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【第三章】ディオラス

【第十一話】ティアル・サーライト ⑩

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「がはァァァァァアアアアアアアアアアア!!」


口から血が飛び出す。

体が数々の民家を突き破り、悲鳴を上げる。

意識がもう消失する寸前だ。

辛くて苦しくて眩暈と吐き気がする。

だがその時、

跳ね飛ばされている最中に上から気配を感じた。

それが何かなんて分かっている。

スパイルは腕を交差してガードすると、その上にティアルの拳がのしかかった。

後ろに跳んでいたスパイルの体はそこで下向きに軌道修正させられ、体が地面に減り込んでいく。

上からかかる圧力で背中にどんどんダメージを負っていき、それが止まる頃には、辺りは衝撃でクレーター状に吹き飛ばされていた。


「アアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


痛くて泣きそうになる。

苦しくて意識を投げ出しそうになる。

しかし、

スパイルは口を大きく開けると、そこから高火力のブレスを吐き出した。


「何ィ!?」


ティアルもそれには予想外だったのか、初めて体をのけぞらせた。

スパイルはその隙に立ち上がり、拳を振りかぶって、ティアルの顔面に叩き付ける。

そして、

今度はスパイルが、ティアルの体を吹き飛ばした。


「く、くそがッ!!よくも……ッ!!」

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


喚くティアルを他所に、スパイルは軋む体を奮い立たせ、再びティアルに向けて口を開いた。

もうここしかない。

体中が悲鳴を上げ、意識が飛びそうで仕方がないが、チャンスはもう今しかないのだ。

スパイルは放つ。

追撃の高火力ブレスだ。


「て、テメェ!!」


ダァァァァアアアアアアアアアアアアアアアァン!!


着弾した。

煙が上がる中、スパイルは息を吸い込んで、もう一度放つ。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾ーー……。


いくつも放った。

何度もやった。

息が荒れるくらい、何十発と必殺技を叩き込み続けた。

炎の槍とは違う。

口から出すブレスはその威力も火力も桁違いだ。

普通は一発でも喰らえば死ぬ。

二発も当たれば骨すら残らない。

だが、

スパイルには分かっていた。

それでも尚、

ティアルはまだ、生きている。


「スパァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイルッッッ!!」


煙の中から聞こえた声。

もうこれ以上のブレスは危険だった。

普通は一発の所を何十発と放ったのだ。

これ以上撃てば命にすら関わってくる。

だから、


「ここからは肉弾戦だッ!!」


瞬時に煙の中から飛び出してきたティアル。

スパイルは両手でティアルの両手をそれぞれ掴むと、押し合って衝撃が走り、地面が捲り上がった。

ティアルの体にはヒビが入っている。

顔は怒りに染まり上がり、ブレスは一応効いていたようだ。

スパイルも一度殴られた時のダメージがまだ抜けていないが、これならまだ戦える。

まだ、勝機はある。
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