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第2章 異世界邂逅編
15 冒険者としてのスタート
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「ここが、西地区の冒険者ギルドか」
あの悪徳貴族の一件から一夜明け、俺たちはクリストフ国王の紹介状を持ってギルドの前に佇んでいた。
今朝、国王から報酬が渡されるのと同時に、冒険者ギルドへの紹介状を渡された。
国王曰く、俺の素質を鍛える近道として冒険者になった方がいいと言われた。
その合間に王城内の訓練施設も使っていいとの事だが、確かに冒険者のほうが感覚とか掴めやすいかもしれない。
「それにしても、結構大きいね」
ひなたがギルドの外観を見て感想を口にする。
驚きと感激が混ざり合っているかのような表情で。
「各地区にある冒険者ギルドは、お互いの情報を共有してるの。 依頼によっては別の地区の出入り口から入る人もいるからね」
「じゃあ、張り出されてる依頼も共有していると?」
「そだね。 例えば北地区が依頼を受けたら、他の地区のギルドにもそういう情報が入ってくるという形かな」
ギルドに関する事をアイリスが説明してくれたが、この王都のギルドはあらゆる所で情報共有してるのか。
確かに依頼に関するトラブルとかを無くすにはその方がいいかも知れないが。
「さて、中に入ろう。 お父さんからの紹介状を渡しておかないと」
俺とひなたはアイリスの後に続くようにギルドの中に入った。
ギルドの中も広く、内部に食堂もある。
俺たちは真っすぐカウンターに向かった。
「ようこそガイアブルク冒険者ギルド西地区支部へ。 国王様からあなたたちの事は聞いております。 アイリスちゃんもご無沙汰ですね」
「お久しぶりです、サラトガさん。 早速だけど、これ二人の紹介状だよ」
「はい、確かに。 えーと、暁斗さんは国王様からの測定結果がありますからいいとして、ひなたさんはあちらの部屋で測定してもらいますね」
「わかりました」
スタッフに案内されて、ひなたは指定された部屋へ入った。
「そういえば、サラトガさん。 アイリス王女が第二王女であることは?」
「ええ、ギルド内でも存じております。 彼女の願いで会話も普通にしてますよ」
なるほどね。
王女としての特別扱いをアイリスは嫌ってるわけか。
継承権がないことも要因なわけか。
「あと、パーティは国王様が示した暁斗さん、ひなたさん、アイリスちゃんの三人で組むということでよろしいですか?」
「うん、それでお願い」
「では、パーティランクはEランクからになりますが、よろしいですか?」
「パーティランク?」
ふと気になった言葉が出て来たので、たまらず尋ねた。
「パーティを組む際に設定されるランクですね。 ランクアップ条件はパーティ全員で一定数依頼をこなす事で上がることができます。 最低ランクはFランクなんですが、アイリスちゃんがソロでの冒険者ランクはAランクなのでそれを加味しての判定ですね」
「アイリス、Aランクだったのか…」
「ソロではだけどね。 お兄ちゃん達をランクアップさせるために色々教えてあげたいしね」
なるほど……と思ってたら、ひなたが戻ってきた。
おそらく能力判定が終わったようだ。
スタッフの一人がサラトガさんにデータが記されたであろう紙を渡している。
「暁斗さんと比較すると能力面でやや劣りますが、流石は異世界から召喚された勇者ですね。 高い水準でまとまってます。 後、見慣れない名前のスキルがありますが…」
「えーっと、前の世界で習った武術がそのまま反映されたんじゃないかと」
「ふむ、ひなたさんは結構武闘派なのですね」
サラトガさんは自分自身で納得しているように見えるが、俺たちが異世界から召喚された人間であるというのは知っているのか……。
多分、紹介状に書かれているんじゃないかと推測されるが……。
「それでは、このデータで暁斗さんとひなたさんの冒険者登録と、三人のパーティ登録を行います」
そう言うと、サラトガさんは裏へ入っていった。
しばらく待っていると、彼女が三つのカードを持ってきた。
「お待たせしました。 この二つが暁斗さんとひなたさんの冒険者ライセンスカードです。 依頼を受ける時や達成したときにこのカードを見せてください。 そして、このカードは三人がパーティを組んだ証となるパーティカードです。 パーティカードはアイリスちゃんに渡します」
俺とひなたのライセンスカードを受け取り、初期ランクを確認する。
まぁ、当然ながらソロではFランクからスタートだ。
それでも、3つくらい依頼をこなせばEランクにアップできるのだそうだ。
あと、パーティカードの方はアイリスの渡した後、アイリスの体内に入り込んだ。
魔法によるものなのかは知らないが、多分他者に奪われないためなんだろう。
「それじゃ、早速だけど簡単な依頼を二つこなそうか」
アイリスが依頼書が貼られた掲示板を見ており、その内の二枚を持ってきた。
難易度はFランクで、討伐と採集の依頼だった。
「一つはゴブリン討伐……ともう一つは白薬草の採集か」
「いいね、アイリスちゃん。 これなら私や暁斗君もなんとかやれそうだよ」
「よーし、じゃあ早速サラトガさんに依頼書渡すから受諾の証としてライセンスカードを見せるようにね」
そう言ってアイリスは、サラトガさんに依頼書と自分のライセンスカードとパーティカードを見せる。
俺やひなたもそれに倣い、サラトガさんにカードを見せる。
すると、何かの魔法が発動し、カードに依頼の内容が記載される。
なるほど、これで現在受けている依頼内容がわかるわけか。
「では、二つの依頼受諾を了承しました。 依頼完了時もカードを見せてくださいね」
こうして俺とひなたは、冒険者としてのスタートを切ったのだった。
あの悪徳貴族の一件から一夜明け、俺たちはクリストフ国王の紹介状を持ってギルドの前に佇んでいた。
今朝、国王から報酬が渡されるのと同時に、冒険者ギルドへの紹介状を渡された。
国王曰く、俺の素質を鍛える近道として冒険者になった方がいいと言われた。
その合間に王城内の訓練施設も使っていいとの事だが、確かに冒険者のほうが感覚とか掴めやすいかもしれない。
「それにしても、結構大きいね」
ひなたがギルドの外観を見て感想を口にする。
驚きと感激が混ざり合っているかのような表情で。
「各地区にある冒険者ギルドは、お互いの情報を共有してるの。 依頼によっては別の地区の出入り口から入る人もいるからね」
「じゃあ、張り出されてる依頼も共有していると?」
「そだね。 例えば北地区が依頼を受けたら、他の地区のギルドにもそういう情報が入ってくるという形かな」
ギルドに関する事をアイリスが説明してくれたが、この王都のギルドはあらゆる所で情報共有してるのか。
確かに依頼に関するトラブルとかを無くすにはその方がいいかも知れないが。
「さて、中に入ろう。 お父さんからの紹介状を渡しておかないと」
俺とひなたはアイリスの後に続くようにギルドの中に入った。
ギルドの中も広く、内部に食堂もある。
俺たちは真っすぐカウンターに向かった。
「ようこそガイアブルク冒険者ギルド西地区支部へ。 国王様からあなたたちの事は聞いております。 アイリスちゃんもご無沙汰ですね」
「お久しぶりです、サラトガさん。 早速だけど、これ二人の紹介状だよ」
「はい、確かに。 えーと、暁斗さんは国王様からの測定結果がありますからいいとして、ひなたさんはあちらの部屋で測定してもらいますね」
「わかりました」
スタッフに案内されて、ひなたは指定された部屋へ入った。
「そういえば、サラトガさん。 アイリス王女が第二王女であることは?」
「ええ、ギルド内でも存じております。 彼女の願いで会話も普通にしてますよ」
なるほどね。
王女としての特別扱いをアイリスは嫌ってるわけか。
継承権がないことも要因なわけか。
「あと、パーティは国王様が示した暁斗さん、ひなたさん、アイリスちゃんの三人で組むということでよろしいですか?」
「うん、それでお願い」
「では、パーティランクはEランクからになりますが、よろしいですか?」
「パーティランク?」
ふと気になった言葉が出て来たので、たまらず尋ねた。
「パーティを組む際に設定されるランクですね。 ランクアップ条件はパーティ全員で一定数依頼をこなす事で上がることができます。 最低ランクはFランクなんですが、アイリスちゃんがソロでの冒険者ランクはAランクなのでそれを加味しての判定ですね」
「アイリス、Aランクだったのか…」
「ソロではだけどね。 お兄ちゃん達をランクアップさせるために色々教えてあげたいしね」
なるほど……と思ってたら、ひなたが戻ってきた。
おそらく能力判定が終わったようだ。
スタッフの一人がサラトガさんにデータが記されたであろう紙を渡している。
「暁斗さんと比較すると能力面でやや劣りますが、流石は異世界から召喚された勇者ですね。 高い水準でまとまってます。 後、見慣れない名前のスキルがありますが…」
「えーっと、前の世界で習った武術がそのまま反映されたんじゃないかと」
「ふむ、ひなたさんは結構武闘派なのですね」
サラトガさんは自分自身で納得しているように見えるが、俺たちが異世界から召喚された人間であるというのは知っているのか……。
多分、紹介状に書かれているんじゃないかと推測されるが……。
「それでは、このデータで暁斗さんとひなたさんの冒険者登録と、三人のパーティ登録を行います」
そう言うと、サラトガさんは裏へ入っていった。
しばらく待っていると、彼女が三つのカードを持ってきた。
「お待たせしました。 この二つが暁斗さんとひなたさんの冒険者ライセンスカードです。 依頼を受ける時や達成したときにこのカードを見せてください。 そして、このカードは三人がパーティを組んだ証となるパーティカードです。 パーティカードはアイリスちゃんに渡します」
俺とひなたのライセンスカードを受け取り、初期ランクを確認する。
まぁ、当然ながらソロではFランクからスタートだ。
それでも、3つくらい依頼をこなせばEランクにアップできるのだそうだ。
あと、パーティカードの方はアイリスの渡した後、アイリスの体内に入り込んだ。
魔法によるものなのかは知らないが、多分他者に奪われないためなんだろう。
「それじゃ、早速だけど簡単な依頼を二つこなそうか」
アイリスが依頼書が貼られた掲示板を見ており、その内の二枚を持ってきた。
難易度はFランクで、討伐と採集の依頼だった。
「一つはゴブリン討伐……ともう一つは白薬草の採集か」
「いいね、アイリスちゃん。 これなら私や暁斗君もなんとかやれそうだよ」
「よーし、じゃあ早速サラトガさんに依頼書渡すから受諾の証としてライセンスカードを見せるようにね」
そう言ってアイリスは、サラトガさんに依頼書と自分のライセンスカードとパーティカードを見せる。
俺やひなたもそれに倣い、サラトガさんにカードを見せる。
すると、何かの魔法が発動し、カードに依頼の内容が記載される。
なるほど、これで現在受けている依頼内容がわかるわけか。
「では、二つの依頼受諾を了承しました。 依頼完了時もカードを見せてくださいね」
こうして俺とひなたは、冒険者としてのスタートを切ったのだった。
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