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第6章 脱走勇者は悪魔になる
122 クレアとの会話、そして告白
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「やあ、よく来たね」
「ええ、とはいえ王城に入るのは初めてですが」
「確かにね。 では、クレア君がいる部屋に案内しよう」
ガイアブルクの王城の正門前でクリストフ国王が待っていた。
相変わらずの行動力だが、今はそれのおかげですんなり城の中に入れる。
「こういうのは私自ら出た方がいいからね。 一応、伝えてはいるがどうも聞き流している兵士や他国の人間を嫌う兵士が未だに燻ってるのでね」
「穴埋めのための兵士募集は?」
「しているが、なかなかこちらの願うような人材がいないのがね。 今回は特に君達異世界の人やヘキサ公国出身の人物を受け入れているからね」
「差別思想がトラブルの種になりやすいと」
「私が国王になる前からいる老年の兵士たちが他国民や魔族がこの国に住むことに尚も反対しているのがね。 しかも、その兵士たちはその手の思想を持った多数の貴族とのパイプを持っているのが厄介でね」
「叩いても叩いても湧いて出ると」
「繋がっている幾つかの貴族一家をかなり潰したのだが、そういうガルタイトに近い思想を潜在的に抱いている貴族は世界中にいるのがね」
クレアがいる部屋へ案内している最中に、クリストフ国王から現在のガイアブルクが抱える国内の情勢を語った。
国王が自ら出迎えたのも、兵士の中には俺達異世界人やシンシアさんやイリアさんなどの魔族、そして他国人を毛嫌いしている存在もいるようだ。
それが、若い世代はあまりいないが老人に近い世代に多いと言う事も。
さらにはその思想を抱く者の背後に、世界中の排他主義的な思想を抱く貴族たちがいるようで、国王が沢山それを潰してもゴキブリのように新たに湧いてくるみたいだ。
「さて、着いた。 ここがクレア君がいる部屋だ」
「ここが……」
着いたのは、来賓用の個室。
その中の一つの扉の奥に、彼女が……クレアがいる。
クレアは、ガイアブルクの国民になる事を自ら決めた。
その上で、彼女は俺に話したいと言うのだ。
「クレア君。 アキト君を連れて来たよ」
「はい、今開けます」
クレアの声が聞こえた。
エミリーの時といい、密かに緊張している。
そして、扉が開き、クレアが顔を覗かせて来た。
「来てくれて……、ありがとう、アキト君」
「ああ。 俺に……話があるんだって?」
「うん……。 入って……」
クレアが手招きするので、それにつられて部屋に入る。
来賓用の部屋だが、部屋の中にベッドや浴室、トイレが設置されている。
クレアがソファーに座ったので、俺はその隣に座らせてもらう。
「まず、国王様から聞いたと思うけど……、私、ガイアブルクの国民になる」
「ああ、聞いたよ。 エミリーも喜んでた節があったしな」
「あれからあの子と……、連絡できなかったし……、元気そうでよかった」
「やっぱり、その……」
「うん。 ヘキサ公国が……滅びちゃった……から。 両親共々」
「そうか……」
あまりいい気分はしないだろう。
やはり、クレアの両親は如月達の襲撃のせいで、公国壊滅と同時に死んでしまったようだ。
その上で、あいつらはクレアを……。
「リックさんもリリアさんも……、ここガイアブルクの……国民になるよ」
「あの二人も」
「うん」
リックさんもリリアさんも、どうやらガイアブルクの国民になる事が確定した。
あの二人も色々考えた結果なのだろう。
「記憶を完全に失ったカイゼルさんは……、身体が癒えた後で……、ゼイドラムのプロジェクトに参加するみたい」
カイゼルさんは、ヘキサ公国だった場所を共和国化して復興させるプロジェクトに参加か。
俺が知り合ったヘキサ公国の冒険者達の進退を知った事は収穫かな?
「私も……、ガイアブルクの国民になるという事で……、アキト君に伝えたい事があるの」
そして、クレアは伝えたいことがあると言った後で一時俯いた。
その後すぐに顔を上げて、俺に向かってこう言ってきた。
「私を……、アキト君のお嫁さんの一人に……してください」
そう告白してきたクレアの瞳は、真剣そのものだった。
「ええ、とはいえ王城に入るのは初めてですが」
「確かにね。 では、クレア君がいる部屋に案内しよう」
ガイアブルクの王城の正門前でクリストフ国王が待っていた。
相変わらずの行動力だが、今はそれのおかげですんなり城の中に入れる。
「こういうのは私自ら出た方がいいからね。 一応、伝えてはいるがどうも聞き流している兵士や他国の人間を嫌う兵士が未だに燻ってるのでね」
「穴埋めのための兵士募集は?」
「しているが、なかなかこちらの願うような人材がいないのがね。 今回は特に君達異世界の人やヘキサ公国出身の人物を受け入れているからね」
「差別思想がトラブルの種になりやすいと」
「私が国王になる前からいる老年の兵士たちが他国民や魔族がこの国に住むことに尚も反対しているのがね。 しかも、その兵士たちはその手の思想を持った多数の貴族とのパイプを持っているのが厄介でね」
「叩いても叩いても湧いて出ると」
「繋がっている幾つかの貴族一家をかなり潰したのだが、そういうガルタイトに近い思想を潜在的に抱いている貴族は世界中にいるのがね」
クレアがいる部屋へ案内している最中に、クリストフ国王から現在のガイアブルクが抱える国内の情勢を語った。
国王が自ら出迎えたのも、兵士の中には俺達異世界人やシンシアさんやイリアさんなどの魔族、そして他国人を毛嫌いしている存在もいるようだ。
それが、若い世代はあまりいないが老人に近い世代に多いと言う事も。
さらにはその思想を抱く者の背後に、世界中の排他主義的な思想を抱く貴族たちがいるようで、国王が沢山それを潰してもゴキブリのように新たに湧いてくるみたいだ。
「さて、着いた。 ここがクレア君がいる部屋だ」
「ここが……」
着いたのは、来賓用の個室。
その中の一つの扉の奥に、彼女が……クレアがいる。
クレアは、ガイアブルクの国民になる事を自ら決めた。
その上で、彼女は俺に話したいと言うのだ。
「クレア君。 アキト君を連れて来たよ」
「はい、今開けます」
クレアの声が聞こえた。
エミリーの時といい、密かに緊張している。
そして、扉が開き、クレアが顔を覗かせて来た。
「来てくれて……、ありがとう、アキト君」
「ああ。 俺に……話があるんだって?」
「うん……。 入って……」
クレアが手招きするので、それにつられて部屋に入る。
来賓用の部屋だが、部屋の中にベッドや浴室、トイレが設置されている。
クレアがソファーに座ったので、俺はその隣に座らせてもらう。
「まず、国王様から聞いたと思うけど……、私、ガイアブルクの国民になる」
「ああ、聞いたよ。 エミリーも喜んでた節があったしな」
「あれからあの子と……、連絡できなかったし……、元気そうでよかった」
「やっぱり、その……」
「うん。 ヘキサ公国が……滅びちゃった……から。 両親共々」
「そうか……」
あまりいい気分はしないだろう。
やはり、クレアの両親は如月達の襲撃のせいで、公国壊滅と同時に死んでしまったようだ。
その上で、あいつらはクレアを……。
「リックさんもリリアさんも……、ここガイアブルクの……国民になるよ」
「あの二人も」
「うん」
リックさんもリリアさんも、どうやらガイアブルクの国民になる事が確定した。
あの二人も色々考えた結果なのだろう。
「記憶を完全に失ったカイゼルさんは……、身体が癒えた後で……、ゼイドラムのプロジェクトに参加するみたい」
カイゼルさんは、ヘキサ公国だった場所を共和国化して復興させるプロジェクトに参加か。
俺が知り合ったヘキサ公国の冒険者達の進退を知った事は収穫かな?
「私も……、ガイアブルクの国民になるという事で……、アキト君に伝えたい事があるの」
そして、クレアは伝えたいことがあると言った後で一時俯いた。
その後すぐに顔を上げて、俺に向かってこう言ってきた。
「私を……、アキト君のお嫁さんの一人に……してください」
そう告白してきたクレアの瞳は、真剣そのものだった。
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