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第6章 脱走勇者は悪魔になる
114 再会と解呪依頼
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ガイアブルク領の西部に位置し、ヘキサ公国東部との境界線付近に位置している町【エルオー】。
ヘキサ公国の国民との交流も多く宿屋が多いので、今や宿泊の町として有名だ。
その町に着いた俺達は、専用の宿を取って一息を入れた。
その後、ヘキサ公国出身の冒険者達が泊まっているという多くの宿屋の中の一つ、【ウサギ亭】に俺達はやってきた。
カイゼルさんやリックさん達がここにいるという事らしい。
アイリスがフロントに事情を話すと、スタッフは彼らが利用している三つの部屋を案内してくれた。
三階の303号室、304号室、305号室……。
この三つの部屋をリックさん達が使っているという。
まずはクレアとエミリーをリックさん達に会わせることだ。
リックさんとリリアさんは現在303号室にいるので、ノックをしてみた。
そしてドアが開いて、顔を覗かせて来た時に、クレアとエミリーの存在に目を見開いた。
「クレアさん!」
「それにエミリーも……」
「うん、何とか……戻って来た」
「お久しぶりです、リックさんにリリアさん」
「クレアさん! 無事に生きててくれて良かったです!」
クレアの無事を確認したリリアさんがクレアに抱きついて来た。
よほど心配だったんだろうな。
「エミリーもあれからどうだ?」
「充実してます。 アキト君達のおかげで」
「そうか、それは何よりだよ」
一方で、エミリーはリックさんと話をしていた。
先輩としてエミリーが心配だったのだろうな。
「クレアお姉ちゃんの件については何とかなったね」
「そうだな。 あの喜びようからして相当心配してたんだろうし」
「確かにエミリーさんとクレアさんって、基本リックさん達とパーティを組んでたみたいだしね」
俺とアイリスとひなたがひそひそ話で二人の事を話していると、クレアさんがこっちに来た。
「アキトさん、皆さん。 クレアさんを助けていただきありがとうございます」
「あ、い、いえ……」
リリアさんが俺達に頭を下げた。
なんだかんだで俺は感謝されるのには慣れていないから、上手くは返せない。
「こちらからもお礼を言わせて欲しい。 クレアを助けてもらったからな」
「いえ、私達も父……いや、クリストフ国王から報告を受けてすぐに行ったので……」
リックさんからも感謝された。
クレアはエミリーと一緒にみんなに色々話しているが、もう一つの目的も遂行しないといけない。
「お話の所申し訳ないですが、カイゼルさんの件で……」
「ああ、そうだった。 彼は未だに意識がない状態でね」
「回復魔法で体力は回復してはいますが……、意識がずっと戻らないんです。 もしかしたら呪いの類かも知れないので解呪の札も使ったのですが」
やはり解呪の札は使っていた。
あれは最低三日はかかる代物だ。
俺が解呪のスキルを専用の札に注ぎ込んでも最低三日の壁を崩せなかった。
「お兄ちゃん、もしかして睡眠の呪いかもしれないね」
「召喚されて間もない時に俺が受けた奴か?」
「うん、実際にサーチしてみればいいけど多分そうだよ」
アイリスが睡眠の呪いなのではないかと推測していた。
それは俺が召喚されて間もない時、『無能』扱いされた時に今は亡きアンから受けた呪いなのだ。
人によっては昏睡状態のまま死に至る危険な呪いでもあるのだが、俺は無事に目を覚ますことができたのだ。
そうなると一応、確認をして解呪しないといけないな。
「リックさん、リリアさん。 カイゼルさんが寝ている部屋に入ってもいいですか?」
「アキトさん、解呪できるんですか?」
「ええ、【呪術師】を極めた時に解呪のスキルも使えるようになってるので」
「なんと……!!」
「そうだったのですか!?」
俺が解呪のスキルを使えることにリックさんやリリアさんは驚いていた。
そういえば、解呪スキルの事については言っていなかったかも知れない。
「盗賊集団【漆黒】戦の時は魔封じの呪いのスキルを使える事しか言ってなかったよね? ボクは由奈ちゃんを助ける時に解呪の魔法を使ったのは遠目で見たけど」」
「あの時か……」
「え、え?」
「由奈ちゃんはあの時ガルタイトにこもってたからね。 知らないのはしょうがないよ」
俺の【呪術師】に関する話で、エミリーがかの盗賊集団の件を思い出したようだ。
ただ、由奈はその当時はガルタイトにいたので、あまりついていけてない。
そこにひなたがフォローしてくれたのは助かったのだが。
「まぁ、とにかく今の俺は解呪のスキルが使えるんで……。 カイゼルさんの解呪をしてもいいでしょうか?」
「ああ、ぜひお願いするよ!」
「こちらとしても願ってもない事です! ぜひ、カイゼルさんを助けてください!」
リックさんとリリアさんにせかされる形で俺はカイゼルさんが眠っているという305号室に入っていった。
ヘキサ公国の国民との交流も多く宿屋が多いので、今や宿泊の町として有名だ。
その町に着いた俺達は、専用の宿を取って一息を入れた。
その後、ヘキサ公国出身の冒険者達が泊まっているという多くの宿屋の中の一つ、【ウサギ亭】に俺達はやってきた。
カイゼルさんやリックさん達がここにいるという事らしい。
アイリスがフロントに事情を話すと、スタッフは彼らが利用している三つの部屋を案内してくれた。
三階の303号室、304号室、305号室……。
この三つの部屋をリックさん達が使っているという。
まずはクレアとエミリーをリックさん達に会わせることだ。
リックさんとリリアさんは現在303号室にいるので、ノックをしてみた。
そしてドアが開いて、顔を覗かせて来た時に、クレアとエミリーの存在に目を見開いた。
「クレアさん!」
「それにエミリーも……」
「うん、何とか……戻って来た」
「お久しぶりです、リックさんにリリアさん」
「クレアさん! 無事に生きててくれて良かったです!」
クレアの無事を確認したリリアさんがクレアに抱きついて来た。
よほど心配だったんだろうな。
「エミリーもあれからどうだ?」
「充実してます。 アキト君達のおかげで」
「そうか、それは何よりだよ」
一方で、エミリーはリックさんと話をしていた。
先輩としてエミリーが心配だったのだろうな。
「クレアお姉ちゃんの件については何とかなったね」
「そうだな。 あの喜びようからして相当心配してたんだろうし」
「確かにエミリーさんとクレアさんって、基本リックさん達とパーティを組んでたみたいだしね」
俺とアイリスとひなたがひそひそ話で二人の事を話していると、クレアさんがこっちに来た。
「アキトさん、皆さん。 クレアさんを助けていただきありがとうございます」
「あ、い、いえ……」
リリアさんが俺達に頭を下げた。
なんだかんだで俺は感謝されるのには慣れていないから、上手くは返せない。
「こちらからもお礼を言わせて欲しい。 クレアを助けてもらったからな」
「いえ、私達も父……いや、クリストフ国王から報告を受けてすぐに行ったので……」
リックさんからも感謝された。
クレアはエミリーと一緒にみんなに色々話しているが、もう一つの目的も遂行しないといけない。
「お話の所申し訳ないですが、カイゼルさんの件で……」
「ああ、そうだった。 彼は未だに意識がない状態でね」
「回復魔法で体力は回復してはいますが……、意識がずっと戻らないんです。 もしかしたら呪いの類かも知れないので解呪の札も使ったのですが」
やはり解呪の札は使っていた。
あれは最低三日はかかる代物だ。
俺が解呪のスキルを専用の札に注ぎ込んでも最低三日の壁を崩せなかった。
「お兄ちゃん、もしかして睡眠の呪いかもしれないね」
「召喚されて間もない時に俺が受けた奴か?」
「うん、実際にサーチしてみればいいけど多分そうだよ」
アイリスが睡眠の呪いなのではないかと推測していた。
それは俺が召喚されて間もない時、『無能』扱いされた時に今は亡きアンから受けた呪いなのだ。
人によっては昏睡状態のまま死に至る危険な呪いでもあるのだが、俺は無事に目を覚ますことができたのだ。
そうなると一応、確認をして解呪しないといけないな。
「リックさん、リリアさん。 カイゼルさんが寝ている部屋に入ってもいいですか?」
「アキトさん、解呪できるんですか?」
「ええ、【呪術師】を極めた時に解呪のスキルも使えるようになってるので」
「なんと……!!」
「そうだったのですか!?」
俺が解呪のスキルを使えることにリックさんやリリアさんは驚いていた。
そういえば、解呪スキルの事については言っていなかったかも知れない。
「盗賊集団【漆黒】戦の時は魔封じの呪いのスキルを使える事しか言ってなかったよね? ボクは由奈ちゃんを助ける時に解呪の魔法を使ったのは遠目で見たけど」」
「あの時か……」
「え、え?」
「由奈ちゃんはあの時ガルタイトにこもってたからね。 知らないのはしょうがないよ」
俺の【呪術師】に関する話で、エミリーがかの盗賊集団の件を思い出したようだ。
ただ、由奈はその当時はガルタイトにいたので、あまりついていけてない。
そこにひなたがフォローしてくれたのは助かったのだが。
「まぁ、とにかく今の俺は解呪のスキルが使えるんで……。 カイゼルさんの解呪をしてもいいでしょうか?」
「ああ、ぜひお願いするよ!」
「こちらとしても願ってもない事です! ぜひ、カイゼルさんを助けてください!」
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