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第4章 異世界動乱編
64 解放戦前夜
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北地区の入り口の門にて、エリス王女ならびにルーク王子と合流し、クレハ共和国との境界線にある都市『ローザリア』に転移でやってきた。
そこにある貸切ったギルドハウスで、作戦会議が行われた。
ちなみにヘキサ公国からはエミリーとクレア、そしてリリアさんとリックさんが来た。
他の国家からの戦力もそろっているようで、特にゼイドラムからは銃やバズーカなどを引っ提げた兵士が来ていた。
作戦と言っても至極単純。
現在、クレハ共和国首都に突撃し、首都官邸の中にいるゲスー・オズワルドを殺害するという事だ。
しかし、その過程で懸念となるのが首都に住む国民。
ガルタイトから派遣されたホムンクルス兵士に混じって兵士として襲ってくる可能性があるという事が予測されるからだ。
幸い首都から離れた町や村はガルタイトの恐怖政治が行われていないが、油断はならない。
「じゃあ、今はクリスタって名乗ってる子から貰ったペンダントで、ホムンクルスの兵士をおびき寄せる事が可能なんだね?」
「ああ、どれだけの数が釣れるかは分からないが、やらないよりはマシかと」
「……なら、まずはそれを……使ってみよう。 成功したら……国民の方は睡眠魔法で眠らせる」
エミリーとクレアが、ペンダントの事を理解してもらったのは救いか。
眠らせてしばらくしたらリリアさんを始めとした回復術師で恐怖を取り除いてから目覚ましを掛けるという流れも試すことになった。
基本的に俺とひなたと由奈と胡桃は自由に動く形になる。
ただ、胡桃は基本的に後方で召喚魔法で援護してもらう事になる。
胡桃とも話し合ってそれを了承してくれた。
なお、宿もローザリアには5軒ほどあるが、全て貸切りとなっている。
俺達4人は、大部屋がある宿に泊まることになった。
そして、夜……。
「ふぅ……」
俺は一人眠れないでいた。
解放戦に近づく度に緊張が高まり、目が冴えてしまったのだ。
ひとまず木刀を持ち、ベランダに出て素振りをする。
ブン、ブンと上から下へ木刀を振る。
その繰り返しを気が付けば数百回はやっていた。
「にぃ……?」
声が聞こえたので振り返ってみたら胡桃がベランダのガラスを開けてこちらを覗いていた。
「起こしてしまったか?」
「ううん。 おトイレに行って再び寝ようと思ったら……にぃが寝てなかったから……」
「悪い……、緊張して眠れなくてな……」
「そなの……?」
胡桃が首を傾げる。
見た目が幼女なので仕草がなんか可愛い。
「だからって、こんな夜に素振りをするのもどうかと思うよ」
続いてひなたが出て来た。
おそらく素振りの音で目を覚ましたのだろうか?
だとしたら申し訳ない気持ちになる。
「まぁ、今までが殲滅戦ばっかりだったしね。 今回は解放戦なわけだからね。 勝手が違うためにやり辛いのもわかるよ」
「首都に住む国民が兵士として組み込まれる事もあり得るからな。 一応、ペンダントを貰ってるけど」
「それでも今の私たちが出来ることをするしかない。 そう割り切る事も必要だよ」
「ひなたは割り切ってるのか?」
「まぁね。 私はどっちかと言うと殲滅戦のやり方でやっていくしかないからね」
ひなたは確かに敵対する相手には容赦しないという一面をこの世界に来てからはよく感じ取っている。
ガルタイト国の奴らが振舞った内容が原因だろうが。
今回も戦況においては、そうするしかないと割り切ってるのかもしれない。
危険な感覚だが、確かにひなたは精神面でも強いよな。
「くるみも……怖いけど、これを乗り越えないと……いつか来る追手に……対応できないから」
「胡桃……」
「それに……、にぃの役に立ちたいから……」
一生懸命に、俺を見上げて伝えた胡桃の言葉。
何気に健気な彼女に優しく抱き上げ、頭を撫でた。
「ありがとう、おかげで気が楽になったよ」
「ん……♪」
抱きかかえられた胡桃はご機嫌な様子で、俺の頬っぺたを頬ずりしてくる。
ホントに仕草が可愛い奴め。
「じゃあ、とりあえず寝てしまおうか。 暁斗君は胡桃ちゃんと一緒に寝るようにね」
「やれやれ、仕方がないな」
俺はひなたに促されて、胡桃を抱えたまま部屋に戻る。
そして、胡桃と一緒のベッドで寝ることとなった。
小さい体でギュっとしながら眠る彼女の姿に癒されながら俺も眠りについた。
そこにある貸切ったギルドハウスで、作戦会議が行われた。
ちなみにヘキサ公国からはエミリーとクレア、そしてリリアさんとリックさんが来た。
他の国家からの戦力もそろっているようで、特にゼイドラムからは銃やバズーカなどを引っ提げた兵士が来ていた。
作戦と言っても至極単純。
現在、クレハ共和国首都に突撃し、首都官邸の中にいるゲスー・オズワルドを殺害するという事だ。
しかし、その過程で懸念となるのが首都に住む国民。
ガルタイトから派遣されたホムンクルス兵士に混じって兵士として襲ってくる可能性があるという事が予測されるからだ。
幸い首都から離れた町や村はガルタイトの恐怖政治が行われていないが、油断はならない。
「じゃあ、今はクリスタって名乗ってる子から貰ったペンダントで、ホムンクルスの兵士をおびき寄せる事が可能なんだね?」
「ああ、どれだけの数が釣れるかは分からないが、やらないよりはマシかと」
「……なら、まずはそれを……使ってみよう。 成功したら……国民の方は睡眠魔法で眠らせる」
エミリーとクレアが、ペンダントの事を理解してもらったのは救いか。
眠らせてしばらくしたらリリアさんを始めとした回復術師で恐怖を取り除いてから目覚ましを掛けるという流れも試すことになった。
基本的に俺とひなたと由奈と胡桃は自由に動く形になる。
ただ、胡桃は基本的に後方で召喚魔法で援護してもらう事になる。
胡桃とも話し合ってそれを了承してくれた。
なお、宿もローザリアには5軒ほどあるが、全て貸切りとなっている。
俺達4人は、大部屋がある宿に泊まることになった。
そして、夜……。
「ふぅ……」
俺は一人眠れないでいた。
解放戦に近づく度に緊張が高まり、目が冴えてしまったのだ。
ひとまず木刀を持ち、ベランダに出て素振りをする。
ブン、ブンと上から下へ木刀を振る。
その繰り返しを気が付けば数百回はやっていた。
「にぃ……?」
声が聞こえたので振り返ってみたら胡桃がベランダのガラスを開けてこちらを覗いていた。
「起こしてしまったか?」
「ううん。 おトイレに行って再び寝ようと思ったら……にぃが寝てなかったから……」
「悪い……、緊張して眠れなくてな……」
「そなの……?」
胡桃が首を傾げる。
見た目が幼女なので仕草がなんか可愛い。
「だからって、こんな夜に素振りをするのもどうかと思うよ」
続いてひなたが出て来た。
おそらく素振りの音で目を覚ましたのだろうか?
だとしたら申し訳ない気持ちになる。
「まぁ、今までが殲滅戦ばっかりだったしね。 今回は解放戦なわけだからね。 勝手が違うためにやり辛いのもわかるよ」
「首都に住む国民が兵士として組み込まれる事もあり得るからな。 一応、ペンダントを貰ってるけど」
「それでも今の私たちが出来ることをするしかない。 そう割り切る事も必要だよ」
「ひなたは割り切ってるのか?」
「まぁね。 私はどっちかと言うと殲滅戦のやり方でやっていくしかないからね」
ひなたは確かに敵対する相手には容赦しないという一面をこの世界に来てからはよく感じ取っている。
ガルタイト国の奴らが振舞った内容が原因だろうが。
今回も戦況においては、そうするしかないと割り切ってるのかもしれない。
危険な感覚だが、確かにひなたは精神面でも強いよな。
「くるみも……怖いけど、これを乗り越えないと……いつか来る追手に……対応できないから」
「胡桃……」
「それに……、にぃの役に立ちたいから……」
一生懸命に、俺を見上げて伝えた胡桃の言葉。
何気に健気な彼女に優しく抱き上げ、頭を撫でた。
「ありがとう、おかげで気が楽になったよ」
「ん……♪」
抱きかかえられた胡桃はご機嫌な様子で、俺の頬っぺたを頬ずりしてくる。
ホントに仕草が可愛い奴め。
「じゃあ、とりあえず寝てしまおうか。 暁斗君は胡桃ちゃんと一緒に寝るようにね」
「やれやれ、仕方がないな」
俺はひなたに促されて、胡桃を抱えたまま部屋に戻る。
そして、胡桃と一緒のベッドで寝ることとなった。
小さい体でギュっとしながら眠る彼女の姿に癒されながら俺も眠りについた。
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