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【第四章】ドラルスの街
【第十二話】道のり ④
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中立都市『ドラルス』ーー。
恭司の目的地であり、元々のスパイルの目的地でもある街ーー。
中立都市の名の通り、そこは三大国のどこにも属していない街で、多様の人種と文化が全国ごった返しになっている街だった。
当然、恭司やスパイルのようなお尋ね者や、何かしら事情のある人間ばかりが集まってくるわけだが、治安は意外と悪くないらしい。
そもそも、三大国の国自体が戦争一色の国ばかりなため、荒くれ者や実力者こそ、三大国の中にいた方が居心地がいいのだ。
ディオラスなどはもはや言うまでもないが、ミッドカオスにもそういう風土はある。
そのため、
ドラルスには法を犯した人間だけでなく、そういう風土に馴染めない人間も集まってくる上、中にはかつて三大国に敗れた昔の小国の生き残りなんかも多分に入り混じっていた。
だから、
街とはいえそれなりに人口は多いし、穏健派の知識人も集まってくる上、行商するにも都合のいい立地で治安もいいため、都市自体はそれなりに栄えている。
そして、
街中には多種多様の人種も多くいるため、外国人が入ってきても違和感はまったく無い。
2人がそこを目指すのも、基本的にはそういった理由からだった。
「ちなみに、ドラルスに行ったらまずは何をするんだ?」
道中、ふと、スパイルは尋ねた。
当然、やるべきことは沢山ある。
武器の補充に、情報収集ーー。
そして何より、
「体の回復だな」
恭司にしろスパイルにしろ、先の戦いで激しく消耗している。
万全の体を手に入れることは今の必須事項だろう。
当然、医者も必要になる。
しかし、
そこでスパイルから当然の疑問が上がった。
「アテはあるのか?」
「………………」
結論から言うと、無い。
とりあえずそこに行くしか方法がないから向かうだけなのだ。
勿論、
行った後にどうにかなる秘策もない。
スパイルはそんな様子の恭司にやれやれと肩を竦めると、言葉を紡ぐ。
「ドラルスにはな、とってもいい情報があるんだ」
「へぇー……」
恭司は半信半疑に言葉を聞いた。
恭司とスパイルは状況は、言わば絶望的なのだ。
2人揃って満身創痍な上、2人揃って凶悪な殺人犯として指名手配されている。
そんな2人が、人目を掻い潜って悠長に体を回復させなければならないときているのだ。
それは口で言うほど簡単なことじゃない。
指名手配されてる人間なんて普通は誰も相手にしないし、ミッドカオスとディオラスという二大国から狙われる2人は、どこに行こうと争いの火種だ。
手配書だって回っているだろう。
普通は顔を見ただけで入店を拒否する。
治療なんて以ての外だ。
しかし、
スパイルはことの他、自信満々に言い放った。
「ドラルスにはな、『魔法医士』っていうすげぇ医者がいるみたいなんだ」
「……は?」
恭司の間の抜けた返しだけが後に残った。
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恭司の目的地であり、元々のスパイルの目的地でもある街ーー。
中立都市の名の通り、そこは三大国のどこにも属していない街で、多様の人種と文化が全国ごった返しになっている街だった。
当然、恭司やスパイルのようなお尋ね者や、何かしら事情のある人間ばかりが集まってくるわけだが、治安は意外と悪くないらしい。
そもそも、三大国の国自体が戦争一色の国ばかりなため、荒くれ者や実力者こそ、三大国の中にいた方が居心地がいいのだ。
ディオラスなどはもはや言うまでもないが、ミッドカオスにもそういう風土はある。
そのため、
ドラルスには法を犯した人間だけでなく、そういう風土に馴染めない人間も集まってくる上、中にはかつて三大国に敗れた昔の小国の生き残りなんかも多分に入り混じっていた。
だから、
街とはいえそれなりに人口は多いし、穏健派の知識人も集まってくる上、行商するにも都合のいい立地で治安もいいため、都市自体はそれなりに栄えている。
そして、
街中には多種多様の人種も多くいるため、外国人が入ってきても違和感はまったく無い。
2人がそこを目指すのも、基本的にはそういった理由からだった。
「ちなみに、ドラルスに行ったらまずは何をするんだ?」
道中、ふと、スパイルは尋ねた。
当然、やるべきことは沢山ある。
武器の補充に、情報収集ーー。
そして何より、
「体の回復だな」
恭司にしろスパイルにしろ、先の戦いで激しく消耗している。
万全の体を手に入れることは今の必須事項だろう。
当然、医者も必要になる。
しかし、
そこでスパイルから当然の疑問が上がった。
「アテはあるのか?」
「………………」
結論から言うと、無い。
とりあえずそこに行くしか方法がないから向かうだけなのだ。
勿論、
行った後にどうにかなる秘策もない。
スパイルはそんな様子の恭司にやれやれと肩を竦めると、言葉を紡ぐ。
「ドラルスにはな、とってもいい情報があるんだ」
「へぇー……」
恭司は半信半疑に言葉を聞いた。
恭司とスパイルは状況は、言わば絶望的なのだ。
2人揃って満身創痍な上、2人揃って凶悪な殺人犯として指名手配されている。
そんな2人が、人目を掻い潜って悠長に体を回復させなければならないときているのだ。
それは口で言うほど簡単なことじゃない。
指名手配されてる人間なんて普通は誰も相手にしないし、ミッドカオスとディオラスという二大国から狙われる2人は、どこに行こうと争いの火種だ。
手配書だって回っているだろう。
普通は顔を見ただけで入店を拒否する。
治療なんて以ての外だ。
しかし、
スパイルはことの他、自信満々に言い放った。
「ドラルスにはな、『魔法医士』っていうすげぇ医者がいるみたいなんだ」
「……は?」
恭司の間の抜けた返しだけが後に残った。
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