上 下
133 / 140
第7章 迫りくる安川の影

133 今後の訓練プランは……?

しおりを挟む
「お、やってるみたいだな」

 水の精霊ルサルカとの契約を終わらせた俺達は、魔導馬車で三日かけてガイアブルクへと帰還した。。
 現在、時間的には丁度夕方辺りか。
 ある程度走っていると、訓練している後輩の姿が見えた。

 俺達は魔導馬車を停めて、やや遠くから後輩達の訓練の様子が見える。
 双方とも、疲労が溜まりながらも一生懸命頑張ってるようだった。
 特にひなたに叩き込まれた後輩達は、息も絶え絶えな状態にまでなってるみたいだ。

「一方、魔法優先組はクレアとアイリスちゃんのおかげで物覚えがよくなってるみたいだね」

 魔法優先組として魔法を教えてもらっている後輩達はアイリスとクレアによって教えてもらっているようだ。
 見たところ、エミリーの言うように二人の教えがいいのか、物覚えがよくなっている雰囲気だ。

 ひなたのほうも夕方になっている事に気付いたのか、ここで訓練を打ち切る旨を伝えたようだ。
 まぁ、無理して訓練しても意味がないからな。
 程よい時間に休憩を挟みつつしたほうがいいのかも知れないな。

「俺達もそろそろ合流しようか」

「そうだね」

 俺達も頃合いを見て、ひなた達と合流することにした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お疲れ、みんな」

「あ、暁斗君たち、お帰り」

「お兄ちゃん達もお疲れ様ー」

「ただいま、ひなたちゃん、アイリスちゃんにクレアさん」

 ひなた達と合流した俺達は、早速後輩の様子を近くで見た。

「そうとう疲れてるな」

「まぁね、基礎体力を午前中にやって、昼食を挟んで午後は模擬戦だったり、魔法の勉強をしていたよ」

 ひなたが、訓練の内容を簡単に教えてくれた。
 やはり午前は基礎体力中心だった。
 そして、午後には魔法組と近接組に分かれて、近接組はひなたと模擬戦をしたりしていたそうだ。
 なお、1対複数だったようだが、流石にまだひなたから一発を入れた後輩はいない。
 まぁ、訓練を始めたばっかりだし、これは仕方がない。

「魔法組は、すごいね。 物覚えがいい子がいっぱいいたよ。 魔法の使い方も大半がマスターをしていたよ」

 魔法組は、アイリスが報告をしてくれたが、やはり物覚えのいい後輩達が多かったそうだ。
 大半が魔法の使い方をマスターをしたらしく、後は応用を教えていくのだそうだ。
 こっちは楽しみだ。

「ところで、クリスタは?」

「クリスタちゃんは、疲労が溜まってる後輩達を癒しているよ」

 疲労が蓄積した後輩は、クリスタに癒されている。
 こうして見るとまるで母親みたいな感じだなぁ。

「そういえば、そっちは? 精霊様と契約できおたの?」

 アイリスが俺達の事を聞いてきた。
 こっちもそろそろ報告しようかと思っていたから丁度いい。

「結論から言えば、契約は出来た。 以後、召喚で分身体を召喚可能なのと、精霊交信で本体とやり取りが可能になった」

「精霊様と交信ができるようになったんだ。 すごいね」

「ただ、今は修復したが水の精霊の結界は、ガルタイトとの戦争の影響と悪魔族の過激派が起こした【スタンピード】の影響もあったが、直接の影響はあの来栖と如月が起こしたらしい」

「あいつらが!?」

 俺が来栖と如月の名前を挙げるとひなたが怒りの表情になった。

「ああ。 どうも精霊の力を無理やり取ろうとしたらしい。 拒否したら意識を失われて精霊の力を奪われたとのことだ」

「あいつら……。 そこまで自分本位で……! 倒しておいてよかったよ」

 ひなたの言う通り、倒しておいてよかったと思う。
 何せ、ゼイドラムの管理する施設の【ゼイドニウム採掘場】の不法侵入から始まり、悪魔族穏健派を食べ、さらに精霊の結界を破壊しただけでなく力を奪い、ヘキサ公国を壊滅させて、クレアを恥ずかしい目に遭わせたのだから。
 放置しておいたら、さらにとんでもない事になっていただろう。

「とにかく、胡桃にとっても【サモナー】としての実力も上がったので他の訓練もやっていこうと思う。 【ガンナー】とか」

「【ガンナー】かぁ。 そういえば、私の家の地下に射撃訓練セットが届いてたんだったね」

「そうだ。 俺もそろそろ【ガンナー】の練度も上げていかないといけないしな」

「そういえば、暁斗君って基本近接ばっかりだったね。 魔法も使ってるけど」

 俺も胡桃と同様に【ガンナー】の練度を上げていくと話した所で、由奈も納得したようだった。

「じゃあ、明日からは私と由奈ちゃんで後輩の近接訓練をこなしていくよ」

「私達魔法組は、エミリーお姉ちゃんを加えて応用なども教えていくね」

「それで頼むよ。 俺と胡桃も、射撃訓練の合間に様子を見に行くから」

「分かったよ。 そっちも頑張ってね」

 こうして、精霊との契約を成功させた俺達は、今後のプランを話し合いを終えて自宅へ戻ってお休みをすることにした。
 そこからは指名依頼もなく、二週間は訓練に費やすことができ、後輩達の強化もさることながら、俺や胡桃も【ガンナー】の練度を高めることに成功した。
 後は実戦で、極める事だけだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう

味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

【オンボロ剣】も全て【神剣】に変える最強術者

月風レイ
ファンタジー
 神の手違いにより死んでしまった佐藤聡太は神の計らいで異世界転移を果たすことになった。  そして、その際に神には特別に特典を与えられることになった。  そして聡太が望んだ力は『どんなものでも俺が装備すると最強になってしまう能力』というものであった。  聡太はその能力は服であれば最高の服へと変わり、防具であれば伝説級の防具の能力を持つようになり、剣に至っては神剣のような力を持つ。  そんな能力を持って、聡太は剣と魔法のファンタジー世界を謳歌していく。  ストレスフリーファンタジー。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...