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ヌルッとスタート編
第14話 目覚め
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ん…久しぶりによく寝たような……。
うっすら目を開けると眩しい太陽の日差しが満ち溢れていて……
あれ? いつもちょっと薄暗い私の部屋では??
…………
一面に広がるガラス窓の向こう、雄大な森と白く輝く湖を背景に。
机に向かって何かをしている男性の後ろ姿が浮かび上がる。
「あっ……、ここ……」
その声にピクリと反応した男性は、振りってその場に立ち上がった。
半逆光を纏った輪郭線が、光の粉を乱反射させ、その流れるように美しい杏色の長い髪を際立たせる。
目が合った瞬間
その美しい男性の緑の瞳に、私の時間が止まる魔法をかけられた。
まるで
子供の頃から大好きで何度も何度眺めた。
草花の妖精たちが描かれた私のお気に入り。
あのイギリスの画集の一頁のよう……
「〈Fée de clarté〉……」
思わず口から声がこぼれる。
「コニー!」
椅子を倒さんばかりの勢いで、微睡を打ち破ってクレールさんが私の枕元に駆けつけ顔を寄せる。
はうっ!
朝露をたたえたスペアミントの瞳
「ここは地球とは異なる場所、リンゼル島の僕の家、寝台の中だよ。
いろいろ覚えてるかい? 具合はどう?」
「私……お風呂に入ってて、それで……」
上半身を起こしハッと自分のなりを確認すると、大きいガウンを纏っていて、その下は素肌にシーツがぐるぐると巻き付けられていた。
少しはだけた襟元を深く合わせ直す。
「大丈夫!! 最初っから最後まで2人とも見てないから!!」
クレールさんはこちらが聞くまでもなく、流れる様に説明してくれた。
声をかけても反応が全くがないので、ドアを開けて確認したところ、湯船で意識を失ってる姿を発見したこと。
泡と乳白色で肌は見えてないこと。
お湯の中でシーツに包んで、水浸しのシーツに直接、乾燥の魔道具回路を取り付け乾かしたこと。
ベッドに寝かせ、起こしても起きないので、シーツから腕を引き抜いて、ガウンに袖を通させたこと。
昼を過ぎてその夜も、そのまた翌日も丸一日中寝ていて、今は3日目のもうすぐ昼の11時とのこと。
「そ、それは何とも大変ご迷惑をおかけ」
「コニー! そんなの全然迷惑じゃないから! とにかく意識が戻らず気が気でなくて。このまま身体だけ置いて心は地球に帰っちゃって、もう二度と目醒めなかったらどうしようかと思った。
今日目が覚めて本当に良かった……」
ぎゅっと手を握られた。
「う、うん。心配かけてごめんね、ありがとう」
正直、目が覚めてもまだここにいることに、ものすごく落胆したけれど、クレールさんの言うような心身離脱状態での帰還だったら、マジで恐ろしすぎる。
ぎゅっと手を握り返してお礼を言った。
「まずはフラつかずに立ったりできるか確認しようか? 起きられる?」
手を握ったまま引き起こす手伝いをしてくれようとしたけど
「わっ! 魚の様に巻かれてるから脚があんまり開かないよ、ちょっと待って。」
「ああ、そうか。ごめん。着替えをここに持って来てるからそっちを先にすると良いかも。
僕は下に行ってるから、着替え終わったら声かけて。体調の万全を確認するまでは階段心配だから一人で降りないでよ」
クレールさんは籠をこっちに持って来てくれて足元に置き、中身だけベッドの上に乗せてくれた。
「ごめん、これ僕のだけど……。あり合わせで申し訳ない。チュニック以外は新品だから。コニーの元からの服は色々あって、えっと、まだ整ってなくて……」
「全然気にしないで。逆に新品とか用意してもらっちゃって、もーホントありがたいです! ありがとう!」
「大丈夫そうなら下行ってるね。トイレや洗面所も1階のあそこしか無くてごめん。飲み物とかも用意しとくから。
じゃあ着替え終わったら声かけてね、2階に迎えに来るから」
「はい! よろしくお願いします。じゃあのちほど」
螺旋階段を降りていくクレールさんをベットから見送り、姿が見えなくなると
「はぁ~~」
溜息が溢れた。
帰れないのか、このまま、これからどうしたらいいのか。
不安しかない。
「はぁ……」
ついまた溢れる。
「うっしゃ! さっさと着替えて下行こ!」
小声で気合を入れてほっぺを両手でピシャリと軽く一発。
ガウンを脱いで、シーツの巻き巻きから一苦労して脱皮し、すちゃりとベッドから降り立ったら。
ガラス張りの明るい日差しの中で素っ裸あーんどネックレス一丁。
ううう落ち着かん!
もう一回ガウンをとりあえず羽織って、借りた洋服をば吟味。
スッキリラインの白コットンのV襟Tシャツみたいなの、これは肌着かな。
ド派手なピンクの黒水玉スパッツ、と思いきや、肉球柄、わーお。
隠れ猫ちゃんも発見。
これマジでクレールさんの?
ふーん、まいっか。
厚手のクリーム色のチュニック、首元で2つバツ印になるよう編んである紐が、クレールさんの瞳と同じスペアミントグリーン。
これ誰かからのプレゼントじゃないかな?チラッと頭をよぎる。
ふーん、まいっか。
パンツとブラは無しと。
まあ、あり合わせでって言ってたのに女物の新品持ってたらどん引くわ。
いまもしくは元の恋人のをものを貸し出されても、生々しさにどん引くけど。
なるほど。
ブラがなくても2枚重ね&厚手チュニックで透ける心配もし。
おまけにたわわじゃないから垂れる心配もなし。
チュニックは膝下ワンピースみたくなった。
ダボっとして可愛いかも。
袖を折って捲り、紐を蝶々結びして。
おパンツ代わりのスパッツはふくらはぎまでくる。
クレールさんが履くと膝丈かな?
伸びる素材のせいかウエストはゆるいけど落っこちちゃうまでの恐怖はない。
クレールさんならバレエダンサーばりにフィットしてすごそうだけど、私はそこまで伸びピタじゃないから丁度良い履き心地。
仕上げは分厚いぶかぶか靴下。
いったい私の靴はどこだろう?
ソファーで起きた時すでに履いてなかったな。
この家は土足禁止かもしれない。
完成~。
あり合わせでって言ってたけど、なかなか優れたチョイスですよ。
男の人なのにいろいろ考えて選んでくれたんだろうな、ありがとうございます。
そういえば私のヘアゴムどこいったかな?
本物そっくりのチョコチップクッキーが気に入ってるんだけど。
シャンプー&リンスが良かったせいか、いつものジャニス・ジョプリンばりのバサついたもつれっ毛じゃなくて、しっとりふわふわのくるりん天パになってて、いい感じにウェーブが出てる。
気合い入れて、
下行くか。
頑張れ私!
自分で降りれそうだけど約束したから一声かけてっと。
「着替え終わりました~。お迎えよろしくお願いします!」
--------------------
「〈Fée de clartéフェ・ドゥ・クラルテ〉」
ってどういう意味?
ネット検索されるもよしですが、44話にて意味に触れられます。
ここは一つ☆を入れて一緒に次に進もうではありませんか(๑˃̵ᴗ˂̵) いつも読んでくださってありがとうございます。
うっすら目を開けると眩しい太陽の日差しが満ち溢れていて……
あれ? いつもちょっと薄暗い私の部屋では??
…………
一面に広がるガラス窓の向こう、雄大な森と白く輝く湖を背景に。
机に向かって何かをしている男性の後ろ姿が浮かび上がる。
「あっ……、ここ……」
その声にピクリと反応した男性は、振りってその場に立ち上がった。
半逆光を纏った輪郭線が、光の粉を乱反射させ、その流れるように美しい杏色の長い髪を際立たせる。
目が合った瞬間
その美しい男性の緑の瞳に、私の時間が止まる魔法をかけられた。
まるで
子供の頃から大好きで何度も何度眺めた。
草花の妖精たちが描かれた私のお気に入り。
あのイギリスの画集の一頁のよう……
「〈Fée de clarté〉……」
思わず口から声がこぼれる。
「コニー!」
椅子を倒さんばかりの勢いで、微睡を打ち破ってクレールさんが私の枕元に駆けつけ顔を寄せる。
はうっ!
朝露をたたえたスペアミントの瞳
「ここは地球とは異なる場所、リンゼル島の僕の家、寝台の中だよ。
いろいろ覚えてるかい? 具合はどう?」
「私……お風呂に入ってて、それで……」
上半身を起こしハッと自分のなりを確認すると、大きいガウンを纏っていて、その下は素肌にシーツがぐるぐると巻き付けられていた。
少しはだけた襟元を深く合わせ直す。
「大丈夫!! 最初っから最後まで2人とも見てないから!!」
クレールさんはこちらが聞くまでもなく、流れる様に説明してくれた。
声をかけても反応が全くがないので、ドアを開けて確認したところ、湯船で意識を失ってる姿を発見したこと。
泡と乳白色で肌は見えてないこと。
お湯の中でシーツに包んで、水浸しのシーツに直接、乾燥の魔道具回路を取り付け乾かしたこと。
ベッドに寝かせ、起こしても起きないので、シーツから腕を引き抜いて、ガウンに袖を通させたこと。
昼を過ぎてその夜も、そのまた翌日も丸一日中寝ていて、今は3日目のもうすぐ昼の11時とのこと。
「そ、それは何とも大変ご迷惑をおかけ」
「コニー! そんなの全然迷惑じゃないから! とにかく意識が戻らず気が気でなくて。このまま身体だけ置いて心は地球に帰っちゃって、もう二度と目醒めなかったらどうしようかと思った。
今日目が覚めて本当に良かった……」
ぎゅっと手を握られた。
「う、うん。心配かけてごめんね、ありがとう」
正直、目が覚めてもまだここにいることに、ものすごく落胆したけれど、クレールさんの言うような心身離脱状態での帰還だったら、マジで恐ろしすぎる。
ぎゅっと手を握り返してお礼を言った。
「まずはフラつかずに立ったりできるか確認しようか? 起きられる?」
手を握ったまま引き起こす手伝いをしてくれようとしたけど
「わっ! 魚の様に巻かれてるから脚があんまり開かないよ、ちょっと待って。」
「ああ、そうか。ごめん。着替えをここに持って来てるからそっちを先にすると良いかも。
僕は下に行ってるから、着替え終わったら声かけて。体調の万全を確認するまでは階段心配だから一人で降りないでよ」
クレールさんは籠をこっちに持って来てくれて足元に置き、中身だけベッドの上に乗せてくれた。
「ごめん、これ僕のだけど……。あり合わせで申し訳ない。チュニック以外は新品だから。コニーの元からの服は色々あって、えっと、まだ整ってなくて……」
「全然気にしないで。逆に新品とか用意してもらっちゃって、もーホントありがたいです! ありがとう!」
「大丈夫そうなら下行ってるね。トイレや洗面所も1階のあそこしか無くてごめん。飲み物とかも用意しとくから。
じゃあ着替え終わったら声かけてね、2階に迎えに来るから」
「はい! よろしくお願いします。じゃあのちほど」
螺旋階段を降りていくクレールさんをベットから見送り、姿が見えなくなると
「はぁ~~」
溜息が溢れた。
帰れないのか、このまま、これからどうしたらいいのか。
不安しかない。
「はぁ……」
ついまた溢れる。
「うっしゃ! さっさと着替えて下行こ!」
小声で気合を入れてほっぺを両手でピシャリと軽く一発。
ガウンを脱いで、シーツの巻き巻きから一苦労して脱皮し、すちゃりとベッドから降り立ったら。
ガラス張りの明るい日差しの中で素っ裸あーんどネックレス一丁。
ううう落ち着かん!
もう一回ガウンをとりあえず羽織って、借りた洋服をば吟味。
スッキリラインの白コットンのV襟Tシャツみたいなの、これは肌着かな。
ド派手なピンクの黒水玉スパッツ、と思いきや、肉球柄、わーお。
隠れ猫ちゃんも発見。
これマジでクレールさんの?
ふーん、まいっか。
厚手のクリーム色のチュニック、首元で2つバツ印になるよう編んである紐が、クレールさんの瞳と同じスペアミントグリーン。
これ誰かからのプレゼントじゃないかな?チラッと頭をよぎる。
ふーん、まいっか。
パンツとブラは無しと。
まあ、あり合わせでって言ってたのに女物の新品持ってたらどん引くわ。
いまもしくは元の恋人のをものを貸し出されても、生々しさにどん引くけど。
なるほど。
ブラがなくても2枚重ね&厚手チュニックで透ける心配もし。
おまけにたわわじゃないから垂れる心配もなし。
チュニックは膝下ワンピースみたくなった。
ダボっとして可愛いかも。
袖を折って捲り、紐を蝶々結びして。
おパンツ代わりのスパッツはふくらはぎまでくる。
クレールさんが履くと膝丈かな?
伸びる素材のせいかウエストはゆるいけど落っこちちゃうまでの恐怖はない。
クレールさんならバレエダンサーばりにフィットしてすごそうだけど、私はそこまで伸びピタじゃないから丁度良い履き心地。
仕上げは分厚いぶかぶか靴下。
いったい私の靴はどこだろう?
ソファーで起きた時すでに履いてなかったな。
この家は土足禁止かもしれない。
完成~。
あり合わせでって言ってたけど、なかなか優れたチョイスですよ。
男の人なのにいろいろ考えて選んでくれたんだろうな、ありがとうございます。
そういえば私のヘアゴムどこいったかな?
本物そっくりのチョコチップクッキーが気に入ってるんだけど。
シャンプー&リンスが良かったせいか、いつものジャニス・ジョプリンばりのバサついたもつれっ毛じゃなくて、しっとりふわふわのくるりん天パになってて、いい感じにウェーブが出てる。
気合い入れて、
下行くか。
頑張れ私!
自分で降りれそうだけど約束したから一声かけてっと。
「着替え終わりました~。お迎えよろしくお願いします!」
--------------------
「〈Fée de clartéフェ・ドゥ・クラルテ〉」
ってどういう意味?
ネット検索されるもよしですが、44話にて意味に触れられます。
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