サモンブレイブ・クロニクル~無能扱いされた少年の異世界無双物語

イズミント(エセフォルネウス)

文字の大きさ
上 下
71 / 140
第4章 異世界動乱編

71 エミリーの告白

しおりを挟む
「あ、アキト君」

「エミリー」

 エミリーを探しにフロントに向かおうとした最中のトイレ前でエミリーを見つけた。

「ひなた達から聞いたけど、話したいことがあるって……」

「うん、その前に先にトイレに行くから待っててくれる?」

「あ、ああ。 ごめん」

「気にしないで、じゃあ先にトイレに行くね」

 どうも宴が終わったようでトイレに行こうとしていた所だった。
 先にエミリーをトイレに行かせてから、俺のいる部屋に向かう。

「そういえば、ひなたちゃん達は?」

「先に転移アイテムでガイアブルクへ戻ったよ。 情報交換もしたいらしいし」

「何があったんだろうね」

「エミリーの用事が済んだら話すよ」

「そうだったね」

 部屋に入り、エミリーを隣に座らせる。
 そして、エミリーが話したいことを聞いてあげる事にした。

「まず、ボクはガイアブルクに移住することにしたんだ」

「ガイアブルクに移住?」

「うん。 実を言うとボクは孤児なんだよ」

「孤児!? って事は既に両親は……!?」

「既にいないよ。 孤児院の院長曰く、ボクは捨て子でね。 エミリーっていう名前も院長が付けてくれた名前なんだよ」

 エミリーにそんな過去があったなんて……。
 捨て子の孤児で、ずっと孤児院で育ってきた過去をここで聞く事になるとは。

「孤児院で育った後は冒険者になったんだよ。 少しでも孤児院に貢献したいってね。 でも、少しして今は壊滅した【漆黒】という盗賊組織に孤児院を破壊されて院長や他の子たちは皆殺しにされたんだ」

「エミリー……」

「ショックで泣いたよ。 居場所も失ったんだし。 そこで声を掛けてくれたのがカイゼルさんや友人のクレア達なんだよ」

 あの【漆黒】に彼女の居場所であった孤児院が壊されて、院長たちが皆殺しにされたって……。
 初めて知ったよ、そんな事。
 それにも関わらず、憎しみを抱かずにいつものように戦えていたのは、カイゼルさん達の支えがあったんだろうな。

「だから、ボクはその間はガイアブルクに移住するためのお金をこっそり溜めていたんだよ。 いざという時にね」

「そうだったのか」

「うん。 で、ついさっきエリス王女様経由で移住の許可が下りてね。 ようやく移住ができるんだよ」

 エリス王女経由でエミリーがガイアブルクへの移住が認められたのは今さっきらしい。
 彼女はそこでいい笑顔になったのだが……。

「それでね、ボクは君に言おうと思ってた事があるんだよ。 前もってひなたちゃん達にも伝えたけど」

「ひなた達にも……」

 その際にエミリーは俺に何かを言おうとしていたが、事前にひなた達にも相談していたそうだ。
 そしてあの時の胡桃の言葉を思い出し、全てを察した。

「ガイアブルクに移住したらね、ボクはアキト君のお嫁さんの一人になりたいんだよ」

 ここでエミリーからの告白がきた。
 彼女も俺の嫁の一人になりたいと……そう言ったのだ。

「あの時の町巡りの時に、ボクはアキト君と一緒に居る時間がとてもとても楽しかったんだよ。 用事が終わって帰った時にその思いが強くなってね……。 今回の依頼を機に打ち明けようと思ったんだ」

 バーサクバッファローの時に一緒に町巡りをした際にエミリーは俺と一緒に居る時間が楽しかったそうだ。
 ヘキサ公国に帰った時にその思いが強まったようで、今回の依頼を機に俺に打ち明けようとしたのか。
 そこまで俺の事が……。
 確かにエミリーは一個年上とは思えない気さくさがあり、話しやすかった感じがあった。
 同時にその思いも強まったのは事実だろう。
 前の世界だったら、浮気やら不倫になるが、ガイアブルクの制度なら問題はないのだろう。

「いいよ。 その申し出……受け入れるよ。 よろしくな、エミリー」

「やったぁ♪ これからもよろしくね、アキト君♪」

 俺はエミリーからの告白を受け入れた。
 喜びの余り、抱きついてくるエミリーはかなり可愛くて、胸の感触も最高だった。

 こうして、また一人俺の嫁となる者が増えたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。

つくも
ファンタジー
主人公——臼井影人(うすいかげと)は勉強も運動もできない、影の薄いどこにでもいる普通の高校生である。 そんな彼は、裏庭の掃除をしていた時に、影人とは対照的で、勉強もスポーツもできる上に生徒会長もしている——日向勇人(ひなたはやと)の勇者召喚に巻き込まれてしまった。 勇人は異世界に旅立つより前に、女神からチートスキルを付与される。そして、異世界に召喚されるのであった。 始まりの国。エスティーゼ王国で目覚める二人。当然のように、勇者ではなくモブキャラでしかない影人は用無しという事で、王国を追い出された。 だが、ステータスを開いた時に影人は気づいてしまう。影人が勇者が貰うはずだったチートスキルを全て貰い受けている事に。 これは勇者が貰うはずだったチートスキルを手違いで貰い受けたモブキャラが、世界を救う英雄譚である。 ※他サイトでも公開

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

処理中です...