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第4章 異世界動乱編
57 召喚された中学生との会話その1
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ガイアブルク王都の西地区のアイリスの家。
そこの3階にある大広間にガルタイトからここまで走ってきた吾妻中学の少年少女達と対面した。
何人かは緊張しており、トイレに行きたそうな人もいたので、アイリスに案内させた。
トイレから戻ってきたところで、話を始めることにしよう。
「とりあえず、リラックスして欲しい。 ガイアブルク王国の国王には報告するけど、それで最悪な形にはならないから」
俺がそう言った所でトイレに行っていた人達と共にアイリスが戻ってきた。
「じゃあ、みんな揃ったところで自己紹介といこうか」
そしてこの場にいる全員の自己紹介を行った。
人見知りなのか対人恐怖症なのか、あまり喋れなかった子もいたが、フェアリーキャットのモチを出しモフモフさせたおかげで名前だけは聞き取ることができた。
「それで、ここに逃げ込むまでの経緯を教えてくれないかな?」
「わかりました。 私たちのクラスはここにいるグループとそれ以外のグループに二分されてました」
クラスの中で二分されてた?
ということはクラスの雰囲気はよくなかったのか?
「それ程に雰囲気は良くなかったの?」
「はい、もう片方のグループは安川 凶をリーダーとしたいわば【陽キャ】グループですから。 安川は政治家の息子という事もあって周囲は逆らえなかったそうです」
クラスが二分したことをその内容を説明するのは、小高 友理奈という眼鏡少女。
そして、そのクラスが政治家の息子を入学させた事で雰囲気が悪くなったのだとか。
「ひどいな。 ひょっとしてもみ消しとか?」
「うん、隣のクラスの子がいじめられたんだけど、証拠を持ってももみ消されるだけでなく、二度と学校に来させないように報復もしてくるんだよ。 あの時はホントにひどかった。 担任もあいつの言いなりだし」
そこまでするのかと怒りたくなるくらいの内容をぶちまけたのは、雨宮 |柚希(ゆずき)という小柄なポニテ少女。
横では男子生徒の一人、眼鏡イケメンの国綱 伸晃がうんうんど頷いている。
「政治家の息子なら私立の中学とかに行けるんじゃ?」
「多分、公立の中学を支配したいんだと思います。 あいつは支配欲が強いから、吾妻中学をターゲットにしたんだと思う」
本当に酷い話だ。
自分の欲を満たすために取り巻きまで連れてクラスから支配しようとしてくるのか。
俺達のクラスとほぼ変わらないよな……。
いや、俺達のクラスより酷いか。
「そんな嫌悪な雰囲気のまま、今日のホームルームを行おうとした矢先に突然、教室のドアと窓が開かなくなり、床下から発する光に飲み込まれました。 気付いた時にはすでに王城の中におり、そこがガルタイトという国だと知ったのは国王が現れた時でした。 多くの人は非難してました」
召喚の経緯を話すのは、川内 啓という男子生徒。
俺達と同じパターンか。
「その後、目的を言われましたが、私たちは乗り気じゃなかった。 しかし、先ほどの安川を始めとした陽キャグループはやる気満々でしたよ」
友理奈が続けて話した内容も、やはり似たようなものだった。
展開も俺が味わった事を考えれば容易に想像できるものだった。
「その後、水晶による測定を行いましたが…ここにいる私たちのグループのうちの三人が勇者の素質を持たない…いわば『無能』のレッテルを貼られました」
「三人も!?」
俺達の時は俺だけが無能扱いされたが、今回は三人もか。
そりゃあ、ひなたが驚くわけだ。
ちなみに無能とされた三人は、モチを絶賛モフモフ中の女子生徒の来宮 胡桃、同じく女子生徒の山科 和香、男子生徒の新津 幸村らしい。
「その後が酷すぎました。 無能と判定された三人に対し、周囲が徹底的に罵ってきました。 当然三人は委縮し、兵士により殺処分されそうになったところで私たちは反逆しました」
「その時、【威圧】が掛かってたはずだ。 プレッシャーは感じなかったか?」
「感じてましたね、重圧が。 しかし、それ以前に仲間を……友達を見捨てられなかったんです」
「私が暁斗君を助けた時と同じ展開だったみたいだね。 アンという王女がいない以外は」
「そうなのですか? もしかしてひなた先輩達も?」
「ああ、君たちより先に俺達はガルタイトに召喚されたからね。 その時は俺だけが無能扱いにされたんだが」
「そう……だったのですね……」
友理奈が話してくれた内容は、やはりというか俺達と同じ経緯だった。
違うのは、アンという王女は魔王討伐部隊に組み込まれてこの場にいない事。
ザナ王女もひなたによってろくに動けない形であるために出てこなかったのもあるか。
「あたしたちが兵士の剣を奪って殺した後、体調が崩れた三人を背負って走りました。 勇者の素質を持つみんなで【グレートブースター】を掛けてですけど」
次に話したのはショートカットの活発少女、茨木 心愛。
そしてその後に話された逃亡の時間は短いようで長い経験だったようだ……。
そこの3階にある大広間にガルタイトからここまで走ってきた吾妻中学の少年少女達と対面した。
何人かは緊張しており、トイレに行きたそうな人もいたので、アイリスに案内させた。
トイレから戻ってきたところで、話を始めることにしよう。
「とりあえず、リラックスして欲しい。 ガイアブルク王国の国王には報告するけど、それで最悪な形にはならないから」
俺がそう言った所でトイレに行っていた人達と共にアイリスが戻ってきた。
「じゃあ、みんな揃ったところで自己紹介といこうか」
そしてこの場にいる全員の自己紹介を行った。
人見知りなのか対人恐怖症なのか、あまり喋れなかった子もいたが、フェアリーキャットのモチを出しモフモフさせたおかげで名前だけは聞き取ることができた。
「それで、ここに逃げ込むまでの経緯を教えてくれないかな?」
「わかりました。 私たちのクラスはここにいるグループとそれ以外のグループに二分されてました」
クラスの中で二分されてた?
ということはクラスの雰囲気はよくなかったのか?
「それ程に雰囲気は良くなかったの?」
「はい、もう片方のグループは安川 凶をリーダーとしたいわば【陽キャ】グループですから。 安川は政治家の息子という事もあって周囲は逆らえなかったそうです」
クラスが二分したことをその内容を説明するのは、小高 友理奈という眼鏡少女。
そして、そのクラスが政治家の息子を入学させた事で雰囲気が悪くなったのだとか。
「ひどいな。 ひょっとしてもみ消しとか?」
「うん、隣のクラスの子がいじめられたんだけど、証拠を持ってももみ消されるだけでなく、二度と学校に来させないように報復もしてくるんだよ。 あの時はホントにひどかった。 担任もあいつの言いなりだし」
そこまでするのかと怒りたくなるくらいの内容をぶちまけたのは、雨宮 |柚希(ゆずき)という小柄なポニテ少女。
横では男子生徒の一人、眼鏡イケメンの国綱 伸晃がうんうんど頷いている。
「政治家の息子なら私立の中学とかに行けるんじゃ?」
「多分、公立の中学を支配したいんだと思います。 あいつは支配欲が強いから、吾妻中学をターゲットにしたんだと思う」
本当に酷い話だ。
自分の欲を満たすために取り巻きまで連れてクラスから支配しようとしてくるのか。
俺達のクラスとほぼ変わらないよな……。
いや、俺達のクラスより酷いか。
「そんな嫌悪な雰囲気のまま、今日のホームルームを行おうとした矢先に突然、教室のドアと窓が開かなくなり、床下から発する光に飲み込まれました。 気付いた時にはすでに王城の中におり、そこがガルタイトという国だと知ったのは国王が現れた時でした。 多くの人は非難してました」
召喚の経緯を話すのは、川内 啓という男子生徒。
俺達と同じパターンか。
「その後、目的を言われましたが、私たちは乗り気じゃなかった。 しかし、先ほどの安川を始めとした陽キャグループはやる気満々でしたよ」
友理奈が続けて話した内容も、やはり似たようなものだった。
展開も俺が味わった事を考えれば容易に想像できるものだった。
「その後、水晶による測定を行いましたが…ここにいる私たちのグループのうちの三人が勇者の素質を持たない…いわば『無能』のレッテルを貼られました」
「三人も!?」
俺達の時は俺だけが無能扱いされたが、今回は三人もか。
そりゃあ、ひなたが驚くわけだ。
ちなみに無能とされた三人は、モチを絶賛モフモフ中の女子生徒の来宮 胡桃、同じく女子生徒の山科 和香、男子生徒の新津 幸村らしい。
「その後が酷すぎました。 無能と判定された三人に対し、周囲が徹底的に罵ってきました。 当然三人は委縮し、兵士により殺処分されそうになったところで私たちは反逆しました」
「その時、【威圧】が掛かってたはずだ。 プレッシャーは感じなかったか?」
「感じてましたね、重圧が。 しかし、それ以前に仲間を……友達を見捨てられなかったんです」
「私が暁斗君を助けた時と同じ展開だったみたいだね。 アンという王女がいない以外は」
「そうなのですか? もしかしてひなた先輩達も?」
「ああ、君たちより先に俺達はガルタイトに召喚されたからね。 その時は俺だけが無能扱いにされたんだが」
「そう……だったのですね……」
友理奈が話してくれた内容は、やはりというか俺達と同じ経緯だった。
違うのは、アンという王女は魔王討伐部隊に組み込まれてこの場にいない事。
ザナ王女もひなたによってろくに動けない形であるために出てこなかったのもあるか。
「あたしたちが兵士の剣を奪って殺した後、体調が崩れた三人を背負って走りました。 勇者の素質を持つみんなで【グレートブースター】を掛けてですけど」
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