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第3章 春日部由奈に救いの手を
35 薬草採取の最中に…
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新たな追手との戦いから、6日経過した。
俺達はいつものゆったりペースで冒険者としての活動をしていた。
俺は、現在【回復術師】、【テイマー】、【錬金術師】の素質を極めようとしてる最中だ。
その中で【テイマー】と【錬金術師】のレベルアップスピードが早いというのはアイリスの弁。
テイムした魔物は、クリストフ国王から支給された箱庭アイテムの中でゆったり暮らしている。
ちなみに、今まででテイムした魔物はスライム、タラウアバニー、フェアリーキャットの3種。
特にフェアリーキャットは、俺達の世界におけるマンチカンのような見栄えなので、アイリスやひなたにも可愛がられた。
依頼内容も一部踏み込んだものを引き受けた。
特に下水道の処理兼そこのモンスター退治は、テイムしたスライムのおかげであっさり達成した。
それらの報酬で得たお金の一部で新しい装備を購入したり、ポーションを買い、残りは生活のために使う事にしている。
幸い、あれから指名依頼は来てないので、思った以上にまったりできた。
そんな感じで過ごした6日間だった。
ただ、俺としては未だに気になる事はあった。
俺の数少ない女友達の春日部 由奈の事だ。
当時無能扱いされた際に、彼女の姿だけは見えていなかった。
というか、周囲の罵声に俺は混乱して周りが見えていなかったのだから、彼女がどうなっているかは分からない。
厄介な事に、ひなたは彼女の存在を忘れている節が見受けられるので、いつかは話さないといけない。
そして今日、新たな依頼を引き受けた。
黄薬草の採集依頼だ。
アイリスが言うには、黄薬草は解熱効果を持つ薬を調合するのに必要な材料らしい。
期限はないので、【鑑定】の再練習を兼ねてゆっくりやる事にした。
「あれが黄薬草の群生地…『イエローガーデン』か」
「ホントに名前通りに黄色まみれだね」
西地区の門から北へ30分歩いた先にそれはあった。
ここもかなりの近場だ。
かつての『ホワイトガーデン』もそうだったが、名前通りに黄色で埋め尽くされていた。
俺とひなたが、その光景を見て唖然としてる所にアイリスから声をかけられた。
「さぁ、早速黄薬草を20房分採集しよう。 鮮度レベルはB以上の物があったら採取してね」
白薬草と同じく鮮度レベルがB以上か…。
早速【鑑定】を使い黄薬草を鑑定する。
「うーん、ここら辺りは鮮度レベルがCばっかりだね」
ひなたが鑑定を使った付近の黄薬草は鮮度レベルがCばかり。
アイリスが鑑定したエリアもどうやら不調のようだ。
「今現在だとB以上は5房しか見つかってないな……」
「おかしいね。 サラトガさん曰く黄薬草は1年中生えててかつ鮮度もいいって言ってたけど……」
「時期が悪いんじゃないかな? まぁ、期限はないんだしゆっくりやっていこうよ」
「ひなたお姉ちゃんは気楽でいいねぇ」
いつも以上に黄薬草の鮮度が悪いせいで、採取は不調気味だがひなたの言う通り期限はないからゆっくりやっていくしかないだろう。
そう思いながら別の方角に顔を向けると、より違和感のある光景が見えた。
「アイリス、ひなた、あそこを見ろ」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「暁斗君、どうしたの? ってこれは!?」
アイリスとひなたは、俺が指した場所を見た。
そして、ひなたも違和感に気付き驚いた。
その後、三人でゆっくりその場所に近づいていく。
「これは……黄薬草が荒らされてる!?」
そこで見たものは、踏みつぶされたり食い荒らされた黄薬草だったものの成れの果てだった。
アイリスが荒らされた薬草群を調べると、顔を歪ませてこう言った。
「この荒らされ方……、動物型の魔物だよ。 ゴブリンなどの人型や盗賊なんかは踏みつけたり食い荒らしたりしないから」
「動物系? かつてのウェアラットみたいな?」
「うん。 一部の動物型は薬草が好みで時折食い荒らすんだけど……、ここまで広い範囲が荒らされるケースはあまり見ないんだよ」
「確かに、所々に踏み荒らしている部分があるし…どうなってるんだろ?」
ひなたとアイリスが今の件について話してる時に、不意に気配察知が働いた……が。
(何だ、このプレッシャーは……!?)
今までに感じたことのない強大な気配がプレッシャーとして感じ取った。
勇者でもなければ今までの魔物じゃない……。
「お兄ちゃん!?」
「ど、どうしたの、暁斗君!?」
俺の様子がおかしかった事に気付き、二人が声をかけてくる。
二人には正直に話すしかない。
「つい気配察知を使ったが……魔物なんだが、今までの魔物とは格が違う……!」
「え、それって……まさか……」
アイリスが顔を青ざめる。
その時だった。
「うおっ!?」
うめき声と共に直接プレッシャーが…殺気が伝わった。
「な、何……?」
ひなたもこの強烈な殺気に顔を歪めている。
「ま、間違いないよ! この殺気……、Sランクの……しかも危険な【襲撃型】の魔物だよ!! なんでこのエリアに……!?」
アイリスが殺気の正体を当てて来た。
彼女の慌てようから察して、本来は俺達がいるエリアは弱めの魔物しか出現しないハズなのだろう。
それがまさかの襲来で冷静ではいられないのだ。
「……来るっ!!」
うめき声が終わるとともに現れたのは…闘牛とも呼べる姿をした魔物だった。
「……バーサークバッファロー!」
アイリスが口にした名前……、バーサークバッファロー。
これこそが今回のSランクの魔物……。
そして【襲撃型】という極めて危険な魔物が、俺達の前に姿を現した。
俺達はいつものゆったりペースで冒険者としての活動をしていた。
俺は、現在【回復術師】、【テイマー】、【錬金術師】の素質を極めようとしてる最中だ。
その中で【テイマー】と【錬金術師】のレベルアップスピードが早いというのはアイリスの弁。
テイムした魔物は、クリストフ国王から支給された箱庭アイテムの中でゆったり暮らしている。
ちなみに、今まででテイムした魔物はスライム、タラウアバニー、フェアリーキャットの3種。
特にフェアリーキャットは、俺達の世界におけるマンチカンのような見栄えなので、アイリスやひなたにも可愛がられた。
依頼内容も一部踏み込んだものを引き受けた。
特に下水道の処理兼そこのモンスター退治は、テイムしたスライムのおかげであっさり達成した。
それらの報酬で得たお金の一部で新しい装備を購入したり、ポーションを買い、残りは生活のために使う事にしている。
幸い、あれから指名依頼は来てないので、思った以上にまったりできた。
そんな感じで過ごした6日間だった。
ただ、俺としては未だに気になる事はあった。
俺の数少ない女友達の春日部 由奈の事だ。
当時無能扱いされた際に、彼女の姿だけは見えていなかった。
というか、周囲の罵声に俺は混乱して周りが見えていなかったのだから、彼女がどうなっているかは分からない。
厄介な事に、ひなたは彼女の存在を忘れている節が見受けられるので、いつかは話さないといけない。
そして今日、新たな依頼を引き受けた。
黄薬草の採集依頼だ。
アイリスが言うには、黄薬草は解熱効果を持つ薬を調合するのに必要な材料らしい。
期限はないので、【鑑定】の再練習を兼ねてゆっくりやる事にした。
「あれが黄薬草の群生地…『イエローガーデン』か」
「ホントに名前通りに黄色まみれだね」
西地区の門から北へ30分歩いた先にそれはあった。
ここもかなりの近場だ。
かつての『ホワイトガーデン』もそうだったが、名前通りに黄色で埋め尽くされていた。
俺とひなたが、その光景を見て唖然としてる所にアイリスから声をかけられた。
「さぁ、早速黄薬草を20房分採集しよう。 鮮度レベルはB以上の物があったら採取してね」
白薬草と同じく鮮度レベルがB以上か…。
早速【鑑定】を使い黄薬草を鑑定する。
「うーん、ここら辺りは鮮度レベルがCばっかりだね」
ひなたが鑑定を使った付近の黄薬草は鮮度レベルがCばかり。
アイリスが鑑定したエリアもどうやら不調のようだ。
「今現在だとB以上は5房しか見つかってないな……」
「おかしいね。 サラトガさん曰く黄薬草は1年中生えててかつ鮮度もいいって言ってたけど……」
「時期が悪いんじゃないかな? まぁ、期限はないんだしゆっくりやっていこうよ」
「ひなたお姉ちゃんは気楽でいいねぇ」
いつも以上に黄薬草の鮮度が悪いせいで、採取は不調気味だがひなたの言う通り期限はないからゆっくりやっていくしかないだろう。
そう思いながら別の方角に顔を向けると、より違和感のある光景が見えた。
「アイリス、ひなた、あそこを見ろ」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「暁斗君、どうしたの? ってこれは!?」
アイリスとひなたは、俺が指した場所を見た。
そして、ひなたも違和感に気付き驚いた。
その後、三人でゆっくりその場所に近づいていく。
「これは……黄薬草が荒らされてる!?」
そこで見たものは、踏みつぶされたり食い荒らされた黄薬草だったものの成れの果てだった。
アイリスが荒らされた薬草群を調べると、顔を歪ませてこう言った。
「この荒らされ方……、動物型の魔物だよ。 ゴブリンなどの人型や盗賊なんかは踏みつけたり食い荒らしたりしないから」
「動物系? かつてのウェアラットみたいな?」
「うん。 一部の動物型は薬草が好みで時折食い荒らすんだけど……、ここまで広い範囲が荒らされるケースはあまり見ないんだよ」
「確かに、所々に踏み荒らしている部分があるし…どうなってるんだろ?」
ひなたとアイリスが今の件について話してる時に、不意に気配察知が働いた……が。
(何だ、このプレッシャーは……!?)
今までに感じたことのない強大な気配がプレッシャーとして感じ取った。
勇者でもなければ今までの魔物じゃない……。
「お兄ちゃん!?」
「ど、どうしたの、暁斗君!?」
俺の様子がおかしかった事に気付き、二人が声をかけてくる。
二人には正直に話すしかない。
「つい気配察知を使ったが……魔物なんだが、今までの魔物とは格が違う……!」
「え、それって……まさか……」
アイリスが顔を青ざめる。
その時だった。
「うおっ!?」
うめき声と共に直接プレッシャーが…殺気が伝わった。
「な、何……?」
ひなたもこの強烈な殺気に顔を歪めている。
「ま、間違いないよ! この殺気……、Sランクの……しかも危険な【襲撃型】の魔物だよ!! なんでこのエリアに……!?」
アイリスが殺気の正体を当てて来た。
彼女の慌てようから察して、本来は俺達がいるエリアは弱めの魔物しか出現しないハズなのだろう。
それがまさかの襲来で冷静ではいられないのだ。
「……来るっ!!」
うめき声が終わるとともに現れたのは…闘牛とも呼べる姿をした魔物だった。
「……バーサークバッファロー!」
アイリスが口にした名前……、バーサークバッファロー。
これこそが今回のSランクの魔物……。
そして【襲撃型】という極めて危険な魔物が、俺達の前に姿を現した。
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