サモンブレイブ・クロニクル~無能扱いされた少年の異世界無双物語

イズミント(エセフォルネウス)

文字の大きさ
上 下
97 / 140
幕間の章 海水浴と結婚式

97 魔族領での結婚式①

しおりを挟む
「ここが、魔族領の北部の町の【エレフライン】か……」

「結構大きいね。 あと、人間も魔族も一緒にいるね」

「イリアお姉ちゃん曰く、ガルタイトの侵略で居場所を失った人間を受け入れているみたい。 この町以外にもそうさせているんだって」

「へぇ……」

 今日は、ここ魔族領の北部の大きな町【エレフライン】にて結婚式が挙げられる。
 イリアさんからの招待状が届いたので行く事にしたのだ。
 なお、魔族領には初めて行くので、クロウ中佐に相談したらゼイドラムから用意してくれた数台のバスで行く事にしたのだ。
 もちろん、後輩達も一緒だ。

 そして、休憩を挟みつつバスで行くこと10時間。
 夕方の時間にようやく【エレフライン】にたどり着き、バスを降りてイリアさんが確保してくれたホテルに行く。
 結婚式後は、一泊して帰る予定だからである。
 しかし、ガイアブルクから魔族領までバスで10時間前後だと、普通の馬車だと7日以上は掛かるんじゃないか?

「暁斗くん、ひなたさん、アイリスちゃーん!」

「あ、イリアお姉ちゃん!」

 街の正門でバスを止め、下車した俺達をイリアさんこと魔王イリアゲートさんが出迎えてくれた。

「お久しぶりです、イリアさん」

「こちらこそ、解放戦の際に助っ人に行けなくてすみません」

「いえ、イリアさんも討伐部隊の件があったので仕方がないですよ」

「そう言ってもらえると安心しますね」

 俺とひなたはイリアさんと今までの事を色々な話をした。
 それを関連して、一応ガイアブルクから伝わってるが、改めてクリスタを紹介した。

「なるほど……、暁斗くん達の召喚の際に生贄にされたんですね」

「ええ、それから1か月後に生き返りまして……暁斗様たちによれば、命のストックがある程度あるみたいでした」

「それが今回はいい方向に働いた……というべきでしょうか」

「そうだと思います」

 イリアさんとクリスタが確認の為に話をしている。
 その間に、俺達は後輩に呼びかけた。

「とりあえず、渡されたフロアマップと鍵があるだろうから、鍵に掛かれてる号室をマップで探しながら行こうか」

「そうですね、荷物も置かないといけないし……」

 後輩達も同意し、ホテルの中に入っていく。
 後輩達も俺達も鍵に書かれた号室を見て、各階に魔力で動くエレベータに乗って行く。
 ってか、この世界に……魔族領にエレベータがあったのか……。
 ゼイドラムにもあったが、あそこは近代化してるから理解はできるが……。

「俺達は8人部屋か……」

「クリスタちゃんを含めて7人だし、念入りにそれくらいは必要なんだろうね」

 ホテルの4階にたどり着いた俺達は一番奥の401号室。
 そこは8人部屋となっており、室内にもお風呂やトイレがあるようだ。

「結構広いねー……」

「ん……、ベッド……ふかふか」

「とりあえず、荷物を置いてトイレとか済ませたら再度入り口に集合な。そのまま前夜祭の会場へ向かうから」

「そうだね、前夜祭は1時間後だし、先にトイレは済ませないとね」

 クリスタも入ってきて荷物を置き、みんながトイレなどを済ませたのを確認し、ホテルの入り口のロビーへ向かった。
 ロビーに行くと、後輩達も待機しており、トイレ休憩も済ませたようだ。
 しかし、この世界の結婚式は変わってるよなぁ。
 前夜祭があるとか、俺がいた世界では考えられないやつだ。

「じゃあ、前夜祭の会場へ向かいましょうか」

 イリアさんの号令で、俺達は彼女についていく形で目的の前夜祭の会場に向かった。
 ちなみに、前夜祭の会場はそのまま明日の式場にもなるようだ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ここが、前夜祭の会場です。  明日に式を挙げる式場でもあります」

「すごく……大きいです」

「いや、誤解を招く発言はやめようか……、ひなた?」

「じょ、ジョークだよ! ジョークだから!!」

「ちょっと自重しようか、ひなたちゃん。 胡桃ちゃんやエミリーさんがいる前なんだから」

「ごめんなさい……」

 たどり着いた場所は現代世界で言うドーム球場並みに大きかった。
 ひなたの誤解を招く発言に思わずツッコミを入れたが、流石は魔族。
 結婚式を挙げる会場もかなりの贅沢だ…。

「そういえば、私たちは式を挙げてなかったね」

「色々ありすぎたからなぁ……。 ガイアブルクに式場になれる場所がなさげだったし」

「もし、必要でしたらこちらで式場を手配しますが?」

「余裕があったらお願いします」

 今の所、ガルタイトからの脱走勇者に神経を使わないといけない状況なので、余裕は持てない。
 なので、イリアさんの提案には余裕があるときにお願いすることにした。

「では、中に入りましょうか」

 イリアさんの先導で、会場の中に入っていく。
 受付で招待状を見せ、そのまま会場となる大広間に案内された。
 ここで、今日は結婚前夜祭、明日には式を行うようだ。

「すごい広いですね……。 ここで式を挙げられるなら最高でしょうね」

「だなぁ……」

「そうだね。  アキト君の場合は、ボクを含めた倍の嫁がいるからね。  大所帯の結婚式にはもってこいの場所だね」

 クリスタの感想に、俺も同意する。
 エミリーも俺の嫁が今回の人の倍はいるから、ここなら結婚式をするのにうってつけだとも言っていた。
 後輩達もあまりの広さにキョロキョロする人を見かける。
 そんな中だった。

「七絵ちゃん、胡桃ちゃん!!」

 七絵と胡桃を呼ぶ一人の女の子の声が大広間に響き渡った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。  これが全ての始まりだった。 声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。  なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。 加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。  平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。 果たして、芳乃の運命は如何に?

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...