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ヌルッとスタート編

第19話 シチューにリメイク (前編)

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「ご馳走様でした!」
自分で作って1人で食べる時ならいざ知らず、作ってもらってみんなで食べたから、久しぶりに自然とその言葉が口をついて出た。

「そのかけ声も蛍様から習ったよ。僕も今度から一緒に言おうかな」

「だな」

 異界組も気に入ってくれたのかな? 確かに結束感が出て楽しいかも。

「うん、一緒に食べる時は気が向いたら言ってみて。仲間って感じ出るよね。
さてと、お鍋チェックさせて~」

 クレールさんが先に立って蓋を開け、夜ご飯の分もありそうだと告げる。
 ひょいと私も覗き込む。

「うん、充分あるからシチューに出来るよ。ねえクレールさん。バターと小麦粉と牛乳って、持ってたら使いたいんだけど。」

「もちろん。特に乳製品は充実してるよ。」

 なんと……思ってたより嬉しい回答きた。

 例えばどんなのと聞いたら、生クリームにいろんなチーズに、ヨーグルト、とな。

 やった! これは楽しみが広がるね。私も乳製品ラブだから。

「おお~見たい! 味見もしたい。でもまずはベシャメルソース作りまっすー。
それとキノコ類があったら入れてみたいな。昼間と味の変化がつくよ。」

「食ったばっかだけど夜飯楽しみになってきたぜ。そん時に酒も飲むか。」
とエタンさん。

 良いアイデア、飲み会楽しそうだ。
 私も賛成。

「そうだな、その方が互いに気兼ねなく話せる事もあるかもしれないしな。あれ? エタン午後の仕事は?」

「コニーが起きたってお前から連絡入ったから、半休届出してきた。だから無い。」

「え?! そうなの? 私なら大丈夫だよ。あああ心配かけてホントごめんなさい。
でも……お休み取ってくれてありがとう。せっかくだから最初の話し合いにエタンさんが同席してくれたら心強いよ。
クレールさんもお仕事大丈夫? なんか私、当然のようにクレールさんは今日そばに居てくれるって勝手に思い込んでた……。
図々しくてごめんなさい」

 そうだよね、普通仕事あるじゃん。

 私にとって異界に招かれるなんてとんでもなく特別なことだけど、彼らから見れば、100年ごとの伝説の瞬間にたまたま居合わせて、気を利かせて駆けつけおヌル様を救護して下さった。
 100%好意でしかないじゃん。
 ちょっと考えれば分かることだ。

 はあ……。
 2人とも私に付き合わせて、振り回してマジでごめんなさい。

「うん。僕は平気だよ。むしろそんなふうに僕がそばにいることを当たり前のようにとらえてくれってるって、嬉しさしかないよ」

 私がお荷物なことを気に病まないように、なんて気遣いのある対応なんだろう。
 それならここはしつこく謝るより、彼らの好意を素直に受けて、感謝を目一杯表現するべきだな!

「人とも時間をいてくれて本当にありがとう。今日はお付き合いよろしくお願いします。
じゃあ私、もし良かったらあとでなんか酒のツマミでも作ろっかな~。材料全部クレールさんのであつかましい提案だけど、へへ」

「おお、ありがたいよな、クレール。
なら、とりあえず食後のコーヒー飲みながら休憩しつつ話でもするか?」
エタンさんの提案にうなづくクレールさん。

 コーヒーがあるのか。
 食後の一杯最高じゃん、ううう心惹かれる。
 しかしながら先にやるべきことはやっておきたい。

「迷惑じゃなければ、ゆっくりする前にちょっと15分だけシチューのことしたいな。ダメ? もちろんお2人はコーヒーしてて。コンロは1つしか使わないから。でもクレールさんには、飲みながらいろいろ出してもらったりするけど。ごめんね」

 あ、そもそも時間の概念は一緒なのか?

「いや僕はコニーとあとでにするよ。
へー、15分程度でいいの? 随分と早いんだね。作るの見ててもいい?」

「どーぞどーぞ」

 ツッコミが入らないから、時間の単位は一緒なのかも。

「じゃあ俺もあとにすっかな。俺はこっちで眺めてるだけだが」

「付き合わせてごめんね。ちゃっちゃと終わらすからね」

 
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