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光の湖畔編
第98話 仕上げ魔法
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「俺今日すげえ仕事行きたくなくてさ。
コニーにあんなふうに見送ってもらって、しゃあねぇ行くかって、やっとなったけどな。
向こう着いてもイマイチ集中力に欠けるっつうか。頭使わねえ充力係で、身体使うことだけに没頭してたくてよ。腹も減らしたいし。
そんでクタクタで帰ってきて、あんな出迎えされた上に、こんな飯まで出されたら……
否が応でも明日も頑張んぞってなるだろうが。
そもそも俺を出勤渋りにさせたのは、コニーだけどよ。
本当に、とんだ魔女さまだよ。
コニー、ありが」
エタンの「とう」と言う言葉にかかるタイミングで、クレールが「ベリッ!」って音がしそうな勢いで、エタンを引き剥がした。
「はーい、魔女さまが潰れちゃいまーす。夕焼け色国の者も、待ちきれず今すぐ食べたいと言っていおりまーす」
「(チッ)……コニー悪ぃ」
「超高速移動でぎゅってされたから、なにごとかとびっくりしちゃった。まあ喜んでもらえて何よりだよ。
さあ森林の王子様、華麗な味の舞踏会にご招待しますわ。お手をどうぞ」
手を伸ばし、すっとフォークをエタンに差し出した。
食レポと賛辞に始まり、今日起きたこっちの出来事をクレールと私でエタンに報告しつつ、あっという間に二皿目が食べ終わる。
次にポーチドエッグの冷製皿を出し、パロミノ酒をグラスに注ぐ。
「エタンの金の瞳の色には程遠いけど、パロミノ酒のこの淡い金色。エタンの目みたいにとっても綺麗だよね」
二人に食前酒を勧め、飲まない私は料理の説明を続ける。
「このジュレはね、パロミノ酒を効かせた美しい味わいなんだよ。舌の温度でちゅるって蕩けるように喉元を過ぎてくの。
真ん中の茹でた玉子は私。
卵の白身をざっぱりかぶってこっちにやってきたからね、はは。
エタンの金色の優しさに私が包まれてんのよ。
そんで色鮮やかな野菜たちは、楽しそうな私の笑い声。
あ、下に敷いたり散らばってるパテにもこのお酒を使ってるから、味に統一感があるでしょう?
単純にお肉は『力』の象徴で、おヌル様を仲間の力で下から支えます、って感じ」
てっぺんのセルフィーユを指し、
「これは緑の瞳のクレールが、私をふわっと撫でてくれてんの」
今度はクレールにも、にっこりアピール。
「「…………」」
「ん? 茹でただけ玉子のくせに、煌びやかにお洒落してるから、びっくりしたのかね? ふふ、それなら食べてから、もっと驚いてくれたまえ」
しからば率先して私が、ジュレをスプーンで掬って口に運ぶ。
んん~我ながら美味し!
気になってたポーチドエッグもぷすり。
黄身のとろみ加減も絶妙に茹で上がってるぞ。
パロミノ酒の風味のパテ。
少量だけどお肉はきっと男心を揺さぶるはず。
今朝のシチュー以降、お肉食べてないもんねぇ。
私につられすぐにスプーンを取り、でも、なにやら神妙な面持ちで食べてた二人がやっと口を開いた。
「コニー。俺、すげえ感動してる。
俺のガキみたいな、えこ贔屓うんぬん恥ずかしい戯言を、ガッツリ受け止めてくれて。こんな豪速球を速攻で投げ返されるなんて思ってもみなかった……」
「君が今まで作ってくれたものは、どれも見たことがないほど美しくて、食べたことのない美味しさで。
コニーがお伽噺のような説明をしながら、皿の上で料理を組み立ていくさまは、本当に心が躍ったよ。
そしてこの二皿目は、昨日のモザイクゼリーに似たようでいて、まるで違うね。
しかも君の説明が始まったら、魔法がかけられたみたいに、皿の上の料理の輝きが増していくし。
食べたら、あまりにも君の物語りどおりの味だから、僕はなんだか泣きたい気持ちになった」
「ええ? おヌル様パワーは発動してないよ、多分。ほら」
べぇって舌を出して見せる。
「ああ、そりゃ分かってる。
コニーの話が、料理の最高の仕上げ魔法だって意味だ。
泣けるほど感動する食い物なんぞ、俺もクレールも初めてだぜ」
あ、口上のことか
嘘は言ってないけど、そのまんまじゃなくて、うう~ん、正直に言ったほうがいいのか……
「あの、その、ですね。料理の説明はね。
大事なことだから先に言うけど。
私の気持ちにこれっぽっちも嘘はないんだよ。
それは信じてね。
でも……実は順番が逆というか。
今回は限られた食材で、昨日の残り活用というか、ざっくり準備もしてあったしね。
まず先に、頭の中に料理とルセットがパッと浮かんで。
そんで、お話は……後付けなの……」
チラッと二人を見やる。
「ごめん。騙された気分になった?」
「いんや、全然。俺の感動に変わりはないし、嬉しい気持ちのまんまだ。
面白え話を聞きながら、美味い飯を食う。しかも俺のために作られた話と料理だ。最高以外のナニモノでもない」
「エタン。どさくさに紛れて調子コクな、オマエのためだけじゃない。僕たちのためだ。
コニー。外から帰ってくるエタンを喜ばせてやりたいその思い、ちゃんと伝わってるよ。君の真心が嘘な訳ないでしょう?
目と舌で、そして言葉で僕らを癒やして楽しませてくれるコニーは、本物の料理人で、おもてなしの達人さ」
「あ、ありがとう……エタン、クレール……」
はあ~、インチキだって誤解されなくて良かった。
えっと……じゃあ、続きのお料理お出ししましょうね」
またあの天丼の登板だけど、今度のお酒はうまく合うするかなあ。
【第99話 ヌルっとおかん】
イラストは、ポーチドエッグと小さな野菜とパロミノジュレです。
コニーにあんなふうに見送ってもらって、しゃあねぇ行くかって、やっとなったけどな。
向こう着いてもイマイチ集中力に欠けるっつうか。頭使わねえ充力係で、身体使うことだけに没頭してたくてよ。腹も減らしたいし。
そんでクタクタで帰ってきて、あんな出迎えされた上に、こんな飯まで出されたら……
否が応でも明日も頑張んぞってなるだろうが。
そもそも俺を出勤渋りにさせたのは、コニーだけどよ。
本当に、とんだ魔女さまだよ。
コニー、ありが」
エタンの「とう」と言う言葉にかかるタイミングで、クレールが「ベリッ!」って音がしそうな勢いで、エタンを引き剥がした。
「はーい、魔女さまが潰れちゃいまーす。夕焼け色国の者も、待ちきれず今すぐ食べたいと言っていおりまーす」
「(チッ)……コニー悪ぃ」
「超高速移動でぎゅってされたから、なにごとかとびっくりしちゃった。まあ喜んでもらえて何よりだよ。
さあ森林の王子様、華麗な味の舞踏会にご招待しますわ。お手をどうぞ」
手を伸ばし、すっとフォークをエタンに差し出した。
食レポと賛辞に始まり、今日起きたこっちの出来事をクレールと私でエタンに報告しつつ、あっという間に二皿目が食べ終わる。
次にポーチドエッグの冷製皿を出し、パロミノ酒をグラスに注ぐ。
「エタンの金の瞳の色には程遠いけど、パロミノ酒のこの淡い金色。エタンの目みたいにとっても綺麗だよね」
二人に食前酒を勧め、飲まない私は料理の説明を続ける。
「このジュレはね、パロミノ酒を効かせた美しい味わいなんだよ。舌の温度でちゅるって蕩けるように喉元を過ぎてくの。
真ん中の茹でた玉子は私。
卵の白身をざっぱりかぶってこっちにやってきたからね、はは。
エタンの金色の優しさに私が包まれてんのよ。
そんで色鮮やかな野菜たちは、楽しそうな私の笑い声。
あ、下に敷いたり散らばってるパテにもこのお酒を使ってるから、味に統一感があるでしょう?
単純にお肉は『力』の象徴で、おヌル様を仲間の力で下から支えます、って感じ」
てっぺんのセルフィーユを指し、
「これは緑の瞳のクレールが、私をふわっと撫でてくれてんの」
今度はクレールにも、にっこりアピール。
「「…………」」
「ん? 茹でただけ玉子のくせに、煌びやかにお洒落してるから、びっくりしたのかね? ふふ、それなら食べてから、もっと驚いてくれたまえ」
しからば率先して私が、ジュレをスプーンで掬って口に運ぶ。
んん~我ながら美味し!
気になってたポーチドエッグもぷすり。
黄身のとろみ加減も絶妙に茹で上がってるぞ。
パロミノ酒の風味のパテ。
少量だけどお肉はきっと男心を揺さぶるはず。
今朝のシチュー以降、お肉食べてないもんねぇ。
私につられすぐにスプーンを取り、でも、なにやら神妙な面持ちで食べてた二人がやっと口を開いた。
「コニー。俺、すげえ感動してる。
俺のガキみたいな、えこ贔屓うんぬん恥ずかしい戯言を、ガッツリ受け止めてくれて。こんな豪速球を速攻で投げ返されるなんて思ってもみなかった……」
「君が今まで作ってくれたものは、どれも見たことがないほど美しくて、食べたことのない美味しさで。
コニーがお伽噺のような説明をしながら、皿の上で料理を組み立ていくさまは、本当に心が躍ったよ。
そしてこの二皿目は、昨日のモザイクゼリーに似たようでいて、まるで違うね。
しかも君の説明が始まったら、魔法がかけられたみたいに、皿の上の料理の輝きが増していくし。
食べたら、あまりにも君の物語りどおりの味だから、僕はなんだか泣きたい気持ちになった」
「ええ? おヌル様パワーは発動してないよ、多分。ほら」
べぇって舌を出して見せる。
「ああ、そりゃ分かってる。
コニーの話が、料理の最高の仕上げ魔法だって意味だ。
泣けるほど感動する食い物なんぞ、俺もクレールも初めてだぜ」
あ、口上のことか
嘘は言ってないけど、そのまんまじゃなくて、うう~ん、正直に言ったほうがいいのか……
「あの、その、ですね。料理の説明はね。
大事なことだから先に言うけど。
私の気持ちにこれっぽっちも嘘はないんだよ。
それは信じてね。
でも……実は順番が逆というか。
今回は限られた食材で、昨日の残り活用というか、ざっくり準備もしてあったしね。
まず先に、頭の中に料理とルセットがパッと浮かんで。
そんで、お話は……後付けなの……」
チラッと二人を見やる。
「ごめん。騙された気分になった?」
「いんや、全然。俺の感動に変わりはないし、嬉しい気持ちのまんまだ。
面白え話を聞きながら、美味い飯を食う。しかも俺のために作られた話と料理だ。最高以外のナニモノでもない」
「エタン。どさくさに紛れて調子コクな、オマエのためだけじゃない。僕たちのためだ。
コニー。外から帰ってくるエタンを喜ばせてやりたいその思い、ちゃんと伝わってるよ。君の真心が嘘な訳ないでしょう?
目と舌で、そして言葉で僕らを癒やして楽しませてくれるコニーは、本物の料理人で、おもてなしの達人さ」
「あ、ありがとう……エタン、クレール……」
はあ~、インチキだって誤解されなくて良かった。
えっと……じゃあ、続きのお料理お出ししましょうね」
またあの天丼の登板だけど、今度のお酒はうまく合うするかなあ。
【第99話 ヌルっとおかん】
イラストは、ポーチドエッグと小さな野菜とパロミノジュレです。
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