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光の湖畔編
第68話 実験終了と箱
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望み通り、エタンがピストンで淹れてくれた初めてのコーヒー。
パンチが強すぎるというか、どろくさいというか。
垢抜けずエグみがエグい。
ウチの店の金属フィルターで淹れたやつもコーヒーオイルがそのまま出て、沈殿物もあるけど、スッキリ美味しい。
別次元のものだ。
あ! トルコで飲んだコーヒーにちょっぴし似てるかも?!
カップひっくり返して占いとかやっちゃうやつ。
それはさておき、結果。
魔力を流したら「豆自体の味」はもちろん変わる。
でも「抽出方法による味」は、ピカらせても変えられなかった。
つまり素材の味は変えられるけど、料理方法、技術力の差、壁は越えられないってこと。
さっきのマフィンで言えば。
世のママンたちが作ったマフィンは、『私がグルテン出さずに作った、ふんわりお口で解けるマフィン』には、成り得ないってこと。
つまり、私以外の適当な誰かに下請けさせて、大量生産ボロ儲け、この手口は無しってわけ。
まあ、別にしようとは思ってないけど。
いつかこっちでお店を始めた時に、ちょっとサボれるかもって思ったのはナイショだけど。
ふぅぅい。
目標の実験を全て終えて、かなり満腹になってしまった。
腹ごなしも兼ねて早速、お散歩に出ようとなって。
仕上げに帽子選びです。
ソファーへ私とエタンは移動する。
ローテーブル上には、ティッシュの箱よりちょい長さが短い程度の、白いプラスチックのような箱が置いてあった。
クレールがキッチン後ろの収納から、黒い皮の取っ手のついたケースを出してこっちに持ってきた。
楽器とか料理人の包丁ケースのような、そんな感じ
ぱかっと蓋を開けると、小さく細いものから、
太く大きなものへと順にずらり。
少しキラキラする、ガラスのペンのようなものが並んでいた。
よく見るとその先っちょは、色鉛筆みたくカラフルだった。
小さい順から。
赤・橙・黄緑・緑・水色・藍・紫。
虹の配色みたいだ。
黄色は無くてこっちの世界は黄緑なの? と聞くと、黄色は見えづらいから、この道具ではわざと黄緑にしてるんだ、と教えてくれた。
きちんと整列した感じが、お父さんが持っていた、精密ドライバーセット思い起こさせた。
まあ勿論、もっとうんと小さかったけど。
大きいやつ3本は長さが違うけど、太さは同じように見える。
そして今回、下から3番目。
黄緑色先の、ペンと同じくらいのサイズのものをクレールが取り出した。
机の上に置いてある白い箱の横っちょには。
あの曼荼羅みたいな、黄緑色の回路があった。
私の小さな手で、親指と人差し指で作る丸と同じくらいのサイズの。
クレールは箱を床に下ろし、しゃがんで回路部分をガラス棒でちょんっと、ワンクリックする。
そしてそこから、ちょっと離れた。
すると、目の前の箱の周りに、黄緑色の楕円形の線が現れ……
ええええええ! なんとぉお!
むくむくっと、数秒後にその箱は大きくなった。
そして楕円の光の線は消えていた。
衣装ケース並みの、収納力ある結構な大きさだ。
びっくりしてる私を見て、クレールはクスッと笑って。
「蛍様も驚いてたそうからね。どお? びっくりした? 収納箱の魔道具だよ。こっちの透明な棒は『箱棒』って名前で……。
あ、僕が名付けたんじゃないからね! 昔からだから。開発者の方がつけたんだよ、ダジャレっぽい名で市井に馴染むようにってね」
「コニー。こん中から帽子選んですぐ外散歩に行くか? それとも収納箱の説明聞いてからにすっか?」
エタンの問いかけに、せっかくなので、この場で説明を受けることにした。
それによれば……
収納箱とは。
魔道具で作った箱にしまった物を、小さく収納できるという優れものだった。
箱棒のサイズと箱の大きさは連動していて。
箱棒で床にちょんとワンクリックで、魔道具回路を配した楕円形枠と、そのに内包された長方形枠が現れ。
その長方形枠に荷物を置いても良し。
はたまたその回路をダブルクリックすると、箱が現れるので、その中にしまっても良し。
枠に直置きした場合は、それを内包するかたちで箱が現れる優れもの。
重いものに対してとても便利な仕様だ。
中にしまい終わって、その箱を小さくしたい時は、箱の横の回路を長押し。
そしたら蓋がされ、最初見たあのサイズになるそうな。
その時に地面の2種の枠も消える。
回路と同じ色の箱棒を使わないと作動しない。
箱に中身を入れた時、高さは1.5倍までははみ出ても許されるらしい。
ダメな時は蓋がされず、小さくもならない。
なので箱をサイズアップするか、減らせる場合は減らすか、だそうな。
高さのルールはざっくりしてて親切な使い勝手だなあ~。
下枠からはみ出るのはNGと。
荷物が最初からある場所にも枠を展開できるけど、ちょうどの場所に展開するのは難しく。
荷物を枠内ぴったりに移動させる、大概そのひと手間がいるそうな。
私は聞きながら、メモを取った。
あとでノートに清書しとこうっと。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【しまう時】
床ちょん…床に2種枠&魔道具回路
枠回路ダブルクリック…箱現れる
箱回路長押し…蓋され縮む
*高さ1.5倍までOK
*下枠はみ出しNG
*物の上からも展開OK
【出す時】
箱回路長押し…蓋が消え大きくなる
(大きくなる数秒の間に自分は楕円形の枠外に逃げること。そのままだと、上に出現はしないが、ずいっと押しやられ、サイズによっては吹っ飛ばされる)
箱回路ダブルクリック…箱消える
*箱回路は色違いの箱棒だと作動しない
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【次回予告 第69話 帽子選び】
パンチが強すぎるというか、どろくさいというか。
垢抜けずエグみがエグい。
ウチの店の金属フィルターで淹れたやつもコーヒーオイルがそのまま出て、沈殿物もあるけど、スッキリ美味しい。
別次元のものだ。
あ! トルコで飲んだコーヒーにちょっぴし似てるかも?!
カップひっくり返して占いとかやっちゃうやつ。
それはさておき、結果。
魔力を流したら「豆自体の味」はもちろん変わる。
でも「抽出方法による味」は、ピカらせても変えられなかった。
つまり素材の味は変えられるけど、料理方法、技術力の差、壁は越えられないってこと。
さっきのマフィンで言えば。
世のママンたちが作ったマフィンは、『私がグルテン出さずに作った、ふんわりお口で解けるマフィン』には、成り得ないってこと。
つまり、私以外の適当な誰かに下請けさせて、大量生産ボロ儲け、この手口は無しってわけ。
まあ、別にしようとは思ってないけど。
いつかこっちでお店を始めた時に、ちょっとサボれるかもって思ったのはナイショだけど。
ふぅぅい。
目標の実験を全て終えて、かなり満腹になってしまった。
腹ごなしも兼ねて早速、お散歩に出ようとなって。
仕上げに帽子選びです。
ソファーへ私とエタンは移動する。
ローテーブル上には、ティッシュの箱よりちょい長さが短い程度の、白いプラスチックのような箱が置いてあった。
クレールがキッチン後ろの収納から、黒い皮の取っ手のついたケースを出してこっちに持ってきた。
楽器とか料理人の包丁ケースのような、そんな感じ
ぱかっと蓋を開けると、小さく細いものから、
太く大きなものへと順にずらり。
少しキラキラする、ガラスのペンのようなものが並んでいた。
よく見るとその先っちょは、色鉛筆みたくカラフルだった。
小さい順から。
赤・橙・黄緑・緑・水色・藍・紫。
虹の配色みたいだ。
黄色は無くてこっちの世界は黄緑なの? と聞くと、黄色は見えづらいから、この道具ではわざと黄緑にしてるんだ、と教えてくれた。
きちんと整列した感じが、お父さんが持っていた、精密ドライバーセット思い起こさせた。
まあ勿論、もっとうんと小さかったけど。
大きいやつ3本は長さが違うけど、太さは同じように見える。
そして今回、下から3番目。
黄緑色先の、ペンと同じくらいのサイズのものをクレールが取り出した。
机の上に置いてある白い箱の横っちょには。
あの曼荼羅みたいな、黄緑色の回路があった。
私の小さな手で、親指と人差し指で作る丸と同じくらいのサイズの。
クレールは箱を床に下ろし、しゃがんで回路部分をガラス棒でちょんっと、ワンクリックする。
そしてそこから、ちょっと離れた。
すると、目の前の箱の周りに、黄緑色の楕円形の線が現れ……
ええええええ! なんとぉお!
むくむくっと、数秒後にその箱は大きくなった。
そして楕円の光の線は消えていた。
衣装ケース並みの、収納力ある結構な大きさだ。
びっくりしてる私を見て、クレールはクスッと笑って。
「蛍様も驚いてたそうからね。どお? びっくりした? 収納箱の魔道具だよ。こっちの透明な棒は『箱棒』って名前で……。
あ、僕が名付けたんじゃないからね! 昔からだから。開発者の方がつけたんだよ、ダジャレっぽい名で市井に馴染むようにってね」
「コニー。こん中から帽子選んですぐ外散歩に行くか? それとも収納箱の説明聞いてからにすっか?」
エタンの問いかけに、せっかくなので、この場で説明を受けることにした。
それによれば……
収納箱とは。
魔道具で作った箱にしまった物を、小さく収納できるという優れものだった。
箱棒のサイズと箱の大きさは連動していて。
箱棒で床にちょんとワンクリックで、魔道具回路を配した楕円形枠と、そのに内包された長方形枠が現れ。
その長方形枠に荷物を置いても良し。
はたまたその回路をダブルクリックすると、箱が現れるので、その中にしまっても良し。
枠に直置きした場合は、それを内包するかたちで箱が現れる優れもの。
重いものに対してとても便利な仕様だ。
中にしまい終わって、その箱を小さくしたい時は、箱の横の回路を長押し。
そしたら蓋がされ、最初見たあのサイズになるそうな。
その時に地面の2種の枠も消える。
回路と同じ色の箱棒を使わないと作動しない。
箱に中身を入れた時、高さは1.5倍までははみ出ても許されるらしい。
ダメな時は蓋がされず、小さくもならない。
なので箱をサイズアップするか、減らせる場合は減らすか、だそうな。
高さのルールはざっくりしてて親切な使い勝手だなあ~。
下枠からはみ出るのはNGと。
荷物が最初からある場所にも枠を展開できるけど、ちょうどの場所に展開するのは難しく。
荷物を枠内ぴったりに移動させる、大概そのひと手間がいるそうな。
私は聞きながら、メモを取った。
あとでノートに清書しとこうっと。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【しまう時】
床ちょん…床に2種枠&魔道具回路
枠回路ダブルクリック…箱現れる
箱回路長押し…蓋され縮む
*高さ1.5倍までOK
*下枠はみ出しNG
*物の上からも展開OK
【出す時】
箱回路長押し…蓋が消え大きくなる
(大きくなる数秒の間に自分は楕円形の枠外に逃げること。そのままだと、上に出現はしないが、ずいっと押しやられ、サイズによっては吹っ飛ばされる)
箱回路ダブルクリック…箱消える
*箱回路は色違いの箱棒だと作動しない
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【次回予告 第69話 帽子選び】
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