サモンブレイブ・クロニクル~無能扱いされた少年の異世界無双物語

イズミント(エセフォルネウス)

文字の大きさ
上 下
73 / 140
第4章 異世界動乱編

73 馬車内部の確認と出発

しおりを挟む
「これが魔導馬車の中か……」

「広いね。 椅子も折りたためるみたいだよ。 しかもフカフカだし」

「ゼイドラムの技術恐るべしだよなぁ」

 早速魔導馬車に乗った俺達は、まず中の確認を行った。
 まず内部は広く、椅子は折りたためる仕様で座り心地もいいらしい。
 この時点で、この世界におけるゼイドラムの技術力の恐ろしさを知った。

「あと、ちゃんとトイレのあるしシャワー室もあるね」

「トイレはまだしもシャワー室もか。 どうやって水を出してるんだろうな」

「水のマナタンクがここにあるみたい。 そこからシャワーやトイレの水が出るみたいだよ」

「すげぇな」

 まさか直にマナタンクを見る事になろうとは思わなかったな。
 マナタンク自体、アイリスから教えては貰ったが何というか、意味が分からないと言う感じだった。
 内容としてはミスリル製のタンク容器に特定の属性の魔力を注ぎ込むことで溜め込むことが出来るのだとか。
 説明して貰っても分からなかったものが、これを見てようやく理解できた。

「特にシャワー室は火属性と水属性のマナタンクがあるから、湯も出せるみたいだね」

 今回使われてるマナタンクは水属性と火属性。
 これは特にトイレとシャワーで使うための物だ。
 つまり、途中で町がない時に野宿する際にため込んだマナタンクを使うわけだ。
 今回はそれを魔導馬車に組み込み、目的の場所まで休むことなく走る際に日を跨ぐ時があった場合に利用する。
 丁度クレハ共和国からガイアブルクまでは通常の馬車で一週間かかるのを三日で走り切るように仕込んでるようなので、流石は馬型の魔導人形ゴーレムと言ったところか。

「クロウ中佐、これのメンテナンスは大丈夫なのですか?」

「10年はメンテナンス無しでも使える代物だ。 何かあれば呼んでくれれば転移で来るさ」

「それなら安心ですね」

 そして唯一の不安要素でもあったメンテナンスの件もどうやら10年はしなくても大丈夫のようで、それでも不安なら呼べば転移で来てくれるようだ。

「食料や日用品の詰め込み、完了しました」

「よし、それじゃあ出発しようかエミリー」

「うん」

「今回のクレハ共和国の解放戦は、君達のおかげだ。 後に改めてお礼をさせて貰いたい。 エリス王女から聞いたが、アキト君とクルミ君は【ガンナー】のジョブも持ってるそうだね」

「ええ、そうです」

「ならば、情勢が落ち着いた所でガイアブルク国王経由でゼイドラムに訪問を要請するかもしれない。 それだけは覚えておいてくれ」

「分かりました」

 見送りの際に、クロウ中佐からそう言われた。
 確かに【ガンナー】のジョブは基本的にはゼイドラムの国民しか持てないジョブだったはずだ。
 それを俺や胡桃が持ってるのだから、気にはなっていたのだろう。
 エリス王女から聞いたという事から、共有事項として俺や胡桃の持つジョブを伝えたのだろう。
 それに、銃はゼイドラムでしか手に入らないから、いつかは行かなければならなかったので、ぜひとも応じたいところだな。

「では、私も事後処理が終わったらガイアブルクへ戻るっス」

「父上には後で戻ると伝えておいてくれ」

「了解です」

 エリス王女やルーク王子もしばらくクレハに残る。
 他国の要人と連携して、事後処理に当たる模様だ。

「エミリー、向こうでも頑張って」

「うん、元気でねクレア。 また会おうね」

「アキト君……、エミリーを……よろしくね」

「ああ、任せてくれよ、クレア」

 そしてエミリーと親友だったクレアもしばしの別れを惜しんでいたが、俺にエミリーをよろしくと伝えてくれたのでそれにきちんと応えてやりたい。
 
「行き先、ガイアブルク城下町南門」

『リョウカイシマシタ。 タダチニソコヘムカイマス』

 ナビに行き先を伝えると、反応し魔導馬車は動き出した。
 すぐに加速し、クレアやエリス王女たちの姿は見えなくなった。
 本当に速いよな……。

「すごいね。 本当に揺れないよ」

「それに魔物や盗賊が結界に弾かれて吹っ飛ばされてる」

 暫く馬車の窓から景色を見たが、本当に悪道を走っても揺れないし、時折襲い掛かる魔物や盗賊を結界の力で弾くだけでなく、吹き飛ばしている。
 しかし、盗賊が吹っ飛ばされる恰好が、懐かしのレトロのサッカーゲームを思い出すなぁ。
 そんな中で、エミリーは俺に顔を向けてこう言った。

「ガイアブルクまでの三日間はボクとアキト君の二人きりだね」

「そうだな。 エミリー、せっかくだし……いいか?」

「うん♪ この三日間でたっぷりボクを愛してね」

 エミリーと馬車の二人きりだという事に意識してしまった俺は、エミリーに許可を求めた。
 彼女はそれを受け入れ、この三日間で彼女とあんな事やこんな事をしてたっぷり愛したのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。

つくも
ファンタジー
主人公——臼井影人(うすいかげと)は勉強も運動もできない、影の薄いどこにでもいる普通の高校生である。 そんな彼は、裏庭の掃除をしていた時に、影人とは対照的で、勉強もスポーツもできる上に生徒会長もしている——日向勇人(ひなたはやと)の勇者召喚に巻き込まれてしまった。 勇人は異世界に旅立つより前に、女神からチートスキルを付与される。そして、異世界に召喚されるのであった。 始まりの国。エスティーゼ王国で目覚める二人。当然のように、勇者ではなくモブキャラでしかない影人は用無しという事で、王国を追い出された。 だが、ステータスを開いた時に影人は気づいてしまう。影人が勇者が貰うはずだったチートスキルを全て貰い受けている事に。 これは勇者が貰うはずだったチートスキルを手違いで貰い受けたモブキャラが、世界を救う英雄譚である。 ※他サイトでも公開

処理中です...