~」
「ミーサちゃん!帰りスタバ行こ!」
「え~私、お金ないよ~」
「……」

 僕はといえば

「佐々木」
「!」

 僕の名前を呼ぶのはクラスメイト

「なんか困った事あるなら先生に言えよ」

 …ではなく、担任だ。

「あ、はい」

結局僕は担任以外誰とも喋らず、学校を終えた。
 こんなはずじゃなかったのに!
 自分から話かけにいかなかったのも良くなかったな?
くっ、せめて初日に来ていればこんな事には!
 上靴を履き替え帰る為に廊下を歩くと、周りは友達同士で帰るやつばかりしかいないように見える。

 ……また友達0かな

 中学時代は訳あって友達ができなかった。小学校時代の友達も、中学に上がると同時に段々話さなくなった。そして、高校に上がっても同じだ。
 僕だって友達とか…か、彼女なんか作ったりして青春したいけど……
 無理……だよな。

「はぁ」

 ため息が止まらない。
 中学までの事もあるから、ついつい暗く考えるのは僕の悪い癖だ。
 でも本当に友達になんて、僕にできるのか……あ、母さんの再婚の事もあるじゃないか!
 僕って、もしや世界一不幸な高校生なのでは?

「ねぇ」

 いやいやこんな事で世界一不幸な訳ないじゃないか。そもそも再婚は不幸な事とは決まってないし、友達いなくたって幸せな奴もいるだろう。それに

「ねぇって!」
「はひっ!」

 突然話しかけられて、後ろを振り返ると女子が立っていた。

「そこ…アタシの靴箱あるからどいて」

 しまった。ついボーッとしていて、邪魔になっていたか。

「ご、ごめんなさい」

 そう言いながら、僕はすぐに退く。

「フンッ」

 女子は少々怒りながら靴を履き替える。
 しかしよく見ると美人だ。髪は桜色のロングの癖毛。制服は少々着崩していて、ちょっとヤンキーみたいな雰囲気を彼女から感じられる。胸も……って、変態みたいだな。

 気を悪くされたら余計に怒りそうだし、早く帰ろう。

「…………あっ!ちょ、ちょっと待って!」
「はい?」

 すると、女子が僕の手を掴む。
 もしかして、ジロジロ見てしまったのがバレたのか?
 いや、バレたって別に隠れて見た訳じゃないだろ。
 でも、彼女からしたらやはり気持ち悪かったのだろうな。
 こんな陰キャで、ぼっちで、根暗で、ゴミの佐々木晴斗にはね。

 ……僕の高校生活終了の時間…か。

「顔……見せなさい」

 ああ、てめぇのツラ覚えたから、今度覚悟しとけよってか?
 フッ、仕方ないな!
 この僕を本気にさせたからには……

「もしかして……」

 金でも土下座でも何でもするから許して貰おう!

「ハル?」
「申し訳あり……え?」

 僕の名前は晴斗だ。読みはハルトだが、僕の事をハルと呼ぶのは、この世でただ一人。

「さくら…ちゃん?」
「嘘?!ハルと同じ学校って……こんな事あるの?!」

 確かさくらちゃんは、6年前に引っ越したはずじゃ

「あ!驚くのも無理ないか!実は最近ここら辺に引っ越してきたの。この高校が今住んでる家から近いから決めたんだけど……ハルの家ってここから結構距離あるよね?」

 や、やばい

「あの時アタシまだスマホ持ってなかったから、親のスマホ使って連絡しようとしたんだけど、まさかの両親2人がスマホ同時に壊しちゃって連絡できなかったの」

 まさか…

「連絡先分からなくなるし、もう二度と会えないのかなってショックだったけど、……また会えたね」

 まさか…!

「近いうちに家まで訪ねようとしたけど…高校で出会うなんて、なんか運命って感じ」

悪夢の再来だぁぁぁぁぁ!!

「…な、なんか、しばらく見ない内に随分とカッ」

テケテンッ!テッテ、テケテンッ! ※ドラクエ
高田桜《たかださくら》が現れた!

たたかう
さくせん
にげる   ←

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「…………え?」

 ハルトは高校を後にし、逃げ出した!
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