サモンブレイブ・クロニクル~無能扱いされた少年の異世界無双物語

イズミント(エセフォルネウス)

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第4章 異世界動乱編

67 クレハ解放戦その3~いざ塔内部へ~

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「あ、アキトくん達が来た」

「おーい、こっちっスよー」

 俺達が首都入り口の門に向けて走ってる時に、二人の影が見えた。
 エミリーとエリス王女だ。

「ホムンクルスの兵士、結構引き付けることが出来たみたいっスね」

「ああ、占めて1500位でした。 胡桃の召喚魔法のおかげで思ったより早く終われました」

「胡桃ちゃんもよく頑張ったね」

「んっ」

 エリス王女と俺が状況を報告してる間に、エミリーはサクラの背に乗っている胡桃を労っていた。
胡桃も小さな体をふんだんにドヤ顔だ。

「そっちはどうなってます?」

「国民の方は魔術師の【スリープ】で眠らせて、仮設ベースに運んでます。 かなりの人数が兵士に仕立てられていたようっスよ」

 やはり、多くの国民が恐怖政治の下で強制徴兵をさせられていたわけか。

「他の冒険者や兵士たちは?」

「国民に避難を促しつつ、首都の官邸の役割を持つあの塔へ向けて突撃中っス」

「なら、俺達も早く行った方がいいな」

「そうだね、道中はなんとかなっても塔の前で何か仕込みがあるかもしれないし」

「なら急いだほうがいいかも」

「くるみも同意……」

 俺とひなたの発言に、由奈と胡桃も同意する。

「では、俺達も塔を目指して突っ切ります」

「気を付けてね。 ボク達も魔力が回復したらすぐに行くから」

「念の為、私も各チェックが終わり次第駆けつけます。 ご武運を」

「では、行ってきます」

 俺達はエリス王女とエミリー達に見送られる形で先に塔に向かっている冒険者や兵士たちに追いつくために塔に向けて走り始めた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「粗方、避難も終えてるみたいだな」

「そうだね、ホムンクルスの兵士はほぼ私たちがおびき寄せたからね。 後は塔の中にいる兵士だと思うよ」

「あ、見えて来た」

 しばらく首都の街中を走っていると、塔の入り口にいる冒険者や兵士たちが見えた。
 やはりホムンクルスの兵士が塔の前に立ちはだかっていたのか、入り口付近で戦っていた。

「あのホムンクルスの兵士、質が違うね」

「ああ、多分ゲスーの手によって強化された奴じゃないか?」

「だったら、早く駆けつけよう。 いくらあの人たちでも強化されたホムンクルス兵相手じゃ」

「よし、ブーストを使うか。 早い所援護に向かわないと。 アルト達もいいな?」

『委細承知』

『わかりましたわ。 胡桃様、しっかり捕まってくださいね』

「んっ」

 俺達はブーストを使い、いち早く戦場になっている塔の入り口前に向かう。
 やはり、苦戦していた。
 兵士たちの数人が重体になっており、他の人がポーションを飲ませてもなかなか回復しないようだ。
 俺は剣を構え、密かに魔法を流し込む。
 そして、それをホムンクルスの兵士の一部の人数を一振りで薙ぎ払う。

 すると、斬りつけた場所から氷が発生し、全身を凍り付かせた。
 そう、ぶっつけ本番で剣に氷の魔法を流し込んで魔法剣にしたのだ。

 氷像と化した兵士を他の冒険者が豪快に打ち砕き、粉々にしていた。

「暁斗君、今のは一体……?」

「ああ、剣に氷の魔法を付与してその状態で相手に斬りつけたんだ。 上手くいってよかったよ」

「移動しながらその発想をするなんて……暁斗君ってすごすぎるね」

「さすが……」

『だが、それでこそ我が主だ。 ここの兵士を減らせば塔内に侵入できるからな』

 ひなた達も臨戦態勢になり、兵士に斬りかかる。
 強化された存在といえど、ひなたと由奈のコンビネーション攻撃の前に成すすべはない。
 その間に重体の兵士の元へ向かう。

「あ、あなたは……?」

「今は静かに。 傷が広がりますから。 今、治します」

 そう言って、俺は重体の兵士たちにまとめて【メガケアレス】を掛ける。
 するとみるみるうちに傷が塞がっていく。

「こ、これは……!」

「これで傷は治ったと思います。 体力は流石に戻しきれませんでしたが」

「い、いえ、ありがとうございます! 塔の中から出て来た兵士に対処しきれなく思いっきり斬られましたから」

「とにかく今は休むか後方支援に徹してください。 俺達は塔の内部に入りますから」

「分かりました、ご武運を」

 回復したての兵士と話した俺はひなた達と合流する。

「待たせた!」

「大丈夫、こっちも兵士は粗方片付けたよ」

「ああ、君たちのおかげで予定より早く塔の内部に入り込める」

 ひなたの横にいる男性は、エリス王女から教えてもらった記憶上からしてゼイドラムの紋章を付けていた。

「私はクロウ・ルキウス。 ゼイドラムの軍人で階級は中佐だ。 君たちの活躍は聞いているよ」

 やはり軍人だった。
 クロウ中佐も俺達の事を耳にしていたそうだ。
多分、クリストフ国王が事前に伝えていたのかも知れないが。

「光栄です。 それで突入は?」

「ああ、私と君たちで行おうと思っている。 おそらくゲスーは呪術師の力を魔道具化して色々と仕込む可能性がある。 私もそうだが君たちも呪いに耐性を持っているだろう?」

「はい、私と由奈ちゃんは【勇者】であるため多くの呪いが効きませんし、暁斗君と胡桃ちゃんは『呪術師』の素質をも持ってるので呪いが効きません」

「なら、攻略もやりやすいな。 突入後は速効性を問われる。 手早く済ませよう」

「了解です」

 そして俺達はクロウ中佐と共に塔内部へと入り込んだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 塔内は小部屋と螺旋階段で構成されている。
 今は小部屋を無視して、一目散にゲスーの元へ走りぬく。

「やはり呪い系のトラップアイテムを仕込んでましたね」

「ああ、ペイン系とデバフ系のトラップが多いな。 だが、私たちではそれすら無意味だ。 効かないからな」

「発動が1回限りなのも助かってますね。 これなら私たちが強引に発動させれば二度と発動しませんから」

「うん、ひなたちゃんの言う通り、後の人が楽に入れるね」

 螺旋階段や小部屋に呪い系の罠が仕掛けられていたが、それらに関しては強引に発動させている。
 今のメンツは呪いが効かない面子で構成されているからだ。

 落とし穴とかのトラップを仕掛けないのは対策されてると思ってるのだろう。
 ならば呪い系という発想だったのだろうが。

 そうしているうちに最上階まで来た。
 最上階は大部屋で構成されており、そこが官邸としての機能を持っているという。

「着いたな。 この先にゲスー・オズワルドがいる。 準備はいいか?」

クロウ中佐の確認に俺達は頷く。
準備はOKというサインとして。

「では行くぞ!」

 クロウ中佐は掛け声とともにドアをバンと強引に開けた。

「くそっ、まさか呪いのトラップを突破するとは!」

「甘かったな。我々は呪いに耐性を持つのだぞ」

「くっ、だがお前たちはここで死んでもらう! 親友の為にもな!!」

 見た目、緑髪のイケメンだが中身は最悪の思想を持つゲスー・オズワルド。
 ついに俺達は目的の男と戦う時が来たのだ。


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