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光の湖畔編

第107話 のっぱ〜

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「じゃあ私は歯を磨いて、もう寝よっかな。結構酔っ払っちゃった」

「お疲れ様コニー。僕らはもうちょい起きてるよ。
今日も朝から晩まで、美味しいご馳走を本当にありがとう」

「俺は最高に感動したぜ。コニー、ありがとう。すげえうまかった」

「もうちょい二人で飲むなら、違うお酒作っていってあげるよ。ちょい待ってて」

 エタンにはマンハッタンを。

 ウイスキーとベルモット、三対一。
 本当は確か赤いベルモットで作るんだよねこれ。
 長いグラスに氷を入れ、ステアして。
 ごくり。

 うげ、濃いっ! 
 エタン味見どぞ。
 え? もうちょいウイスキー? 
 そーいうのドライ・マンハッタンっていうんだっけ?

 ごくり。
 ぐえ~からい~っ!
 あ、そだ、アロマティックビターズ一滴の代わりに、念のため取っておいたグレープフルーツの皮を。 
 何処だどこだどこだ……あったぁ。
 ぎゅっとやって皮のオイルを、ぴっ、とってやって、酒に苦い風味をじゅわ。

 ごくり、ぐはっ!
 もうよく分かんないぃ。  
 たぶんいいのはず。
 こっちのグラスにとぽぽぽ~。
 氷は留守番で、マンハッタンおひっこしですよ~。

 お次はクレール。

 クレールはブランデーのほうが、確か好きなんだよね~?
 むらさきちゃんに任せなさ~い。

 コレの名前、さっきまで覚えてたのに……
 ん~、なんだっけ、ほら、んっと。
 教会で歌う歌。
 ん、ま、いっか。

 ブランデーとベルモット。 
 どんだけ? おんなじ?
 氷とまぜまぜ。

 ごくり うぎゅ。
 多分ブランデーもっと。

 ごくり、うぎゅぅ!! おさけ味。
 おひっこしはクレールがやってちょうだいな。

 あたし……そんでもって……ちょっと……

 いや、うんとすごく。

 うふふふ、のっぱ~飲んで酔っ払った






【次回予告 第108話 エレオノーラ (エタンセル視点)】


𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣
『おまけミニお酒コラム①』

カクテルにはカクテル言葉なるものがあります。
コニーがそれを知っていて彼らへの酒にチョイスしたわけではありません。単にベルモット入りで、それぞれ好みのハードリカーで作るシンプルな配合だからです。
以下は作者が勝手にうんちくお披露目です。

マンハッタンのカクテル言葉は「切ない恋心」です。片想いや報われない恋をしている最中のセンチメンタルな想いが込められています。ネットに 「あなたの心を奪いたい」なんて書いてあるのも見つけました。
エタンが恋心をコニーに抱いているかどうか?
作中ではまだはっきり書かれていません。
エタンの心の中に、その思いがあるのかないのか、それが恋なのか、本人が自覚すらしていないためです。親友のクレールが先にした意思表明を受けて、今のところ応援に回ってるエタンセル。
はてさて、今後どうなるのでしょうねえ。

コニーが酔っ払って名前を思い出せなかったブランデーのカクテルは「キャロル」です。
聖歌・賛美歌という意味を持つキャロルのカクテル言葉は、「この想いを君に捧げる」。
こちらはまさに分かりやすく、クレールにぴったりですね。

カクテル言葉を知ってて、意図してコニーが出したとしたら。彼女、相当な手練れであります(笑)


𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣
『おまけミニお酒コラム②』

ブランデーとは、主にぶどうをなどの果実酒を蒸留して作られた蒸留酒です。
ぶどう以外にもリンゴやプラムなどを使ったものもあり、果実酒をを蒸留して作ったお酒をブランデーと呼ばれます。
フランスのコニャック地方で作られて、さらにいろんな条件をクリアして認定を受けたものだけコニャックを名乗れます。
コニーが地球で仕事に使ってる高級なやつがそれなので、『86話昼ごはんの準備』の味見の時、コニーが「これは上等なコニャック!」と思わず口をついて出たのです。
ちなみに今後いつか登場する「りんごのブランデー」も同様。
フランスのカルバドス地方の認定を受けたものだけがカルバドスを名乗れ、そうでないものは「アップル・ブランデー」と呼ばれます。
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