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ヌルッとスタート編
第32話 支援指導係
しおりを挟む「ちょっと吹っ切れた顔つきになったな、コニー。俺らも少し安心するぜ。
そんじゃあ先に進んでもいいか? これでとりあえず風呂前は終了だから。
保護制度の説明だ。
この不慣れな世界に慣れるための世話役みたいなもんだ。」
ローテーブルの下から本の様なものを取り出した。
「まるいち。
おヌル様を保護次第、速やかに虹の院に報告を上げねばならない。
まるにぃ。
おヌル様との対話並びに聴き取り調査報告を上げる。
それを元に迅速に第1回選定会議が開かれる。
幾つかの支援指導係の組織候補が組まれる。
その仮組織長達がおヌル様を迎えに保護している森の拠点に来る。
まるさん。
おヌル様と親睦を図りつつ王宮に移動する。
移動の時や手段は現地の判断に委ねる。
おヌル様の意向を最大限に踏まえて、正式な支援指導組織を見据え、候補同士で協議を重ねる事。
まるよん。
最終的におヌル様本人に、相性や方向性、具体的指名なども含めて、支援指導における組織長•組織編成の決定もしくは委任していただく」
ざっくりマニュアルをかいつまんで読むとこんなとこだ、とエタンはローテーブルの下にマニュアルと呼ぶ本みたいなのを戻した。
「すんげー簡単に言うと、おヌル様見っけたら虹の院にすぐ報告して。そしたらめぼしいやつお迎えに何人か送るから、おヌル様は王宮に一度顔出して欲しいと。
その際に気が合うやつがいたら、当面のお世話係や使いっ走りとして好きにしていいよってことで、おヌル様本人に選ぶのをお任せする、ちゅーわけだ。ちなみに要らねーって拒否権もある」
一度話しを切り、エタンとクレールが顔を互いに見合わした。
「実は今回はな。
コニーは着いてすぐの風呂でぶっ倒れて寝ちまったから、俺たちコニーのこと、誰にもまだ言ってねえんだ。
おヌル様を一方的にどうこうすることは禁じられていてるが、本部よりワイワイ何人もで押しかけられたり、本人そっちのけでいろんな人間の思惑が暴走すんのもウゼェからな。
起きたらコニーと相談してから連絡しようってクレールと2人示し合わせてな」
え? そうなの??
「私は報告対象で、そんで今は秘匿されてるってこと?」
「おう、コニーは理解が速くて賢いな!
本来、コニーは誰からでも世話やかれ放題の権利を持ってんだぜ。
遠慮なんかせずとも大手を振って、虹の院職員の俺らに堂々と世話焼かれとけって話だ」
「僕が1番誤解して欲しくないのはね、君が保護対象だから、僕らがこうして関わってるんではないってこと。
保護に真っ先駆けつけたのは僕らにとって任務だった。
でもおヌル様が君だったから……。コニーだったから、僕はこうして一緒に居たいと思ったし、守るっていうか力になりたいと願っているんだよ」
「……でも出逢ったばっかで、なんで……
でもでも嬉しいっていうか、光栄っていうか……」
そんな私のポンコツ対応につられるかのように、いや、あの、と、へどもどするクレール。
エタンがクレールの頭に軽くチョップをきめた。
「何だかお前とは気が合いそうだなって、会ってすぐ閃めくことってたまにあんだろ、そんな感じだ」
「ああ、そっか。うん。
私もすぐになぜか2人に打ち解けたしね。うん。えへへへ、そっか。素直に嬉しいや」
「それでね、コニー。
僕ら2人、コニーの支援指導係になりたいんだ。そしたらこのまま行動を共にすることが可能になる。そして階級的にも僕は組織長になれる立場にある。
僕は組織長に立候補するよ。
だからコニーが僕を選んでくれると嬉しい。今すぐじゃなくて他と見比べたあとででもいいから」
「クレール……。
んもう!! 何言ってんの。他と比べなくったって、合計半日ぐらいしか喋った事なくったって、クレールがいいに決まってるよ。
エタンだってさっき出会ってすぐ閃めくって言ってたじゃん。それだよそれ。
是非とも私のお世話係はクレールエタン組にお任せしたい!
クレール組織長が面倒じゃ無ければ……」
「ありがとう!!」
ソファーの長椅子から立ち上がり、ローテーブルを跨んばかりの勢いのクレールちょいビビる。
なのでローテーブルを回って私はクレールの前に立ち、
「よろしくね」
握手しようと手を差し出した。
ぐい
と瞬間
その手を引き込まれてクレールに抱きつかれた。
「ありがとうコニー! これからもずっと一緒に居ようね」
上からふうわりと囁くように甘い声が降ってきた。
ひやぁあああ~
こんな綺麗な男の人との外人ハグには免疫が無いので、て、照れる!
後ろからもギュッ
「何だよつまんねーな。俺も支援指導係よろしくね挨拶の仲間に入れろよ」
エタンが私を内包しつつクレールに抱きついてきた。
ぎょえっ!
「ぐ、ぐるしい~」
肩をジタジタして2人の力が緩まったの隙に、シュッとしゃがみ込んで下から脱出した。
ぐぬぬ、最後に変な汗かいちゃったよ。
「一風呂浴びてくっから! お先に!」
小走りで廊下方面へ向かう。
「コニー! 台詞が漢らしくていいな!」
「籠に着替えとタオル用意してあるから!」
背中にそれぞれ彼ららしい掛け声をもらいつつ、振り向かずに手だけ振って私は風呂場に向かった。
--------------------
長きに渡った説明回。お清覧ありがとうございます、お疲れ様でした。
ここまで読んでくださって感謝しかありません。
次回はコニーちゃんのお風呂です。なぜか前回のお風呂シーン、前後の話に比べて読者が少なかったのです。エチではなく癒し系が詐欺だと思われたのでしょうか? はい次回も癒し系です。
またお越しをお待ちしてます(๑˃̵ᴗ˂̵)
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