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第2章 異世界邂逅編
22 盗賊襲来
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イリアゲートさんとの会談後に、急遽【呪術師】を極めるべくスパルタじみた訓練をし、無事に極めてからさらに一週間が経過した。
その間も、俺たちは冒険者として活動をしていた。
討伐の依頼を重点的にこなしたことで、俺は【剣士】の素質も極める事ができた。
「1週間で2つの素質を極める事が出来て良かったね。 力加減も最近良くなってきていたし」
アイリスはそう発言した。
俺自身は、一週間でここまで成長するとは思ってなかった。
「剣に関しては、私の祖父による教えを思い出したんじゃないかな? 召喚される直前の日まで数ヶ月は教え込まれてたし。 そこに高い能力だから尚のこと……だね」
ひなたはそう分析していた。
その成長の影響で、討伐依頼も楽にこなしていけたのかも知れないな。
そして、ランクもソロランクがDまで昇格した。
ひなたも同様だ。
それによって、パーティーランクCに上がっていた。
これはリーダーのアイリスがソロでAランクであったことも大きい。
今後もそれに恥じないように頑張らないとな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅ、こんなものか」
「お疲れ様。 さて、素材を取るよー」
そして今回も討伐依頼を遂行していた。
今回の討伐内容は、西地区の門からさらに西寄りの近場の『イエローガーデン』に出没したDランクモンスター『アントベア』を10体倒す事。
その討伐の証は『アントベアの舌』なのだ。
討伐の証となる素材の採取は、今回はアイリスが行う。
手際よく道具を使って、アントベアの舌を切り取っていく様子に俺達は感心して見ていた。
「私達もいずれはアレをやるんだよね……」
「確かに。 今はアイリスにやらせているけど俺達もやらざるおえないと思う」
俺とひなたがそんな事を話している時に、突如気配を察知した。
「ひなた……!」
「うん、人の気配だけど追手じゃないね」
「という事は……盗賊かな?」
丁度作業を終えたアイリスも杖を用意して戦う準備をしていた。
彼女も【気配察知】を発動しながら解体作業をしていたみたいだ。
「でも、この盗賊……手練れみたいだから気を引き締めたほうがいいかもね」
「なら出て来た瞬間にある『呪術』を掛けておいた方がいいな」
「それがいいかもね。 ひなたお姉ちゃんもいい?」
「異論はないよ」
「多分、あっちに隠れているからそこに魔法を撃ちこむよ。 それで出てくると思うから」
「頼む、アイリス」
魔法の詠唱の準備をしながらアイリスがそう言うので、俺は彼女を信頼して仕込みをしてもらう事にした。
「【アイスニードル】!」
「ぐわっ!!」
「くそっ! 女二人と男一人だと思って油断した!」
「仕方ねぇ! やるぞ!!」
アイリスが氷の魔法を茂みにぶつけた瞬間、隠れていた盗賊の一人を命中させた。
その直後に隠れていた盗賊たちが出てくる。
占めて5人くらいか?
「来るよ! お兄ちゃん!!」
「よし、上手くいってくれよ……! 【ペインカース】!!」
アイリスの掛け声に応じて、俺は【ペインカース】という呪術を行使した。
これは対象に激痛を与える呪術で、効果時間は長めだ。
俺は【呪術師】を極めている状態なので、この呪術を5人まとめて掛ける事ができる。
「ぐわあぁぁぁぁ! いてぇぇぇっ!!」
「な、なんだぁ! こ、この激痛はぁぁっ!!」
5人全員が【呪術師】の素質を持っていないので、すぐにこの呪術は効果をもたらした。
激痛にのたうち回る5人をよそに、ひなたはそのまま突撃して盗賊たちを斬り伏せる。
「ぐわっ!!」
「あがっ!?」
「がふぅっ!?」
首を狙って斬りつけるひなたの容赦ない様子に戦慄が走るものの、盗賊の方も殺気をまき散らしているので妥当な行動なのだろう。
呪いによる激痛でのた打ち回っている間に、ひなたに斬られたため、何も出来ずに死んだ盗賊たち。
5人全てが遺体となった所であっけなく盗賊戦は終わった。
「暁斗君の呪術のおかげであっさり行けたけど、そうでなかった場合は苦戦必至だね。 確実に首を狙ってきてたみたいだし」
「そうみたいだね。 それにこのタトゥー……」
「どうした?」
アイリスが遺体の一つからタトゥーを見つけたらしく、どうもそれを知っているみたいだ。
気になったので声を掛けてみた。
「最近出没している盗賊集団の【漆黒】のタトゥーだよ。 あの盗賊集団は元冒険者だった者で構成されている厄介な集団なんだよ」
「元冒険者で構成?」
「うん。 実力的にはソロでBランクだった者達で構成されたってお父さんが言ってたね」
「マジか……。 そいつらが何で盗賊なんかに?」
「理由は後で話すよ。 今のうちにここから離れて王都に戻らないと……」
「そうだね。 盗賊が出たことも報告しないと」
理由は後で話すと言って、素材を抱えて王都へ足を運ぶアイリスとひなた。
慌てて俺もその後に付いていく。
元冒険者で構成された盗賊集団【漆黒】。
彼らが何でこんな事をしたのか……?
それは明後日にギルドに訪れた時にサラトガさんから知ることになるのだった……。
その間も、俺たちは冒険者として活動をしていた。
討伐の依頼を重点的にこなしたことで、俺は【剣士】の素質も極める事ができた。
「1週間で2つの素質を極める事が出来て良かったね。 力加減も最近良くなってきていたし」
アイリスはそう発言した。
俺自身は、一週間でここまで成長するとは思ってなかった。
「剣に関しては、私の祖父による教えを思い出したんじゃないかな? 召喚される直前の日まで数ヶ月は教え込まれてたし。 そこに高い能力だから尚のこと……だね」
ひなたはそう分析していた。
その成長の影響で、討伐依頼も楽にこなしていけたのかも知れないな。
そして、ランクもソロランクがDまで昇格した。
ひなたも同様だ。
それによって、パーティーランクCに上がっていた。
これはリーダーのアイリスがソロでAランクであったことも大きい。
今後もそれに恥じないように頑張らないとな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅ、こんなものか」
「お疲れ様。 さて、素材を取るよー」
そして今回も討伐依頼を遂行していた。
今回の討伐内容は、西地区の門からさらに西寄りの近場の『イエローガーデン』に出没したDランクモンスター『アントベア』を10体倒す事。
その討伐の証は『アントベアの舌』なのだ。
討伐の証となる素材の採取は、今回はアイリスが行う。
手際よく道具を使って、アントベアの舌を切り取っていく様子に俺達は感心して見ていた。
「私達もいずれはアレをやるんだよね……」
「確かに。 今はアイリスにやらせているけど俺達もやらざるおえないと思う」
俺とひなたがそんな事を話している時に、突如気配を察知した。
「ひなた……!」
「うん、人の気配だけど追手じゃないね」
「という事は……盗賊かな?」
丁度作業を終えたアイリスも杖を用意して戦う準備をしていた。
彼女も【気配察知】を発動しながら解体作業をしていたみたいだ。
「でも、この盗賊……手練れみたいだから気を引き締めたほうがいいかもね」
「なら出て来た瞬間にある『呪術』を掛けておいた方がいいな」
「それがいいかもね。 ひなたお姉ちゃんもいい?」
「異論はないよ」
「多分、あっちに隠れているからそこに魔法を撃ちこむよ。 それで出てくると思うから」
「頼む、アイリス」
魔法の詠唱の準備をしながらアイリスがそう言うので、俺は彼女を信頼して仕込みをしてもらう事にした。
「【アイスニードル】!」
「ぐわっ!!」
「くそっ! 女二人と男一人だと思って油断した!」
「仕方ねぇ! やるぞ!!」
アイリスが氷の魔法を茂みにぶつけた瞬間、隠れていた盗賊の一人を命中させた。
その直後に隠れていた盗賊たちが出てくる。
占めて5人くらいか?
「来るよ! お兄ちゃん!!」
「よし、上手くいってくれよ……! 【ペインカース】!!」
アイリスの掛け声に応じて、俺は【ペインカース】という呪術を行使した。
これは対象に激痛を与える呪術で、効果時間は長めだ。
俺は【呪術師】を極めている状態なので、この呪術を5人まとめて掛ける事ができる。
「ぐわあぁぁぁぁ! いてぇぇぇっ!!」
「な、なんだぁ! こ、この激痛はぁぁっ!!」
5人全員が【呪術師】の素質を持っていないので、すぐにこの呪術は効果をもたらした。
激痛にのたうち回る5人をよそに、ひなたはそのまま突撃して盗賊たちを斬り伏せる。
「ぐわっ!!」
「あがっ!?」
「がふぅっ!?」
首を狙って斬りつけるひなたの容赦ない様子に戦慄が走るものの、盗賊の方も殺気をまき散らしているので妥当な行動なのだろう。
呪いによる激痛でのた打ち回っている間に、ひなたに斬られたため、何も出来ずに死んだ盗賊たち。
5人全てが遺体となった所であっけなく盗賊戦は終わった。
「暁斗君の呪術のおかげであっさり行けたけど、そうでなかった場合は苦戦必至だね。 確実に首を狙ってきてたみたいだし」
「そうみたいだね。 それにこのタトゥー……」
「どうした?」
アイリスが遺体の一つからタトゥーを見つけたらしく、どうもそれを知っているみたいだ。
気になったので声を掛けてみた。
「最近出没している盗賊集団の【漆黒】のタトゥーだよ。 あの盗賊集団は元冒険者だった者で構成されている厄介な集団なんだよ」
「元冒険者で構成?」
「うん。 実力的にはソロでBランクだった者達で構成されたってお父さんが言ってたね」
「マジか……。 そいつらが何で盗賊なんかに?」
「理由は後で話すよ。 今のうちにここから離れて王都に戻らないと……」
「そうだね。 盗賊が出たことも報告しないと」
理由は後で話すと言って、素材を抱えて王都へ足を運ぶアイリスとひなた。
慌てて俺もその後に付いていく。
元冒険者で構成された盗賊集団【漆黒】。
彼らが何でこんな事をしたのか……?
それは明後日にギルドに訪れた時にサラトガさんから知ることになるのだった……。
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