58 / 140
第4章 異世界動乱編
58 召喚された中学生との会話その2
しおりを挟む
「あたしたちがガルタイト国から脱出した後は、無我夢中で走ってました。 道中に出くわした魔物も兵士から奪った剣のおかげで難なく切り抜けました。 ある程度走った後は、無能扱いされた3人の為に、休憩挟んでそのまま真っ直ぐ進んでましたが、途中で厄介な魔物に出会ってしまいました」
「それが、サイクロプスなわけか」
「はい。 今のボク達では兵士から奪った剣をもってしても歯が立たなかった為、結局逃げるしかありませんでした」
心愛に続いて、茶髪セミロングでボクっ娘少女の松原 湊が、サイクロプスと出会った直後の流れを話してくれた。
戦い慣れない中で、あのBランクの魔物と出会ってしまったのか。
逃げるしか選択肢がなかったのも頷けるが……。
「当然ながら、あのサイクロプスはボク達を追いかけて来ました。 しかも、二匹というオマケ付きで。 【グレートブースター】を掛けながら必死に逃げましたが、友達がバランスを崩して転倒したんです」
「私が胡桃を背負ったままバランスを崩したせいでサイクロプスに追い付かれ、死を覚悟しました。 その時にあなた達が助けに来てくれました。 本当にありがとうございます」
当時、俺達がサイクロプスとの間に入り、ひなたに介抱された少女、楠 七絵が、湊の話の後で改めてお礼を言ってきた。
「とりあえず君らの今後だけど……、アイリス、国王への報告は終わったんだっけ?」
「うん。 お兄ちゃん達と同じくガイアブルクの国民として迎えたいって。 人数が多いから手続きは明日になっちゃうけど。 とりあえず、エリスお姉ちゃん…おっと、エリス王女が予備として購入した別荘が、ここのすぐ隣にあるからそこを使っていいよ。 エリス王女からも許可済みだから大丈夫」
「との事だ。 君らが良ければガイアブルクの国民としてここに居場所を構える事ができるが、どうだろう?」
「勿論です! みんなもそうだよね?」
「ああ、これ以上の逃亡は懲り懲りだからな。 それに先輩達がいる。 強くなるためのアドバイスもくれる筈だ」
「ボクも受け入れます」
「おれも!」
「あたしも!! 逃げ回るよりここでどっしり構えた方が気が楽だよ」
みんなが提案を受け入れる姿勢を示してくれた。
とにもかくにも、彼らに逃亡生活を強いるより居場所を確保する方がはるかにいいからな。
「それじゃ、みんなを隣の別荘に案内しよう」
アイリスとひなたが立ち上がり、みんなを案内しようとした矢先、突然誰かが俺の服の裾を握ってきた。
振り向くと、フェアリーキャットのモチを抱えた少女……来宮 胡桃が俺の服の裾を握っていた。
こうして見てると背丈小さいな。
まるで幼女だ。
「胡桃?」
気付いた七絵も声を掛ける。
暫く沈黙が続いていたが、ようやく胡桃が口を開いた。
「にぃと一緒にいたい……」
「なぁーご」
胡桃が口にした内容にみんなが衝撃を受けていた。
モチもそれに合わせるかのように鳴く。
ひなたと由奈は、『あー、これはアレだなぁ』と微笑ましい表情をしていた。
「えっと……、理由を聞いていいかな?」
「あの怖い魔物から助けて……くれたから……」
俯きながら理由を述べる胡桃。
その身体は、恐怖を思い出したのか、震えていた。
そこに友理奈が割って入って話し出した。
「多分ですが、暁斗先輩が突撃したサイクロプスが胡桃を狙ってたんだと思います。そこに割って入った暁斗先輩の姿に一目惚れしたんじゃないかと」
あ、あれで一目惚れっすか……。
ひなた、由奈、クリスタがうんうんと頷いていた。
「お兄ちゃん、これは流石に傍にいてあげるしかないよ」
アイリスもこう言ってくる。
なんか知らない間にハーレム要因が増えてきている気がするんだが……。
相手が望んでるなら……仕方がないか。
「分かった。 一緒に居てもいいよ」
「ん……っ♪」
俺が許可すると、胡桃は嬉しそうに俺に抱き着いてきた。
そして、これでもかという程に頬ずりしてくる。
「よっぽど先輩が気に入ったのね。 すみませんが胡桃をお願いします」
七絵が改めて、俺に胡桃をよろしくと言ってきた。
きっと、七絵が彼女にとっての数少ない友達なのだろうな。
「ああ、明日の手続きはこれから君が寝泊まりする別荘にて行うからその時は彼女を連れてくるよ」
「はい、わかりました」
「じゃあ、隣の別荘に案内しようか。 お兄ちゃんと由奈お姉ちゃんは胡桃ちゃんをお願いね」
アイリスの一言の後、他のみんなを連れて隣の別荘へ向かって行った。
残されたのは、俺と由奈。
そして、俺の胸元に頬ずりし続ける胡桃だ。
「よっぽど甘えてくれるお父さんやお兄ちゃんがいなかったんだね」
「多分な……。 みんながいた時はあまり話さなかったし、常時緊張してた感じだったしなぁ」
胡桃の頭を撫でながら物思いに更けていく。
国王には胡桃の件も話さないといけなくなったな。
それも明日の手続きの時にするからいいとして……。
「まぁ、これからもよろしくな、胡桃」
「んっ♪ よろしく……にぃ、と、ゆなねぇ」
「うん、胡桃ちゃんよろしくね」
こうして、今回の出来事はひとまずの終わりを迎えた。
なお、今のやりとりを陰からアルト達に見られていたという事を知ったのは、一週間経ってからだったのはまた別の話……。
「それが、サイクロプスなわけか」
「はい。 今のボク達では兵士から奪った剣をもってしても歯が立たなかった為、結局逃げるしかありませんでした」
心愛に続いて、茶髪セミロングでボクっ娘少女の松原 湊が、サイクロプスと出会った直後の流れを話してくれた。
戦い慣れない中で、あのBランクの魔物と出会ってしまったのか。
逃げるしか選択肢がなかったのも頷けるが……。
「当然ながら、あのサイクロプスはボク達を追いかけて来ました。 しかも、二匹というオマケ付きで。 【グレートブースター】を掛けながら必死に逃げましたが、友達がバランスを崩して転倒したんです」
「私が胡桃を背負ったままバランスを崩したせいでサイクロプスに追い付かれ、死を覚悟しました。 その時にあなた達が助けに来てくれました。 本当にありがとうございます」
当時、俺達がサイクロプスとの間に入り、ひなたに介抱された少女、楠 七絵が、湊の話の後で改めてお礼を言ってきた。
「とりあえず君らの今後だけど……、アイリス、国王への報告は終わったんだっけ?」
「うん。 お兄ちゃん達と同じくガイアブルクの国民として迎えたいって。 人数が多いから手続きは明日になっちゃうけど。 とりあえず、エリスお姉ちゃん…おっと、エリス王女が予備として購入した別荘が、ここのすぐ隣にあるからそこを使っていいよ。 エリス王女からも許可済みだから大丈夫」
「との事だ。 君らが良ければガイアブルクの国民としてここに居場所を構える事ができるが、どうだろう?」
「勿論です! みんなもそうだよね?」
「ああ、これ以上の逃亡は懲り懲りだからな。 それに先輩達がいる。 強くなるためのアドバイスもくれる筈だ」
「ボクも受け入れます」
「おれも!」
「あたしも!! 逃げ回るよりここでどっしり構えた方が気が楽だよ」
みんなが提案を受け入れる姿勢を示してくれた。
とにもかくにも、彼らに逃亡生活を強いるより居場所を確保する方がはるかにいいからな。
「それじゃ、みんなを隣の別荘に案内しよう」
アイリスとひなたが立ち上がり、みんなを案内しようとした矢先、突然誰かが俺の服の裾を握ってきた。
振り向くと、フェアリーキャットのモチを抱えた少女……来宮 胡桃が俺の服の裾を握っていた。
こうして見てると背丈小さいな。
まるで幼女だ。
「胡桃?」
気付いた七絵も声を掛ける。
暫く沈黙が続いていたが、ようやく胡桃が口を開いた。
「にぃと一緒にいたい……」
「なぁーご」
胡桃が口にした内容にみんなが衝撃を受けていた。
モチもそれに合わせるかのように鳴く。
ひなたと由奈は、『あー、これはアレだなぁ』と微笑ましい表情をしていた。
「えっと……、理由を聞いていいかな?」
「あの怖い魔物から助けて……くれたから……」
俯きながら理由を述べる胡桃。
その身体は、恐怖を思い出したのか、震えていた。
そこに友理奈が割って入って話し出した。
「多分ですが、暁斗先輩が突撃したサイクロプスが胡桃を狙ってたんだと思います。そこに割って入った暁斗先輩の姿に一目惚れしたんじゃないかと」
あ、あれで一目惚れっすか……。
ひなた、由奈、クリスタがうんうんと頷いていた。
「お兄ちゃん、これは流石に傍にいてあげるしかないよ」
アイリスもこう言ってくる。
なんか知らない間にハーレム要因が増えてきている気がするんだが……。
相手が望んでるなら……仕方がないか。
「分かった。 一緒に居てもいいよ」
「ん……っ♪」
俺が許可すると、胡桃は嬉しそうに俺に抱き着いてきた。
そして、これでもかという程に頬ずりしてくる。
「よっぽど先輩が気に入ったのね。 すみませんが胡桃をお願いします」
七絵が改めて、俺に胡桃をよろしくと言ってきた。
きっと、七絵が彼女にとっての数少ない友達なのだろうな。
「ああ、明日の手続きはこれから君が寝泊まりする別荘にて行うからその時は彼女を連れてくるよ」
「はい、わかりました」
「じゃあ、隣の別荘に案内しようか。 お兄ちゃんと由奈お姉ちゃんは胡桃ちゃんをお願いね」
アイリスの一言の後、他のみんなを連れて隣の別荘へ向かって行った。
残されたのは、俺と由奈。
そして、俺の胸元に頬ずりし続ける胡桃だ。
「よっぽど甘えてくれるお父さんやお兄ちゃんがいなかったんだね」
「多分な……。 みんながいた時はあまり話さなかったし、常時緊張してた感じだったしなぁ」
胡桃の頭を撫でながら物思いに更けていく。
国王には胡桃の件も話さないといけなくなったな。
それも明日の手続きの時にするからいいとして……。
「まぁ、これからもよろしくな、胡桃」
「んっ♪ よろしく……にぃ、と、ゆなねぇ」
「うん、胡桃ちゃんよろしくね」
こうして、今回の出来事はひとまずの終わりを迎えた。
なお、今のやりとりを陰からアルト達に見られていたという事を知ったのは、一週間経ってからだったのはまた別の話……。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる