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第6章 脱走勇者は悪魔になる
113 悪魔退治を終えて
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「エミリー、アキトくん……!」
「クレア……!」
俺達が如月と来栖が【融合合体】して生み出したサタンゴーレムを倒して首都の入り口まで戻った所でクレアが俺とエミリーがいる場所に駆けつけてきた。
新しい衣装によってかなり可愛くなっていた事で一瞬ドキッとした。
だが、クレアは構わず俺に突進して抱きついて来た。
「おっとと……」
少し衝撃でよろけそうになったが、何とかクレアを受け止める。
「ありがとう……アキトくん…! 私を……助けてくれて…」
「クレア……、でも……」
「あの時に……来てくれただけでも……十分。 下手したら……、それ以上の事を……されていたかも知れないから……」
あそこで俺が来栖をぶん殴ってなければ、アレ以上の事をやっていたという事に如月たちの堕ちっぷりは度をこえていたというのだろう。
それだけでも腹が立ってきたが、クレアの手前なので抑えることにした。
「とにかく、仲間の所に戻りましょう。 きっとクレアさんの無事を祈ってるはず」
「うん」
「おーい、みんなー、バスに乗って行くよー」
いつの間にか他のメンツがバスに乗っていたようだ。
アイリスの呼ばれて、慌ててバスに乗って行く。
一応、悪魔退治は終わったけど……、ヘキサ公国があの様子じゃ復興は厳しいかもしれない。
クレアはヘキサ公国出身だし、エミリーも今はガイアブルクの国民だが、生まれはヘキサ公国だから、少なからずショックを受けているはずだしな。
俺達を乗せた軍用バスは、一路中間拠点を経由してガイアブルク領内の西部の町【エルオー】に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「クレアはバスは大丈夫か?」
「少し……、辛いかな……? 何せバスに……乗るのは初めてだし……」
「確かにこの軍用バスはそういった方面を考慮してないからな」
「でも、クレアは酔い止めの薬は苦手なんだよね」
「うん……」
バスに酔いやすいんだけど、酔い止めの薬はクレアは苦手なのか。
これは困ったな。
そう思っていたら、クロウ中佐があるものを用意してくれた。
「そう言うと思って、こっちも用意しておいた。 君はこれを食べるといい」
「それは?」
「酔い止めの効果を持つクッキーだ。 酔い止め薬と同じ効力だから、苦手な君でもいけるはずだ」
「あ、ありがとうございます……。 ん、美味しい……」
酔い止めの効果を持つクッキーをクロウ中佐から渡されたクレアはそれを美味しそうに食べていた。
その様子を見ていた俺はひとまず安心した。
「問題は他の冒険者達だね」
「ああ、彼らはなんとかガイアブルク領の【エルオー】まで逃げ切れたみたいだが、何人かは重傷ならびに意識不明の重体になっているそうだ」
「悪魔の力を得た奴らに歯が立たなかったそうですね」
「そうだ。 何せ、あの『ヘキサの大熊』と呼ばれたカイゼルでさえ歯が立たなかっただけでなく、どうも呪いを掛けられたという情報も入ってきている」
「カイゼルさんが!?」
「あ、あぁ……」
ひなたがクロウ中佐に食って掛かってきた。
それだけ信じられないような内容だったからだ。
クレアもエミリーも目を見開いたまま固まっているし、俺でも信じられなかった。
あのカイゼルさんが呪いで……!?
「お兄ちゃん、呪いならお兄ちゃんやシンシアお姉ちゃんの解呪でいけるんじゃない?」
「そうか、胡桃やアイリスはまだ【呪術師】を極めている最中だからまだ解呪できないんだっけ」
「うん。 今の状況ではまだ使えるのはお兄ちゃんとシンシアお姉ちゃんくらいだけどね」
「確かに、解呪ならば私やアキトさんに掛かれば可能ではありますね。 呪いの内容によりますが」
確かに、アイリスの言う通り今のメンツの中で解呪が出来るのは俺とシンシアさんのみ。
胡桃やアイリスも【呪術師】の素質は持っているが、まだ極めるに至っていないのだ。
カイゼルさんが掛けられた呪いの内容次第で、シンシアさんとの二人掛かりでの解呪も視野に入れるべきだろう。
「もうすぐ【エルオー】に到着する。 そこで一息を入れると同時にヘキサ公国出身の冒険者とも会って行こう」
「クレア、エミリー、もうすぐリックさん達に再会できるな」
「うん。 私が……無事なのを伝えないと」
「ボクもカイゼルさんが心配だしね。 当時はよくしてくれた先輩だから」
「よし、みんな降りる準備をしよう。 クロウ中佐、その後は?」
「一息入れた後、ガイアブルク城下町まで行こう。 彼らをどうするかをクリストフ国王殿と相談しないといけないからな」
「そっか、ヘキサ公国はほぼ壊滅状態だもんね……」
由奈がもの悲しそうにつぶやいた。
ヘキサ公国は如月と来栖によって壊滅状態になっている。
復興も難しいのかもしれないので、今後のヘキサ公国出身の冒険者達はどういう道を取るべきかは今後の相談次第だ。
軍用バスは、【エルオー】の町の門の前に到着し、全員降りてまずは宿屋へ向かうことにした。
その後にヘキサ公国出身の冒険者達に会いに行く事になる。
「クレア……!」
俺達が如月と来栖が【融合合体】して生み出したサタンゴーレムを倒して首都の入り口まで戻った所でクレアが俺とエミリーがいる場所に駆けつけてきた。
新しい衣装によってかなり可愛くなっていた事で一瞬ドキッとした。
だが、クレアは構わず俺に突進して抱きついて来た。
「おっとと……」
少し衝撃でよろけそうになったが、何とかクレアを受け止める。
「ありがとう……アキトくん…! 私を……助けてくれて…」
「クレア……、でも……」
「あの時に……来てくれただけでも……十分。 下手したら……、それ以上の事を……されていたかも知れないから……」
あそこで俺が来栖をぶん殴ってなければ、アレ以上の事をやっていたという事に如月たちの堕ちっぷりは度をこえていたというのだろう。
それだけでも腹が立ってきたが、クレアの手前なので抑えることにした。
「とにかく、仲間の所に戻りましょう。 きっとクレアさんの無事を祈ってるはず」
「うん」
「おーい、みんなー、バスに乗って行くよー」
いつの間にか他のメンツがバスに乗っていたようだ。
アイリスの呼ばれて、慌ててバスに乗って行く。
一応、悪魔退治は終わったけど……、ヘキサ公国があの様子じゃ復興は厳しいかもしれない。
クレアはヘキサ公国出身だし、エミリーも今はガイアブルクの国民だが、生まれはヘキサ公国だから、少なからずショックを受けているはずだしな。
俺達を乗せた軍用バスは、一路中間拠点を経由してガイアブルク領内の西部の町【エルオー】に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「クレアはバスは大丈夫か?」
「少し……、辛いかな……? 何せバスに……乗るのは初めてだし……」
「確かにこの軍用バスはそういった方面を考慮してないからな」
「でも、クレアは酔い止めの薬は苦手なんだよね」
「うん……」
バスに酔いやすいんだけど、酔い止めの薬はクレアは苦手なのか。
これは困ったな。
そう思っていたら、クロウ中佐があるものを用意してくれた。
「そう言うと思って、こっちも用意しておいた。 君はこれを食べるといい」
「それは?」
「酔い止めの効果を持つクッキーだ。 酔い止め薬と同じ効力だから、苦手な君でもいけるはずだ」
「あ、ありがとうございます……。 ん、美味しい……」
酔い止めの効果を持つクッキーをクロウ中佐から渡されたクレアはそれを美味しそうに食べていた。
その様子を見ていた俺はひとまず安心した。
「問題は他の冒険者達だね」
「ああ、彼らはなんとかガイアブルク領の【エルオー】まで逃げ切れたみたいだが、何人かは重傷ならびに意識不明の重体になっているそうだ」
「悪魔の力を得た奴らに歯が立たなかったそうですね」
「そうだ。 何せ、あの『ヘキサの大熊』と呼ばれたカイゼルでさえ歯が立たなかっただけでなく、どうも呪いを掛けられたという情報も入ってきている」
「カイゼルさんが!?」
「あ、あぁ……」
ひなたがクロウ中佐に食って掛かってきた。
それだけ信じられないような内容だったからだ。
クレアもエミリーも目を見開いたまま固まっているし、俺でも信じられなかった。
あのカイゼルさんが呪いで……!?
「お兄ちゃん、呪いならお兄ちゃんやシンシアお姉ちゃんの解呪でいけるんじゃない?」
「そうか、胡桃やアイリスはまだ【呪術師】を極めている最中だからまだ解呪できないんだっけ」
「うん。 今の状況ではまだ使えるのはお兄ちゃんとシンシアお姉ちゃんくらいだけどね」
「確かに、解呪ならば私やアキトさんに掛かれば可能ではありますね。 呪いの内容によりますが」
確かに、アイリスの言う通り今のメンツの中で解呪が出来るのは俺とシンシアさんのみ。
胡桃やアイリスも【呪術師】の素質は持っているが、まだ極めるに至っていないのだ。
カイゼルさんが掛けられた呪いの内容次第で、シンシアさんとの二人掛かりでの解呪も視野に入れるべきだろう。
「もうすぐ【エルオー】に到着する。 そこで一息を入れると同時にヘキサ公国出身の冒険者とも会って行こう」
「クレア、エミリー、もうすぐリックさん達に再会できるな」
「うん。 私が……無事なのを伝えないと」
「ボクもカイゼルさんが心配だしね。 当時はよくしてくれた先輩だから」
「よし、みんな降りる準備をしよう。 クロウ中佐、その後は?」
「一息入れた後、ガイアブルク城下町まで行こう。 彼らをどうするかをクリストフ国王殿と相談しないといけないからな」
「そっか、ヘキサ公国はほぼ壊滅状態だもんね……」
由奈がもの悲しそうにつぶやいた。
ヘキサ公国は如月と来栖によって壊滅状態になっている。
復興も難しいのかもしれないので、今後のヘキサ公国出身の冒険者達はどういう道を取るべきかは今後の相談次第だ。
軍用バスは、【エルオー】の町の門の前に到着し、全員降りてまずは宿屋へ向かうことにした。
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