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第7章 迫りくる安川の影
136 ダンジョン攻略 その1
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「ここか……」
出発前に南地区の門でトラブルがあったが、何とか俺達はサラトガさんから渡された地図に示された地点へと着いた。
南地区の門からは南西に位置しており、歩いて30分の場所にその洞穴はあった。
ここがおそらく、俺達が行く【ダンジョン】の入り口だろう。
「入る前から禍々しさを感じるよ」
「同感だ。 ただ……」
「暁斗君?」
「ダンジョンから流れてきている魔力の質が……、安川の奴と同質みたいなんだ」
「え……!?」
エミリーとひなたは、俺の話を聞いて驚いている。
ダンジョン探索の時に安川の名前が出るとは思わなかったのだろう。
「私もそう感じたよ。 なんとなくだけど……」
由奈も俺と同様に異質な魔力が安川と同質なのをなんとなくだが察知しているようだ。
すると、胡桃が俺の裾を引っ張っていた。
「どうした、胡桃?」
「精霊様に……コンタクトで聞いてみた……」
「ルサルカに?」
「ん……。 にぃもコンタクト……してみて」
「分かった、コンタクトしてみよう」
胡桃に言われるがままに俺はルサルカに精霊交信を試みた。
すると、ルサルカの声が聞こえて来た。
『ああっ、アキト様! 交信してくれるのを待ってました!』
「胡桃が先にコンタクトを取ったんだが、何か知ってるのか?」
『はい! クルミ様から内容を聞いて調べてみました。 すると【ダンジョンメイク】という禁術の封印がいつの間にか解かれていたことが分かったんです!』
「やはり禁術絡みか……!」
「え!? お兄ちゃん、何か分かったの?」
「ああ。 どうやら【ダンジョンメイク】という禁術が関わってるみたいだ。 しかもすでに封印が解かれていたらしい」
俺がルサルカから聞いた内容を説明すると、アイリスとクリスタは顔を青ざめ、由奈とひなたとエミリーは無言だが、封印を解いた奴に対する怒りが湧いていた。
「ひょっとして……、アキトくんが言ってた……、ヤスカワという人物が……、解いたんじゃ?」
一方、クレアは俺からの説明を冷静に聞いており一つの可能性に言及していた。
「可能性はあるな。 奴は自身のクローン代わりとしてのホムンクルスを作らせるくらいだから」
安川の手口を思い出した俺は、クレアの推測を肯定した。
「あー、そっか。 つまり、そのうちの一体を禁術の封印解除役として……。 確か本物はまだガルタイトにいるんだったね」
ひなたもそれを思い出したのか、俺と同じくクレアの推測に肯定していた。
「おそらくな……。 とにかく中に入って攻略してみよう。 そうすることで奴の企みも潰せるかもしれないしな」
「うん、行こう」
これが安川、ならびにガルタイトの企みだとしたら看過できない。
ダンジョンを攻略することで今回の企みを潰せることを祈って、俺達は洞穴…ダンジョンの中へ入っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「中は簡素な石造りのダンジョンみたいだな」
『だが、幅が広いとはいえ通路上で、魔物と遭遇する可能性は強いがな』
「アルトの言う通りだね。 気配察知を使ってでも警戒をしておかないとね」
俺とアルトが内部の感想等を言った後で、アイリスからも気配察知を使ってでも警戒すべきと進言してきた。
俺達が入ったダンジョン……、その最初の階層は簡素な石造りをしていた。
あまり入り組んではおらず、少し探索すれば次への階段が見える程度だ。
しかし、いつ未知の魔物が出てくるかはわからない。
なので、警戒するに越したことはないのだ。
「……ん?」
「お兄ちゃん?」
『主様、もしや……?』
「ああ、早速こっちに魔物が来やがった」
俺が魔物が近づいてきたことを告げると、みんなで臨戦態勢を整えた。
そして、近づいてきた魔物は……、牛のような身体をした二足歩行の魔物だった。
もしや……?
俺は、【鑑定】をその魔物に使った。
「こいつ、ミノタウロスか!!」
『何だと!?』
「まさか、ゼイドラム西端に生息するAランクの!?」
「それがこのダンジョンに何故……!?」
俺がその魔物がミノタウロスだったと告げるとアルトも驚きを隠せなかった。
一方で、アイリスとエミリーは、それを思い出していたようだ。
聞けば、ゼイドラム国の西側の端に出没するAランクの魔物らしい。
それが、このダンジョンに潜ませていたという事は……。
「もしかして、安川はダンジョンを使って攻めようとしているんじゃ?」
「ありえそうだ……。 だが、今はこいつを倒さないと。 通路上だから上手く立ち回ってくれよ」
「うん!」
「了解したよ!」
「魔法を使う時は味方を巻き込まないようにね!」
一体だけだが、相手がミノタウロスとなれば一筋縄ではいかないだろう。
しかも通路上だ。
アイリスの言う通り、魔法を使う時も味方を巻き込まないように細心の注意を図らないといけない。
通路上と言う戦いづらい場所で、俺達はミノタウロスと戦う事になった。
出発前に南地区の門でトラブルがあったが、何とか俺達はサラトガさんから渡された地図に示された地点へと着いた。
南地区の門からは南西に位置しており、歩いて30分の場所にその洞穴はあった。
ここがおそらく、俺達が行く【ダンジョン】の入り口だろう。
「入る前から禍々しさを感じるよ」
「同感だ。 ただ……」
「暁斗君?」
「ダンジョンから流れてきている魔力の質が……、安川の奴と同質みたいなんだ」
「え……!?」
エミリーとひなたは、俺の話を聞いて驚いている。
ダンジョン探索の時に安川の名前が出るとは思わなかったのだろう。
「私もそう感じたよ。 なんとなくだけど……」
由奈も俺と同様に異質な魔力が安川と同質なのをなんとなくだが察知しているようだ。
すると、胡桃が俺の裾を引っ張っていた。
「どうした、胡桃?」
「精霊様に……コンタクトで聞いてみた……」
「ルサルカに?」
「ん……。 にぃもコンタクト……してみて」
「分かった、コンタクトしてみよう」
胡桃に言われるがままに俺はルサルカに精霊交信を試みた。
すると、ルサルカの声が聞こえて来た。
『ああっ、アキト様! 交信してくれるのを待ってました!』
「胡桃が先にコンタクトを取ったんだが、何か知ってるのか?」
『はい! クルミ様から内容を聞いて調べてみました。 すると【ダンジョンメイク】という禁術の封印がいつの間にか解かれていたことが分かったんです!』
「やはり禁術絡みか……!」
「え!? お兄ちゃん、何か分かったの?」
「ああ。 どうやら【ダンジョンメイク】という禁術が関わってるみたいだ。 しかもすでに封印が解かれていたらしい」
俺がルサルカから聞いた内容を説明すると、アイリスとクリスタは顔を青ざめ、由奈とひなたとエミリーは無言だが、封印を解いた奴に対する怒りが湧いていた。
「ひょっとして……、アキトくんが言ってた……、ヤスカワという人物が……、解いたんじゃ?」
一方、クレアは俺からの説明を冷静に聞いており一つの可能性に言及していた。
「可能性はあるな。 奴は自身のクローン代わりとしてのホムンクルスを作らせるくらいだから」
安川の手口を思い出した俺は、クレアの推測を肯定した。
「あー、そっか。 つまり、そのうちの一体を禁術の封印解除役として……。 確か本物はまだガルタイトにいるんだったね」
ひなたもそれを思い出したのか、俺と同じくクレアの推測に肯定していた。
「おそらくな……。 とにかく中に入って攻略してみよう。 そうすることで奴の企みも潰せるかもしれないしな」
「うん、行こう」
これが安川、ならびにガルタイトの企みだとしたら看過できない。
ダンジョンを攻略することで今回の企みを潰せることを祈って、俺達は洞穴…ダンジョンの中へ入っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「中は簡素な石造りのダンジョンみたいだな」
『だが、幅が広いとはいえ通路上で、魔物と遭遇する可能性は強いがな』
「アルトの言う通りだね。 気配察知を使ってでも警戒をしておかないとね」
俺とアルトが内部の感想等を言った後で、アイリスからも気配察知を使ってでも警戒すべきと進言してきた。
俺達が入ったダンジョン……、その最初の階層は簡素な石造りをしていた。
あまり入り組んではおらず、少し探索すれば次への階段が見える程度だ。
しかし、いつ未知の魔物が出てくるかはわからない。
なので、警戒するに越したことはないのだ。
「……ん?」
「お兄ちゃん?」
『主様、もしや……?』
「ああ、早速こっちに魔物が来やがった」
俺が魔物が近づいてきたことを告げると、みんなで臨戦態勢を整えた。
そして、近づいてきた魔物は……、牛のような身体をした二足歩行の魔物だった。
もしや……?
俺は、【鑑定】をその魔物に使った。
「こいつ、ミノタウロスか!!」
『何だと!?』
「まさか、ゼイドラム西端に生息するAランクの!?」
「それがこのダンジョンに何故……!?」
俺がその魔物がミノタウロスだったと告げるとアルトも驚きを隠せなかった。
一方で、アイリスとエミリーは、それを思い出していたようだ。
聞けば、ゼイドラム国の西側の端に出没するAランクの魔物らしい。
それが、このダンジョンに潜ませていたという事は……。
「もしかして、安川はダンジョンを使って攻めようとしているんじゃ?」
「ありえそうだ……。 だが、今はこいつを倒さないと。 通路上だから上手く立ち回ってくれよ」
「うん!」
「了解したよ!」
「魔法を使う時は味方を巻き込まないようにね!」
一体だけだが、相手がミノタウロスとなれば一筋縄ではいかないだろう。
しかも通路上だ。
アイリスの言う通り、魔法を使う時も味方を巻き込まないように細心の注意を図らないといけない。
通路上と言う戦いづらい場所で、俺達はミノタウロスと戦う事になった。
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