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第4章 異世界動乱編

71 エミリーの告白

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「あ、アキト君」

「エミリー」

 エミリーを探しにフロントに向かおうとした最中のトイレ前でエミリーを見つけた。

「ひなた達から聞いたけど、話したいことがあるって……」

「うん、その前に先にトイレに行くから待っててくれる?」

「あ、ああ。 ごめん」

「気にしないで、じゃあ先にトイレに行くね」

 どうも宴が終わったようでトイレに行こうとしていた所だった。
 先にエミリーをトイレに行かせてから、俺のいる部屋に向かう。

「そういえば、ひなたちゃん達は?」

「先に転移アイテムでガイアブルクへ戻ったよ。 情報交換もしたいらしいし」

「何があったんだろうね」

「エミリーの用事が済んだら話すよ」

「そうだったね」

 部屋に入り、エミリーを隣に座らせる。
 そして、エミリーが話したいことを聞いてあげる事にした。

「まず、ボクはガイアブルクに移住することにしたんだ」

「ガイアブルクに移住?」

「うん。 実を言うとボクは孤児なんだよ」

「孤児!? って事は既に両親は……!?」

「既にいないよ。 孤児院の院長曰く、ボクは捨て子でね。 エミリーっていう名前も院長が付けてくれた名前なんだよ」

 エミリーにそんな過去があったなんて……。
 捨て子の孤児で、ずっと孤児院で育ってきた過去をここで聞く事になるとは。

「孤児院で育った後は冒険者になったんだよ。 少しでも孤児院に貢献したいってね。 でも、少しして今は壊滅した【漆黒】という盗賊組織に孤児院を破壊されて院長や他の子たちは皆殺しにされたんだ」

「エミリー……」

「ショックで泣いたよ。 居場所も失ったんだし。 そこで声を掛けてくれたのがカイゼルさんや友人のクレア達なんだよ」

 あの【漆黒】に彼女の居場所であった孤児院が壊されて、院長たちが皆殺しにされたって……。
 初めて知ったよ、そんな事。
 それにも関わらず、憎しみを抱かずにいつものように戦えていたのは、カイゼルさん達の支えがあったんだろうな。

「だから、ボクはその間はガイアブルクに移住するためのお金をこっそり溜めていたんだよ。 いざという時にね」

「そうだったのか」

「うん。 で、ついさっきエリス王女様経由で移住の許可が下りてね。 ようやく移住ができるんだよ」

 エリス王女経由でエミリーがガイアブルクへの移住が認められたのは今さっきらしい。
 彼女はそこでいい笑顔になったのだが……。

「それでね、ボクは君に言おうと思ってた事があるんだよ。 前もってひなたちゃん達にも伝えたけど」

「ひなた達にも……」

 その際にエミリーは俺に何かを言おうとしていたが、事前にひなた達にも相談していたそうだ。
 そしてあの時の胡桃の言葉を思い出し、全てを察した。

「ガイアブルクに移住したらね、ボクはアキト君のお嫁さんの一人になりたいんだよ」

 ここでエミリーからの告白がきた。
 彼女も俺の嫁の一人になりたいと……そう言ったのだ。

「あの時の町巡りの時に、ボクはアキト君と一緒に居る時間がとてもとても楽しかったんだよ。 用事が終わって帰った時にその思いが強くなってね……。 今回の依頼を機に打ち明けようと思ったんだ」

 バーサクバッファローの時に一緒に町巡りをした際にエミリーは俺と一緒に居る時間が楽しかったそうだ。
 ヘキサ公国に帰った時にその思いが強まったようで、今回の依頼を機に俺に打ち明けようとしたのか。
 そこまで俺の事が……。
 確かにエミリーは一個年上とは思えない気さくさがあり、話しやすかった感じがあった。
 同時にその思いも強まったのは事実だろう。
 前の世界だったら、浮気やら不倫になるが、ガイアブルクの制度なら問題はないのだろう。

「いいよ。 その申し出……受け入れるよ。 よろしくな、エミリー」

「やったぁ♪ これからもよろしくね、アキト君♪」

 俺はエミリーからの告白を受け入れた。
 喜びの余り、抱きついてくるエミリーはかなり可愛くて、胸の感触も最高だった。

 こうして、また一人俺の嫁となる者が増えたのだった。
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