サモンブレイブ・クロニクル~無能扱いされた少年の異世界無双物語

イズミント(エセフォルネウス)

文字の大きさ
上 下
57 / 140
第4章 異世界動乱編

57 召喚された中学生との会話その1

しおりを挟む
 ガイアブルク王都の西地区のアイリスの家。
 そこの3階にある大広間にガルタイトからここまで走ってきた吾妻中学の少年少女達と対面した。
 何人かは緊張しており、トイレに行きたそうな人もいたので、アイリスに案内させた。
 トイレから戻ってきたところで、話を始めることにしよう。

「とりあえず、リラックスして欲しい。 ガイアブルク王国の国王には報告するけど、それで最悪な形にはならないから」

 俺がそう言った所でトイレに行っていた人達と共にアイリスが戻ってきた。

「じゃあ、みんな揃ったところで自己紹介といこうか」

 そしてこの場にいる全員の自己紹介を行った。
 人見知りなのか対人恐怖症なのか、あまり喋れなかった子もいたが、フェアリーキャットのモチを出しモフモフさせたおかげで名前だけは聞き取ることができた。

「それで、ここに逃げ込むまでの経緯を教えてくれないかな?」

「わかりました。 私たちのクラスはここにいるグループとそれ以外のグループに二分されてました」

 クラスの中で二分されてた?
 ということはクラスの雰囲気はよくなかったのか?

「それ程に雰囲気は良くなかったの?」

「はい、もう片方のグループは安川やすかわ まがつをリーダーとしたいわば【陽キャ】グループですから。 安川は政治家の息子という事もあって周囲は逆らえなかったそうです」

 クラスが二分したことをその内容を説明するのは、小高こだか 友理奈ゆりなという眼鏡少女。
 そして、そのクラスが政治家の息子を入学させた事で雰囲気が悪くなったのだとか。

「ひどいな。 ひょっとしてもみ消しとか?」

「うん、隣のクラスの子がいじめられたんだけど、証拠を持ってももみ消されるだけでなく、二度と学校に来させないように報復もしてくるんだよ。 あの時はホントにひどかった。 担任もあいつの言いなりだし」

 そこまでするのかと怒りたくなるくらいの内容をぶちまけたのは、雨宮あまみや |柚希(ゆずき)という小柄なポニテ少女。
 横では男子生徒の一人、眼鏡イケメンの国綱くにづな 伸晃のぶてるがうんうんど頷いている。

「政治家の息子なら私立の中学とかに行けるんじゃ?」

「多分、公立の中学を支配したいんだと思います。 あいつは支配欲が強いから、吾妻中学をターゲットにしたんだと思う」

 本当に酷い話だ。
 自分の欲を満たすために取り巻きまで連れてクラスから支配しようとしてくるのか。
 俺達のクラスとほぼ変わらないよな……。 
 いや、俺達のクラスより酷いか。

「そんな嫌悪な雰囲気のまま、今日のホームルームを行おうとした矢先に突然、教室のドアと窓が開かなくなり、床下から発する光に飲み込まれました。 気付いた時にはすでに王城の中におり、そこがガルタイトという国だと知ったのは国王が現れた時でした。 多くの人は非難してました」

 召喚の経緯を話すのは、川内せんだい けいという男子生徒。
 俺達と同じパターンか。

「その後、目的を言われましたが、私たちは乗り気じゃなかった。 しかし、先ほどの安川を始めとした陽キャグループはやる気満々でしたよ」

 友理奈が続けて話した内容も、やはり似たようなものだった。
 展開も俺が味わった事を考えれば容易に想像できるものだった。

「その後、水晶による測定を行いましたが…ここにいる私たちのグループのうちの三人が勇者の素質を持たない…いわば『無能』のレッテルを貼られました」

「三人も!?」

 俺達の時は俺だけが無能扱いされたが、今回は三人もか。
 そりゃあ、ひなたが驚くわけだ。
 ちなみに無能とされた三人は、モチを絶賛モフモフ中の女子生徒の来宮きのみや 胡桃くるみ、同じく女子生徒の山科やましな 和香のどか、男子生徒の新津にいつ 幸村ゆきむららしい。

「その後が酷すぎました。 無能と判定された三人に対し、周囲が徹底的に罵ってきました。 当然三人は委縮し、兵士により殺処分されそうになったところで私たちは反逆しました」

「その時、【威圧】が掛かってたはずだ。 プレッシャーは感じなかったか?」

「感じてましたね、重圧が。 しかし、それ以前に仲間を……友達を見捨てられなかったんです」

「私が暁斗君を助けた時と同じ展開だったみたいだね。 アンという王女がいない以外は」

「そうなのですか? もしかしてひなた先輩達も?」

「ああ、君たちより先に俺達はガルタイトに召喚されたからね。 その時は俺だけが無能扱いにされたんだが」

「そう……だったのですね……」

 友理奈が話してくれた内容は、やはりというか俺達と同じ経緯だった。
 違うのは、アンという王女は魔王討伐部隊に組み込まれてこの場にいない事。
 ザナ王女もひなたによってろくに動けない形であるために出てこなかったのもあるか。

「あたしたちが兵士の剣を奪って殺した後、体調が崩れた三人を背負って走りました。 勇者の素質を持つみんなで【グレートブースター】を掛けてですけど」

次に話したのはショートカットの活発少女、茨木いばらぎ 心愛ここあ
 そしてその後に話された逃亡の時間は短いようで長い経験だったようだ……。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合 戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる 事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊 中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。 終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人 小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である 劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。 しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。 上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。 ゆえに彼らは最前線に配備された しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。 しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。 瀬能が死を迎えるとき とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...