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【第六章】新生・魔王軍
【第四十話】無敵の王様 ①
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「ハァーッハッハァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
戦いは急に突然いきなり始まった。
話し合いや問答などは完全に無しだ。
邪悪で不気味な笑い声を上げながら、恭司は三日月を放つ。
恭司なりの、戦いの合図だった。
恭司もディーグレアも、互いにグダグダと言葉を並べるタイプでもないのだ。
言いたいことがあるなら、口を動かす前に殺しにかかる。
「グハハッ!!気の早いことだッ!!てっきり、"そういうの"は魔族の専売特許だとばかり思っていたんだがなァ…………ッ!!」
ディーグレアはそう言って笑いつつ、軽やかな動きで難なく三日月を避けた。
4メートルもの巨体の割には素早い身のこなしだ。
迷いもない。
余裕のある表情とは裏腹に、ディーグレアはとりあえず防御重視で様子見することに決めたようだった。
ディーグレアにとって、恭司の力は未だ未知数なのだ。
少し前に恭司とレオナルドの戦いを端目に捉えはしたものの、あんな一方的な蹂躙では本当の実力なんて何も分からない。
なんせ、恭司はあの時、マトモに刀技の一つですら使っていなかったのだ。
あれから実際に戦うこととなった今、慎重に当たるに越したことはない。
「ハハッ!!威勢の良いこと言うわりにはずいぶんと謙虚な対応じゃないかッ!!ヒューマンを相手にビビってんのか、"元"魔王様ッ!?」
恭司はそんな中、挑発を交えつつ、ただただ苛烈に攻め立てていった。
オークを散々食い散らかした甲斐あって、恭司は今や『中伝』まで使えるようになっているのだ。
身体能力は今までの比ではなく、基本技よりもさらに強い技も使えるようになっている。
「ほざくなよ、ヒューマンがッ!!加護もないヒューマンなど大して美味くもないが…………ッ!!貴様だけは特別に、我が直々に全て食ろうてやろうぞッ!!」
ディーグレアはそう言って、両方の掌に巨大な火の玉を作り出した。
様子見しつつ、遠距離技で反応を見るつもりだ。
怒りの表情はあくまでブラフ────。
思考はしっかりと回っている。
(チッ、脳筋かと思えば…………少しは頭も回るようだな)
恭司は内心で舌打ちしていた。
苛烈に攻める一方で、恭司もまた、相手の出方を窺っていたのだ。
結果はイマイチ────。
流石は、歴代で最も狡猾な魔王と言われるだけある。
「くらええええええええええええええええええええええええええええええええいッ!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
途端────。
ディーグレアの作り出した2つの炎球は、恭司に向かってまっすぐに飛んできた。
凄まじい熱量だ。
ただ前にしているだけで汗が噴き出し、皮膚が焼ける。
ローリーの時は口から出していたため、おそらくはその時とは別物なのだろう。
見た目通りのシンプルな技だ。
恭司は仕方なく、手札を1枚切ることにする。
「チッ…………」
三谷の『中伝』が一つ、『一線』────。
すると、
2つの炎球にそれぞれ"線"が一本ずつ引かれたかと思うと、炎球はあっという間に真っ二つに斬り裂かれてしまった。
これもまた、シンプルな技だ。
三日月の上位版とも言える。
線を引かれたら最後だ。
目にも留まらぬ高速の抜刀に、線から決してズレぬ外さぬ精密な一撃────。
ディーグレアは楽しそうに笑う。
「グハハッ!!すごい攻撃だなッ!!こうなれば、我も負けてはおれん…………ッ!!真の魔王たる攻撃を見せてくれようぞッ!!」
その瞬間────。
地面が…………少し揺れた。
微弱な動きだが、確かな変化だ。
その変化には、少しばかり心当たりがある。
「おいおい、ここは街中だぞ……」
途端────。
地面が一瞬にして真っ赤に染まり上がったかと思うと、強烈な熱風が吹き荒れた。
"予想通り"だ。
まるで"噴火"の前兆────。
このまま、この辺り一帯を焦がし尽くすつもりらしい。
「我が炎に抱かれ、そのまま逝くがいい────。『地獄炎』ッ!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
既視感バリバリの攻撃だった。
ローリーの放った隕石を打ち破った技だ。
辺り一面の地面が燃え上がり、正に噴火の如く上に噴き上がる。
しかし…………
こんな大技をいきなり放ったところで、恭司に当たるはずもなかった。
こんなに派手な予備動作があれば、先んじて避けておくことなど容易いのだ。
何なら、瞬動で距離を取りつつ、オマケで三日月も同時に放てる。
そして…………
そんなことはもちろん…………ディーグレアも"分かっていた"。
「グハァーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!避けたかッ!!流石の戦闘力よッ!!ならば…………ッ!!コレならどうだァッ!?」
すると…………
ディーグレアの周囲に、先ほどの炎球がいくつも宙に浮かんでいるのが見えた。
さっきの噴火はコレを作り出すための目眩しだったようだ。
恭司はそれを見て…………"笑う"。
予想通りの展開だ。
恭司は再び刀を構えると、技を使うことにする。
三谷の『基本技』が一つ、『殺影』────。
戦いは急に突然いきなり始まった。
話し合いや問答などは完全に無しだ。
邪悪で不気味な笑い声を上げながら、恭司は三日月を放つ。
恭司なりの、戦いの合図だった。
恭司もディーグレアも、互いにグダグダと言葉を並べるタイプでもないのだ。
言いたいことがあるなら、口を動かす前に殺しにかかる。
「グハハッ!!気の早いことだッ!!てっきり、"そういうの"は魔族の専売特許だとばかり思っていたんだがなァ…………ッ!!」
ディーグレアはそう言って笑いつつ、軽やかな動きで難なく三日月を避けた。
4メートルもの巨体の割には素早い身のこなしだ。
迷いもない。
余裕のある表情とは裏腹に、ディーグレアはとりあえず防御重視で様子見することに決めたようだった。
ディーグレアにとって、恭司の力は未だ未知数なのだ。
少し前に恭司とレオナルドの戦いを端目に捉えはしたものの、あんな一方的な蹂躙では本当の実力なんて何も分からない。
なんせ、恭司はあの時、マトモに刀技の一つですら使っていなかったのだ。
あれから実際に戦うこととなった今、慎重に当たるに越したことはない。
「ハハッ!!威勢の良いこと言うわりにはずいぶんと謙虚な対応じゃないかッ!!ヒューマンを相手にビビってんのか、"元"魔王様ッ!?」
恭司はそんな中、挑発を交えつつ、ただただ苛烈に攻め立てていった。
オークを散々食い散らかした甲斐あって、恭司は今や『中伝』まで使えるようになっているのだ。
身体能力は今までの比ではなく、基本技よりもさらに強い技も使えるようになっている。
「ほざくなよ、ヒューマンがッ!!加護もないヒューマンなど大して美味くもないが…………ッ!!貴様だけは特別に、我が直々に全て食ろうてやろうぞッ!!」
ディーグレアはそう言って、両方の掌に巨大な火の玉を作り出した。
様子見しつつ、遠距離技で反応を見るつもりだ。
怒りの表情はあくまでブラフ────。
思考はしっかりと回っている。
(チッ、脳筋かと思えば…………少しは頭も回るようだな)
恭司は内心で舌打ちしていた。
苛烈に攻める一方で、恭司もまた、相手の出方を窺っていたのだ。
結果はイマイチ────。
流石は、歴代で最も狡猾な魔王と言われるだけある。
「くらええええええええええええええええええええええええええええええええいッ!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
途端────。
ディーグレアの作り出した2つの炎球は、恭司に向かってまっすぐに飛んできた。
凄まじい熱量だ。
ただ前にしているだけで汗が噴き出し、皮膚が焼ける。
ローリーの時は口から出していたため、おそらくはその時とは別物なのだろう。
見た目通りのシンプルな技だ。
恭司は仕方なく、手札を1枚切ることにする。
「チッ…………」
三谷の『中伝』が一つ、『一線』────。
すると、
2つの炎球にそれぞれ"線"が一本ずつ引かれたかと思うと、炎球はあっという間に真っ二つに斬り裂かれてしまった。
これもまた、シンプルな技だ。
三日月の上位版とも言える。
線を引かれたら最後だ。
目にも留まらぬ高速の抜刀に、線から決してズレぬ外さぬ精密な一撃────。
ディーグレアは楽しそうに笑う。
「グハハッ!!すごい攻撃だなッ!!こうなれば、我も負けてはおれん…………ッ!!真の魔王たる攻撃を見せてくれようぞッ!!」
その瞬間────。
地面が…………少し揺れた。
微弱な動きだが、確かな変化だ。
その変化には、少しばかり心当たりがある。
「おいおい、ここは街中だぞ……」
途端────。
地面が一瞬にして真っ赤に染まり上がったかと思うと、強烈な熱風が吹き荒れた。
"予想通り"だ。
まるで"噴火"の前兆────。
このまま、この辺り一帯を焦がし尽くすつもりらしい。
「我が炎に抱かれ、そのまま逝くがいい────。『地獄炎』ッ!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
既視感バリバリの攻撃だった。
ローリーの放った隕石を打ち破った技だ。
辺り一面の地面が燃え上がり、正に噴火の如く上に噴き上がる。
しかし…………
こんな大技をいきなり放ったところで、恭司に当たるはずもなかった。
こんなに派手な予備動作があれば、先んじて避けておくことなど容易いのだ。
何なら、瞬動で距離を取りつつ、オマケで三日月も同時に放てる。
そして…………
そんなことはもちろん…………ディーグレアも"分かっていた"。
「グハァーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!避けたかッ!!流石の戦闘力よッ!!ならば…………ッ!!コレならどうだァッ!?」
すると…………
ディーグレアの周囲に、先ほどの炎球がいくつも宙に浮かんでいるのが見えた。
さっきの噴火はコレを作り出すための目眩しだったようだ。
恭司はそれを見て…………"笑う"。
予想通りの展開だ。
恭司は再び刀を構えると、技を使うことにする。
三谷の『基本技』が一つ、『殺影』────。
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