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光の湖畔編

第69話 帽子選び

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 箱の中身を覗くと。
 どれもこれも趣味がマチマチで、とんでもなく個性的だった……

「コニー! 先に聞いて! 言わせて!
これ姉からの基本ウケ狙いお土産たちだから。僕の趣味じゃないから」

 はは、クレール必死。
 うんうんと私はうなづく。

「1つぐらいは良いもんあんじゃね、と思ってたが。久々見てもロクなのやっぱねえな」
エタンが床から、1つづつ机に並べ始めた。

 1番の場所取りはメキシコのソンブレロみたいなやつ。
 エタンに被せる。
 笑ってやろうと思ったのになんだか似合う。
 しかもカッコいい?! 

 漫画の魔女の被るような濃い紫ビロードの三角帽子。
 ぶかぶかだけど私が被る

 どデカいトリコロールのふんわりリボンのついた象牙色の帽子。
 あ! 子供の頃アニメで見た少女王子様が被ってたやつみたい。
 クレールに被せる。
 さすがあだ名が王子様、よく似合ってる。

「なんか楽しいね~!! これ被って散歩する気にはなんないけど。エタン、次出して~」

 ロシアの帽子2種。
 耳付きと耳無し。
 この季節これは暑いだろう。
 あれ? でもこの黒い耳なしふわふわはまるで……。
 クレールの帽子を取り替えて被せる。
 腰まである明るい髪色が、あんなに長くはないけど、いい感じにあの宇宙を旅する美女めいてて。

「クレールは美人さん系だから、黒い装いもシック(フランス語で。上品)で素敵! あんず色の長い髪にもとても似合ってる。冬被りなよ」

 次は、ちょっと光沢のあるお高そうな生地で銀鼠の中折れ帽。
「エタンはこっち。おお! こういうダンディなのも似合うね! まさにイタリアの伊達男だ。カッコいい」

 モテ男たちだから、外見のことなど褒められ慣れててどうってことないだろう、と思ってたけど。
 照れた感じで嬉しそうにしていた。

 お! カンカン帽発見。
 これ好き。
 ピンクのサテンリボンに黒い水玉もよう、可愛い。

 あ!! よく見たら肉球&隠れ黒猫。

「クレール、これ。私に貸してくれたやつとお揃いだね!」

「ああ、ほんとだね」

「黒猫は私も大好きなんだ! 『クロエ』って名前の黒猫を小さな頃から飼っていたから。
黒猫は私にとって物凄い特別!!」

 サテンリボンだと思ってたのは、よくみたら、あのピタッとしたスパッツの光沢ある生地だった。
 お揃いの帽子を持っているぐらい、お気に入りのブランドなんだね、クレール……。

 でも私がパンツ代わりに素肌に履いたやつは、クレールに身につけて欲しくない。
 1回履いちゃったから、もうあれは私のおパンツよ、返したくないわ。
 そう思うと、さっきネットに入れないでお洗濯にエタンに渡したのが急に恥ずかしくなる。
 
「クレールも気に入ってると思うけど、下着として1回使っちゃったし、あの服、私が貰っちゃってもいいかな? ごめんね……クレール。大好きな猫ちゃんと苺を横取りして」

「なっ?! あれも姉上のオモシロお土産だから!! 捨てられずに箪笥たんすの肥やしにしてただけだって!
コニー、嫌でなかったらそのまま着てやって。
本来は水着の下に着る男性ものだっていう姉の話だけど、信じらんないよ。
コニーに着てもらって服も本望だよ」

 あ、そうなの?

「そ、それに、下着として着用したものを、返してなんて、そ、そんなこと……」
真っ赤になって、言い募った末、下を向いて小声になっていくクレール。

「そ、そっか! それならありがたく。このままちょうだいするね!」

 なーんだ、クレールの趣味ではなかったんだ。
じゃあきっと、パンツは普通のを履いているんだね。

 はて? この世界のメンズ下着の普通ってなんだろうか?

『普通って一体なんだろう?』こんな哲学風な問いかけ。
 この世界で一番初めに男性パンツに使うなんて。
 アホ過ぎる、無し無し。

 魔女の三角帽子とカンカン帽を私は取り替えて被った。

「どう? 似合ってるかな?」

パシャリ。
すかさずクレールに写真を撮られた。

「ほら。見て。似合ってる。可愛いよコニー」

「あ、ありがとう……クレール。
でも写真はエネルギーを食うって。貴重なんじゃないの?」

「まあね。でも多めにアクセサリーつければ大丈夫な筈だから。散歩も行くし」

「昨日コニーの料理を写真取りもせずに、ガツガツ食っちまったのがマジで悔やまれるぜ!」

「全くだ。食べ物の写真を撮るなんて発想ないから、全く盲点だった。ほんと悔しいよ」 

 2人の会話に急についていけなくなった……
「待って、待って。写真の魔力の話からアクセサリーって何? なんの関係があるのが?」
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